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コラム⑧「選挙は結果がすべて。」

2018年2月10日(土)
八重山日報・沖縄本島版

※※コラム『ちゅうざんの車窓から』※※

NO.8「選挙は結果がすべて。」

 去る2月4日の沖縄県名護市長選挙において、新人の渡具知(とぐち)武豊氏が前二期市長を務めた稲嶺進氏を破り初当選を果たしました。選挙は結果論ですから、名護市民は米軍普天間飛行場の辺野古移設反対を主張し続けて来た稲嶺氏ではなく、事実上容認している渡具知氏を市長に選んだということになります。さまざまな反応がある中、選挙結果に対する県内主要メディアの見解やSNSでの人々の反応を読んでいると、有権者が見る沖縄の姿と県内メディアが伝える沖縄の姿に温度差が感じられます。

 1995年に起きた米兵による少女暴行事件以降、県民の怒りは基地反対の集会、デモ、移設先周辺での座り込みなどによって訴えられてきました。選挙の度に基地移設の「容認」と「反対」の選択を迫られる沖縄。特に普天間飛行場の移設先予定地・辺野古を抱える名護市にとっては、複雑な政治状況が20年以上続いています。今回の選挙結果に対して、得票数に限らず、世論調査では「基地反対」の声が多数だという主張も見受けられました。沖縄タイムス社の記者は「日本の民主主義の敗北」とまで書いています。しかし、投票で渡具知氏を市長に選んだのは名護市民です。基地問題だけでなく、経済、教育、雇用、医療、福祉など暮らしに直結する課題が山積みであることを多くの方が感じたからこその結果だと思うのです。そして、選挙の結果に基づき、各地の行政の長が政策を進めるのが民主主義の原則です。選挙結果よりも各メディアが行っている独自の世論調査の方が民意を反映しているという主張は、やはりおかしいと言わざるを得ないでしょう。「基地反対」側の声を“オール沖縄”や“沖縄の民意”というフレーズで盛んに報道したとしても、その地域に住む人々には生活があり、賛成も反対の声もある中で決めているという事実を忘れてはいけないのではないでしょうか?

 2018年の沖縄は、年末の県知事任期満了に伴う県知事選挙を含む各地域での市長選挙(計51ヶ所)が行われる、まさに選挙イヤーです。一人ひとりの意思を投票という形で示す機会が多いからこそ、選挙報道においても中立・公平な報道を願ってやみません。最後に、前市長・稲嶺さま、お疲れさまでした。そして、名護市の次の4年間を担うリーダー・渡具知市長と名護市のさらなる発展、繁栄を応援しています。

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