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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(26)

[第26回]新型コロナウイルス感染症への札幌市での活動―札幌市のデータ:実効再生産数の計算,weekly analysisの作成―

岸田直樹 きしだ なおき
感染症コンサルタント/北海道科学大学薬学部客員教授

(初出:J-IDEO Vol.5 No.4 2021年7月 刊行)

┃新型コロナウイルス感染症と感染症コンサルタント

 「抗菌薬適正使用とそれによる耐性菌減少の加速」を主要命題として感染症コンサルタントとしてやってきましたが,新型コロナウイルス感染症の流行により,新しく大きな仕事が増えました.それが『札幌市へのコンサルタント活動』です.札幌市の危機管理対策室参与という肩書をいただき,札幌市のさまざまなコロナ対策に関わらせていただきました.クラスタが発生した高齢者施設での対応から始まり,クラスタが起こった病院の再開事業,コロナ流行の中心地になりやすい“すすきのコロナ対策”,発熱外来の協力体制の構築,流行に追いつかないベッド状況に対して拡充の調整などなどいろいろありました.
 流行当初はさまざまな場面での人員不足からスタートしましたので,亡くなられた患者さんを納体袋に移す作業や,クラスタが起こった高齢者施設での高齢の患者さんの食事を手伝ったり,一緒に施設内を徘徊したりなどもありました.徐々に人員が集まれば,その方にバトンタッチし,新しく湧いて出てくる課題に取り掛かる,そしてそれをまた引き継ぐ,その連続の1年半でした.私のようないちコンサルタントができることなど多くはないですが,札幌市に新型コロナウイルス感染症で関わるうえで,この8年近い医療機関へのコンサルタントとしての関わりがとても役に立ちました.

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