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コラム⑩「ラブレターを贈ろう。」

2018年3月10日(土)
八重山日報・沖縄本島版

※※コラム『ちゅうざんの車窓から』※※

NO.10「ラブレターを贈ろう」

 三月。学生は卒業シーズン、お勤めの皆さんは転職や人事異動などが多い時季ですね。新たな出会いに心弾むものの、慣れ親しんだ環境や仲間たちとの別れはやっぱり寂しいものです。本音を言えば、期待よりも不安の方が大きい。卒業ってそういうものだったりします。いつの時代も「卒業」という言葉にはどこか寂しさや切なさが含まれていて、大切なものが抜け落ちたような気持ちになります。そんな時、ぽっかり空いた心の隙間を埋めてくれるのは、共有した日々の思い出と互いに贈りあった言葉たちだと思うのです。

 「贈る言葉」という海援隊の名曲でも“さよならだけでは さびしすぎるから”と歌っているように、別れの言葉がさよならだけではあまりにも寂しいですよね。ならば、それぞれの“さよならに代わる言葉”を贈り合えたら素敵なことだと思いませんか? 言葉は手紙に込めることもできます。電話もメールもSNSも存在しなかった時代から、人は手紙を通じて大切な人に思いを伝えてきました。直筆で、それぞれの言葉で紡がれた手紙は、受け取ったときだけでなくその後の人生の節々でもあたたかく存在してくれます。お世話になった方への感謝やお礼、好きな人への告白だっていい。胸の内を自分の言葉で手紙に込めれば、それは世界にふたつとない特別なラブレターになります。

 この卒業シーズンにみなさんも大切な人に贈ってみてはいかがでしょうか。いきなりラブレターなんて、と思う方もいるかもしれません。言葉にして伝えるのは簡単なことではないでしょう。でも、照れくさくて恥ずかしい感情ほど、お互いにとっていちばん大切な気持ちだったりします。

 大丈夫。ラブレターは互いの距離を超えます。沈黙を超えます。年齢や性別や肩書きや国籍すら超えていきます。さよならに代わるそれぞれの言葉は、旅立つ人の背中を力強く押し、見送る人のハートをやさしく包み込んでくれます。だから、どうか怖がらずに。ありがとうや大好きやおめでとうを込めて。出会いと別れの季節に贈る想いを込めたラブレターが、あなたの大切な人に届きますように。


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