抗菌薬相互作用整理BOX(18)
[第18回]QT延長にご用心!
~キノロン系抗菌薬とアミオダロン~
山田和範 やまだ かずのり
中村記念南病院薬剤部係長
(初出:J-IDEO Vol.4 No.1 2020年1月 刊行)
はじめに
抗菌薬によるQT延長と聞くと真っ先に思い浮かぶのは,マクロライド系抗菌薬でしょうか? それともキノロン系抗菌薬でしょうか?
現在は,医薬品開発において,薬物誘発性QT延長症候群の発生に伴う心事故を回避するため,International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議,ICH)のヒト医薬品による遅延性心室再分極(QT間隔延長)の可能性の非臨床評価(S7B)および非抗不整脈薬のQT/QTc間隔延長と催不整脈の可能性の臨床評価(E14)ガイドラインに基づき創薬されており,QT延長のリスクは低くなっています.2018年には新しいアプローチの評価を含めE14/S7B実装ワーキンググループ(IWG)が承認されました.
FDAの副作用報告では,1996年1月~2001年5月までの期間で,トルサード・ド・ポアンツ(Torsade des Pointes,TdP)を発現した割合は,シプロフロキサシン(CPFX),レボフロキサシン(LVFX),ガチフロキサシン(GFLX)は,1,000万人あたりそれぞれ,0.3,5.4,27とされ【1】,既存の薬剤でもある一定の割合で発現する可能性があります.
今回は,不整脈薬のなかでもユニークな特徴をもつアミオダロンとキノロン系抗菌薬との相互作用を主にみていきたいと思います.
相互作用のメカニズム
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