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コラム⑥「人生はキネマのように。」

2018年 1月5日(金)
八重山日報・沖縄本島版

※※コラム『ちゅうざんの車窓から』※※

NO.6「人生はキネマのように。」


 「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」と語ったのは、世界の三大喜劇王のひとり、チャーリー・チャップリン。俳優、映画監督、コメディアン、脚本家、映画プロデューサー、作曲家などの活動を通じてハリウッドのみならず、世界中に影響を与えた彼の作品は、何度見ても色褪せない感動と発見に満ちています。孤児院で育ち、極貧生活を送っていた子ども時代から、自らの努力で人生を切り拓き、人間の素晴らしさと滑稽さをユーモアたっぷりに描き続けたチャップリンの映画に心動かされた人も多いはず。

 個人的に好きな映画ランキング・トップテンの中に必ずチャップリンの映画が複数ランクインするほどのファンである私ですが、年齢を重ねるにつれ、冒頭で紹介した言葉の深さを強く実感しています。人は誰しもトラブルや困難に直面すると悲観的になり、まるで不幸に陥った気持ちになりますが、時間が経って振り返ると、「あの経験があったおかげで今がある」という話もよく耳にします。
 悲劇としか思えないようなことが実は、その後の人生を好転させるために必要不可欠な出来事だったということが私たちの人生には往々にしてあるのではないでしょうか。

 大切なのは、起きた出来事をどう受け止め、次につなげるかということ。日々の出来事や目の前のことに一喜一憂してしまいがちですが、辛い出来事をクローズアップして悩むよりも、一本の映画のように自分の人生を俯瞰して見つめることで、希望を見出していく生き方のほうが幸せなのではないかと思うのです。きっと、視点を変えれば、まったく違う物語が見えてくるかもしれません。

 2017年も残り僅か。もうすぐ2018年が始まります。新たな一年に何を描き、誰を想い、どう生きるのか。チャップリンの言葉を胸に、とびっきり素敵な一年を描いてみてはいかがでしょうか?だって、私たち一人ひとりがこの物語の主人公なのですから。2018年が皆さまにとって、素晴らしい一年となりますように。

※本コラムは昨年末掲載予定でしたが、諸事情により正月明け1月5日掲載となりました。次回からは、これまでどおり、隔週土曜日掲載となります。

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