泣く子も黙る感染対策(19)
泣く子も黙る感染対策(19)
第19回 手指衛生(手指衛生のモニタリング編)
坂本史衣 さかもと ふみえ
聖路加国際病院感染管理室マネジャー
世界保健機関(WHO)の“手指衛生を推進するための多角的戦略”は5つの中核要素から構成されており,このなかに手指衛生のモニタリングが含まれている【1】.WHOがモニタリングを重視する理由は,適切な手指衛生の方法を知っていても,手指衛生が感染予防のために重要だと認識していても,多くの医療従事者は放っておくと手指衛生を行わないからである.病院における手指衛生実施率の平均値として40%という数字がよく引き合いに出されるが,これより低い病院も珍しくはない【2,3】.実施率は病院,部門,職種ごとに異なり,測ってみなければわからない.
1.モニタリング法
手指衛生のモニタリング法は多岐にわたるが,ここでは,直接観察(訪問),直接観察(ビデオモニタリング),電子機器の使用,使用量/払い出し量調査の4つに分けて,それぞれの概要,長所と短所を紹介する.ちなみに,WHOは直接観察をモニタリング法のゴールドスタンダードとしている【1】.
❶ 直接観察(訪問)
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