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微生物検査 危機一髪!(18)

[第18回]“G ! P ! C !”はもうやめよう!

山本 剛 やまもと ごう
神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部

(初出:J-IDEO Vol.4 No.2 2020年3月 刊行)

はじめに

 昨年,某学会の教育セミナーに参加してきました.小生の発表前にK病院のH先生が,主に血液培養の報告方法について熱くお話しされていたのですが,「G!P!C!」,「G!P!C」とあたかもDA PUMPの「U. S. A.」を彷彿とするように,血液培養でグラム陽性球菌(Gram positive cocci,GPC)が見えた場合には形状の特徴を伝え,ブドウ球菌かレンサ球菌かだけでも報告をすべきであり「もうGPCと返すのは止めてほしい」と話されていました.今回はそんなお話しです.

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症例

40 歳代,男性.
主訴 発熱,悪寒,戦慄.
既往歴 精巣腫瘍(30 歳).
現病歴
 X-3 ヵ月:アメリカに単身赴任中に急性リンパ性白血病(ALL)と診断をされ緊急帰国後入院加療となり直ぐに化学療法が開始された.
 X-1 ヵ月:発熱性好中球減少症あり.血液培養でStreptococcus sangius(viridans group Streptococcus,VGS)とRothia mucilaginosa が検出された.MEPM が開始され1 週間治療.双方とも口腔内常在菌であり口腔潰瘍が侵入門戸の原因と考えられた.
 X-2 週間:発熱性好中球減少症あり.血液培養でKlebsiella pneumoniae(非ESBL)が検出された.CFPM が開始され1 週間治療.数日間下痢した後の発熱であっため消化管が侵入門戸の原因と考えられた.
 X 日:発熱性好中球減少症(白血球数300/μL)あり.夜間に発熱と悪寒を認めたためCFPM が開始となった.翌日血液培養が陽性となりグラム染色所見の確認となった[図1].

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