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世間知らずの起業物語 その17

川上会長に呼ばれた会長室で告げられたのは、Trust Pointは僕ひとりではなくて、村上さんと桜田さんと3人の会社にした方が良いということだった。


既定路線?

川上:「Trust Pointはグループとは別の会社としておかないといけないから、その辺りは臼森先生に確認した方がいいね。そうそう、将来的にはリソースはTrust Pointに移して、その頃には私もひと段落しているだろうから、その辺りの移行の方法も考えておきたいね。」

臼森先生とは、グループの顧問弁護士の先生である。
グループがSIerだけを事業としてやっていた頃からお世話になっており、川上会長のコンプライアンス上の問題についても対処いただいている。

川上:「村上さん、臼森先生のアポイントをとっておいてください。」

村上:「わかりました。直近で、予定を確認いたします。」

川上:「息子の会社も、会社名決めて、会社設立を進めるので、村上さん、そっちもお願いしますよ。会社名決まったら伝えますので。」

村上:「わかりました。」

川上:「まずは、初年度3人で10基くらい作ってくれればいいですよ。鈴木さんであれば、10基は難しくないでしょう。売るのは桜田くんができるからね。もう、半年以上、山田さんとやってるから問題ないですよ。バンバン売ってますからね。さすが桜田くんですね。」

僕:『はぁ』

川上:「あとは、村上さんが、月次で会計処理をやってくれればいいですよ。もう成功するのは分かっているから、いいですね(笑)」

疑念と不安

川上会長は笑いながら、問題がないような話をしたが、僕の心の中は不安だけで一杯になった。

もちろん、桜田さん、村上さんの2人が仲間となるのは心強い部分もある。たった1人でやるよりも、相談できる仲間がいるかいないかでは違うだろうと考えた。

しかし、1人で全てを進めるのと、3人で協力しながら事業を進めるのは全然違う。僕ひとりで決められないことも多くなるし、それ以上に、年収の高い2人がJOINすることはキャッシュフローがリスクになるのは明らかであった。

僕:『やはり、ランニングコストを抑える方向でいかないと厳しいよな・・・』

太陽光発電所を作るにはコストがかかる。
それは、どんな事業でもそうかもしれないが、太陽光パネルや基礎などの部材は発注時に支払いが必要であるし、工事費用も太陽光発電所が売れる前に支払いが必要になることがある。

うまくタイミングを合わせて、工事のスケジュールを立てることが重要だ。

山田のときは、山田からは先の情報が全く出てこなかったが、その代わり川上会長と一緒に工事の工程をコントロールしていた。工事工程が先か、支払いタイミングが先か・・・と、調整が難しい部分もあるにはあったが、それでしっかり回っていた。

川上会長が言うように、桜田さんがバンバン販売先を見つけることができれば、問題はないだろう。実際、川上会長が、桜田さんが販売をガンガン進めているって言うから、そこは信用してもいいんだろうな。
と、思うしかなかった。

山田とペアを組んで、販売を進めている桜田さんの実績は、僕も正確には把握していなかった。日々、山田から、叱責されている桜田さんの姿を見ていたが、一方で、お客様との契約なども実際に進めてる姿も見てきていた。

グループの発展のためと言っているのに、川上会長が、こんなところで嘘を言う意味はない。

だから、僕は、桜田さんの販売力は、ある程度、信用できる話であると考えたのだ。

川上会長の長男が社長で、上野が1人、ヘルプで工事に入る。
この会社は、川上会長が新しいことを実験するためだけの会社になるんだろうと、このときは考えていた。

大きな不安を抱えながら、誰もいなくなった執務室の自分の席から、新宿の夜景を眺めていた。

つづく

※この物語はフィクションです。

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