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エレアコをいい音で録音するためにIRを活用する

少なくとも日本において、アコギの音を綺麗に取れる環境を自宅に持っている人はそう多くないと思います。iPhoneで弾き語りを撮ってTikTokやinstagramに上げるだけでなく、楽曲の中に自分が弾いたアコギのトラックを入れたいとなればなおさらです。

ひとつの選択肢として、部屋鳴りや雑音を気にしなくてよい方法としてエレアコのライン録りという方法があります。しかし、実際にやってみると直接聴くのとは程遠い、エレキギターの失敗作のようなペラペラな音にしかなりません。高価格帯製品や、FenderのAcoustasonicのような製品ならばかなりのクオリティを出せると思いますが、その予算が出せる人なる良いマイクを買ったり調音したりすることもできるでしょう。

この問題をコンピュータの中だけでなんとか解決できないだろうか、と思った時にまず試してみる価値があるのは、IRを使った方法です。

IRとは機材や空間の音響特性を記録したファイルのことです。Kemperのようなアンプシミュレータのアンプやキャビネットのキャプチャなどにも用いられます。これを利用して、ボディや空間の鳴りを擬似的に追加してあげることでエレアコのライン音を生っぽくしようというのが今回の目標です。

IRファイルを入手する

まず、IRファイルを扱うためのソフトを準備します。今回はAmplitube5を使用します。アンプシミュレータにはよく搭載されている機能ですし、IR読み込み用のフリーソフトなどもあると思います。

続いて、IRファイルを入手します。インターネットには有料・無料ともにアコギのIRを配布しているサイトがあります。SSL通信に対応していないのがセキュリティ上やや心配ではありますが、以下のサイトが様々なタイプのギターのIRを公開しています。

IRを読み込んで使ってみる

ここからは、実際に音を出していきます。

Amplitube5を起動したら、アンプをオフにしてキャビネットでCustom IRを選択します。

すると、左側にImpulse Responce Listが表示されるので、下の+ボタンから先程入手したIRファイルを選択して読み込みます。

IRファイルの選び方は、基本的には使うギターとボディサイズやスケール、材の種類が近いものを選ぶと良いと思います。ですが、実際には自分のギターと近いものがないこともありますし、IRのクオリティ自体が悪い場合もあります。IRファイル次第で音はかなり変わるので、あえて自分の出したい音に合わせて使っているギターとは全然違う仕様のギターのIRを使うのもいいと思います。

音を出してみる

あとはエレアコを繋いで音を出すだけです。試しに私が弾いてみたものを載せておきます。弾いているアコギはFender malibu player、使用したIRはGibson J-45のものです。EQはかけていませんが、わずかにリバーブをかけています(mix3%くらい)。曲はRIIZEのGet A Guitarをカバーしました。

↓↓↓IRなし

↓↓↓IRあり

malibu playerはショートスケール、ボディサイズ小さめの5万円ほどのギターで、家で弾くにはいいのですが録音するとあまり迫力が出ません。今回は、ピック弾きかつアコギ一本という正反対の音が欲しかったので、IRでは限界があるものの本来そういう用途に向いているGibson J-45のIRがうまくはまりました。もうすこし低音弦のジャキジャキ感がほしいですが、EQなどで調整すればまだ詰められると思います。
他にもいくつか試してみましたが、私のギターでは指弾きや楽曲中のアコギトラックではLowdenのHighlanderが合っていました。

おわりに

IRを用いた方法で、数万円クラスのエレアコでも宅録バンドサウンドに混ぜて違和感がないくらいのレベルまではライン録りの音を良くすることができます。DTMerの方々などの参考になれば幸いです。

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