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本質の感染症(3)

本質の感染症(3)
[第3回]一般化
岩田健太郎 いわた けんたろう
神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座
感染治療学教授


1

 現在,感染症診療にかぎらず,臨床現場における多くの誤謬がこの「一般化」の失敗に起因していると思う.血圧が高ければ,降圧薬.尿酸が高ければ,尿酸を下げる薬.かぜを引けば「ウイルス性だと思うけど」と言いつつ抗菌薬.失神発作に頭のCT,なんだかわからないけど梅毒検査,腫瘍マーカー,そしてCRP.

2

 一般化の問題とは,「CRPはこんなに役に立つ(こともある)」という言説を担保に患者のCRP測定を一般化してしまうことである.個別のエピソディックな事例を一般化可能な「法則」に勝手にすり替えてしまうのだ.

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