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ビッグモーター、30日に金融庁が保険代理店登録取り消し

中古車販売店大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題で、金融庁は24日、同社の保険代理店登録を11月30日付で取り消す処分を出した。
損害保険代理店の登録取り消し処分は初めて。
適切な保険募集に必要な経営管理体制に重大な欠陥があり、保険会社から支援を得られる見込みもないことから再建は難しいと判断した。
登録取り消しは保険業法で最も重い処分となる。
ビッグモーターは中古車は販売できるものの、行政処分に伴い保険の販売業務は手がけられなくなる。
金融庁は9月19日から11月10日にかけてビッグモーターに立ち入り検査を実施していた。
検査の結果、経営管理体制に重大な欠陥があると判断した。
ビッグモーターでは会社法上の要件を満たす取締役会を開いておらず、創業者の前社長や前副社長による非公式な協議で業務執行の意思決定をしていた。
金融庁は前社長らについて「利益拡大が最重要という信念や思う通りに経営したい意欲が過剰」としたうえで、「本来、けん制を効かせるべきガバナンス(企業統治)が整備されていなかった」と指摘した。
保険販売に必要な管理体制の不備も見つかった。
2020年に苦情対応を担う事業を「利益を生まない事業」と判断して廃止。同年7月には各店舗への保険に関する指導・教育の取り組みも中止。
内部監査室も設置されていなかった。金融庁は「適切な保険募集を確保するための体制整備義務を放棄している」と結論づけた。
ずさんな保険販売の実態も明らかになった。
金融庁が極めて短時間で手続きしていた契約148件を抽出し調べたところ、8割を超える122件で重要事項を説明していなかった。
保険加入を条件に中古車の価格を値引くなど、保険契約者への「特別利益の提供」を禁じた保険業法に違反する事例も確認された。
金融庁は根本原因として
  ①収入を増やしたいという動機
  ②利益のためには不正も許容されるという誤った認識を正当化しかねな
   い組織風土
  ③不正行為を実行する機会――が存在していたと指摘した。

ビッグモーターをめぐっては、伊藤忠商事が企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と組み、買収に必要なデューデリジェンス(資産査定)の独占契約を結んだ。
ビッグモーターの経営状況を詳細に分析したうえで、2024年春までに再建を支援するかを最終決定する。


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