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日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(16)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(16)
[第16話]蟲姫現るの巻
(vs静岡県立静岡がんセンター感染症内科 倉井華子)
忽那賢志 くつな さとし
国立国際医療研究センター
国際感染症センター/国際感染症対策室医長


忽那「静岡に着いたな……」
上村「富士山がきれいですねー.富士山が見える職場で働いてみたいッス」
忽那「上村よ……オレはこの道場破りを通して,感染症の世界の富士山の頂に立つつもりだ.今後もサポートを頼む」
上村「まだ一勝しかしてないから富士山の一合目ですよね」
忽那「うるさいッ! 登山とは時間をかけて楽しむものなのだ……」
上村「先生,登山したことないでしょ.なに山男みたいな口ぶりしてるんですか」
忽那「お,あれが静岡がんセンターか.ボスが以前働いていた職場だな」
上村「それだけで緊張感がありますね」
忽那「そして,ボスの跡を継いでいわばオレの姉弟子が今ここの感染症内科を取り仕切っているらしい」
上村「倉井先生ですよね.静岡県のAMR対策にすごく力入れてる有名な先生ですよね」
忽那「だがそれは世を忍ぶ仮の姿で,実は寄生虫に目がないらしい.前回の反省を活かして,寄生虫について稽古をつけてもらおうというわけだ」
上村「なーる.じゃあ今回は道場破りではないってことですね」
忽那「うむ.実はオレも初めて会うんだが緊張するな……あっ,あの人がそうなんじゃないか?」
倉井「ホッホッホッ……待ちくたびれたわよ.アンタがクツナね.私が感染症界の蟲姫・倉井よ.あんたのことはボスから聞いてるわ.酒の飲み方が汚いってね」
忽那「いや,別に飲み方が汚いわけでは……」

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