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【シエルの注目映画】2021年9月公開作品

2021年9月公開予定の作品の中で気になるものを集めて見ました。9月ももう3分の1終わってしまいましたが…

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(9月10日公開)

2021年製作/119分/G/日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督:堀江貴大
脚本:堀江貴大
出演:黒木華、柄本佑、金子大地、奈緒、風吹ジュン
公式サイト:https://www.phantom-film.com/watatona/

漫画家・佐和子の新作漫画のテーマは・・・「不倫」
そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、佐和子の担当編集者・千佳と不倫をしていた俊夫は、「もしかしたらバレたかもしれない!」と精神的に追い詰められていく。さらに物語は、佐和子と自動車教習所の若い先生との淡い恋へ急展開。この漫画は、完全な創作?ただの妄想?それとも俊夫の不貞に対する、佐和子流の復讐なのか!?恐怖と嫉妬に震える俊夫は、やがて現実と漫画の境界が曖昧になっていく・・・(公式サイトより)

ドラマの不倫ものは無条件で見ますが、映画は必ずしもそうではありません。でもこの作品はおもしろそうなので観ようと思っています。
漫画と現実の境目が曖昧になっていく、というのがどんな感じか気なるし、主演の黒木華さん、柄本祐さんが魅力的。
それにしても不倫してる人って、パートナーが浮気してるかもしれないと思うと、自分のことは棚にあげて俄かに嫉妬し始めるんですね。そういうものなのかどうかわかりませんが、フィクションではそういう設定って多い気がします。

『空白』(9月23日公開予定)

2021年製作/107分/PG12/日本
配給:スターサンズ、KADOKAWA
監督:吉田恵輔
脚本:吉田恵輔
出演:古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、、寺島しのぶ
公式サイト:https://kuhaku-movie.com

ある日突然、まだ中学生の少女が死んでしまった。スーパーで万引きしようとしたところを店長に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれたというのだ。娘のことなど無関心だった少女の父親は、せめて彼女の無実を証明しようと、店長を激しく追及するうちに、その姿も言動も恐るべきモンスターと化し、関係する人々全員を追い詰めていく。(公式サイトより)

スーパーの店長が職業的正しさから起こした行動が思わぬ事故を呼び、なんということもなかった日々が一変してしまう。怖いです。
シリアスすぎてキツそうかも、とも思いつつ、”モンスターと化す”らしい古田新太さんがすごそうだし、追い詰められる松坂桃李さんも、タイトル“空白”の意味するところも気になります。

『MINAMATA ミナマタ』(9月23日公開予定)

2020年製作/115分/G/アメリカ
原題:Minamata
配給:ロングライド、アルバトロス・フィルム
監督:アンドリュー・レビタス
脚本:デビッド・ケスラー、アンドリュー・レビタス、ジェイソン・フォーマン
撮影:ブノワ・ドゥローム
出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子
公式サイト:https://longride.jp/minamata/

1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていた。そんな時、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。水銀に冒され歩くことも話すことも出来ない子供たち、激化する抗議運動、それを力で押さえつける工場側。そんな光景に驚きながらも冷静にシャッターを切り続けるユージンだったが、ある事がきっかけで自身も危険な反撃にあう。追い詰められたユージンは、水俣病と共に生きる人々にある提案をし、彼自身の人生と世界を変える写真を撮る──。(公式サイトより)

これもまたシリアスな内容を含むし、「感動作」と謳われているので、あまり気が進まない感じはあるのですが、私、写真も好きでして、写真家の伝記的映画として関心があります。ジョニー・デップもわりと好きだし。
社会派の感動ドラマではなく、一人の写真家が自分の仕事とどう向き合ったかというところをみたいです。
坂本龍一さんが音楽を担当されているようですね。

また、東京・六本木でユージン・スミスの写真展が開催されるようです。会期は11月5日〜11月25日。約60点の展示で、入場料はなんと無料。こちらも見たい。

『ミッドナイト・トラベラー』(9月11日公開予定)

2019年製作/87分/アメリカ・カタール・カナダ・イギリス合作
原題:Midnight Traveler
配給:ユナイテッドピープル
監督:ハッサン・ファジリ
脚本:エムリー・マフダビアン
出演:ナルギス・ファジリ、ザフラ・ファジリ、ファティマ・フサイニ、ハッサン・ファジリ
公式サイト:https://unitedpeople.jp/midnight/

アフガニスタンからヨーロッパまで5600km。
安住の地を求めて旅する難民家族が3台のスマホで自らの旅を撮影した前代未聞のセルフドキュメンタリー!(公式サイトより)

2021年8月15日にタリバンが突如としてアフガニスタンの権力を掌握しました。本作はその2年前の作品です。ドキュメンタリー作品の内容が原因でタリバンから死刑宣告を受け、家族を守るため家族とともにヨーロッパへ向かうことを決意した監督が、その道のりをスマホで撮ったもの。客観的な視点から扱われることが多い難民問題を、当事者側から、そして“家族”という親密な視点から切り取った貴重な作品ではないでしょうか。

間違いなくシリアスで、気が重くなりそうではあるのですがまさに今観るべき作品だと思います。

『トムボーイ』(9月17日公開予定)

2011年製作/82分/PG12/フランス
原題:Tomboy
配給:ファインフィルムズ
監督:セリーヌ・シアマ
脚本:セリーヌ・シアマ
撮影:クリステル・フォルニエ
出演:ゾエ・エラン、ジャンヌ・ディソン、マロン・レバナ、ソフィー・カッターニ、マチュー・ドゥミ
公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/tomboy/

夏休み、家族と共に新しい街に引っ越してきた10歳のロール。引っ越し先で「ミカエル」と名乗り、新たに知り合ったリザたちに、自分を男の子だと思い込ませることに成功する。やがてリザとは二人きりでも遊ぶようになり、ミカエルとしての自分に好意を抱かれていることに葛藤しつつも、お互いに距離を縮めていく。しかし、もうすぐ新学期。夏の終わりはすぐそこまで近づいてるのだった…。(公式サイトより)

本作は『燃ゆる女の肖像』(2019)のセリーヌ・シアマ監督が2011年に撮った長編二作目だそうです。『燃ゆる女の肖像』は良かったので、本作にも期待します。
調べていないので詳しくはわかりませんが、女性同士の愛というか心の通わせあいみたいなものが、個々の作品を超えた監督自身のメインテーマなのかもしれないとふと思いました。

しかし、夏、ってなんなんでしょうね。太陽の光が眩しいから眩しいの? それとも夏休みだから?
(8月の注目作品に入れなかったくせに)先ごろ観た『子供はわかってあげない』も、なんか眩しかったですし、『Summer of 85』(こっちも入れてないや)もそうでした。若さ×夏ってだけで映画になっちゃうところある気もする。本作もきっと眩いことでしょう。(しかし、映画の記事全然書いてないな… 結構観てるのに)

『マイ・ダディ』(9月23日公開予定)

2021年製作/116分/G/日本
配給:イオンエンターテイメント
監督:金井純一
脚本:及川真実、金井純一
出演:ムロツヨシ、中田乃愛、奈緒、毎熊克哉、臼田あさ美、徳井健太、永野宗典、光石研
公式サイト:https://mydaddy-movie.jp

御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に他界。一男は小さな教会の牧師をしながら、ガソリンスタンドでアルバイトに励みつつ、ひかりを男手ひとつで育てている。思春期に突入したひかりはちょっぴり反抗的な時もあるが、優しくて面白いお父さんのことが大好き。牧師として多くの人に慕われ、たまに娘と些細な喧嘩をしながらも、2人の穏やかで幸せな日々は続いていく……と思っていた、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師からある衝撃的な事実を告げられる。なんと、愛する娘は、自分の実の子ではなかった。ひかりに適合するドナーは「数百万人に一人」という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る……。(公式サイトより)

これもまたシリアスで闘病&出生の秘密もの、「そして、この家族の物語にあなたはきっと涙する。」って謳われてしまっているので観るかどうか悩んでしまいます。どうも「さあ、泣いてください」という作品がちょっと苦手なもので… でも、ムロツヨシさんの映画初主演作ということで、心惹かれてます。ムロさんがいい人って、これまたどストレートですけれども。

本作も『空白』と同様、父と思春期の娘の物語ですね。娘が死んでしまったり死んでしまうかもしれなかったりしたら、父親の心には何が宿りどう行動するのか。それを描くことで、両監督(ともに男性)は何を表現しているのか。その辺りが焦点となりそうです。

『由宇子の天秤』(9月17日公開予定)

2020年製作/152分/G/日本
配給:ビターズ・エンド
監督:春本雄二郎
脚本:春本雄二郎
出演:瀧内公美、河合優実、梅田誠弘、松浦祐也、和田光沙、池田良、木村知貴、川瀬陽太、丘みつ子、光石研
公式サイト:https://bitters.co.jp/tenbin/

3年前に起きた女子高生いじめ自殺事件を追うドキュメンタリーディレクターの由宇子は、テレビ局の方針と対立を繰返しながらも事件の真相に迫りつつあった。そんな時、学習塾を経営する父から思いもよらぬ〝衝撃の事実〞を聞かされる。大切なものを守りたい、しかし それは同時に自分の「正義」を揺るがすことになるー。果たして「〝正しさ〞とは何なのか?」。常に真実を明らかにしたいという信念に突き動かされてきた由宇子は、究極の選択を迫られる…ドキュメンタリーディレクターとしての自分と、一人の人間としての自分。その狭間で激しく揺れ動き、迷い苦しみながらもドキュメンタリーを世に送り出すべく突き進む由宇子。彼女を最後に待ち受けていたものとはー? (公式サイトより)

本作もまた、正義とは、報道とは、みたいな重いテーマのシリアスドラマです。ドキュメンタリーはどう作られて行くのか、というようなところも見られるのかもしれません。
主人公のドキュメンタリーディレクター木下由宇子を演じる瀧内公美さん、私はまだ出演作を観たことがないのですが、キリッとして存在感がありますね。
由宇子の父・政志を演じる光石研さんは、このところ引っ張りだこという感じで、9月公開映画だけでも本作と『マイ・ダディ』、『浜の朝日の嘘つきどもと』(9月10日公開/タナダユキ監督)に出演しています。

『ミス・マルクス』(9月4日公開)

020年製作/107分/PG12/イタリア・ベルギー合作
原題:Miss Marx
配給:ミモザフィルムズ
監督:スザンナ・ニッキャレッリ
製作:マルタ・ドンゼッリ、グレゴーリオ・パオネッサ
脚本:スザンナ・ニッキャレッリ
撮影:クリステル・フォルニエ
出演:ロモーラ・ガライ、パトリック・ケネディ、フィリップ・グレーニング、ジョン・ゴードン・シンクレア、フェリシティ・モンタギュー、カリーナ・フェルナンデス、オリバー・クリス
公式サイト:https://missmarx-movie.com/aboutthemovie.html

19世紀を代表する哲学者、経済学者カール・マルクスの娘エリノア・マルクス。マルクス家の伝説の3姉妹の末娘であり、女性や子供たち、労働者の権利向上のため生涯を捧げ、43歳の若さでこの世を去ったエリノアの、時代を先駆けた女性活動としての知られざる激動の半生を初めて映画化したのが本作『ミス・マルクス』だ。
1883年、イギリス。最愛の父カールを失ったエリノア・マルクスは劇作家、社会主義者のエドワード・エイヴリングと出会い恋に落ちるが、不実なエイヴリングへの献身的な愛は、次第に彼女の心を蝕んでいく。社会主義とフェミニズムを結びつけた草分けの一人として時代を先駆けながら、エイヴリングへの愛と政治的信念の間で引き裂かれていくエリノアの孤独な魂の叫びが、時代を越えて激しいパンクロックの響きに乗せて現代に甦る(公式サイトより)

カール・マルクスは知っていても、その娘については何も知りませんでした(今も知らない)。彼女自身についての映画ではあっても、偉大な父親との関係を抜きに語られることはないと思うので、本作もまた父と娘の話ということにもなるでしょう。

スザンナ・ニッキャレッリ監督は、哲学の博士号をとった後に映画を学び、監督となったそうです。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドで活動したドイツ人シンガー、ニコの伝記映画『Nico,1988』(2017)という作品があるらしく、これも観て見たいですね。本作の音楽もパンクなので、監督はパンクが好きなのかな。

撮影監督のクリステル・フォルニエは、上にあげた『トムボーイ』を始め、2007年からセリーヌ・シアマ監督作品の撮影を担当している技術者。映像の面でも期待できそうです。

『HHH:侯孝賢』(9月25日公開予定)

1997年製作/92分/フランス・台湾合作
原題:HHH: A Portrait of Hou Hsaio-Hsein
配給:オリオフィルムズ
監督:オリビエ・アサイヤス
撮影:エリック・ゴーティエ
編集:マリー・ルクール
出演:ホウ・シャオシェン(侯孝賢)、チュウ・ティェンウェン(朱天文)、ウー・ニェンチェン(呉念真)、チェン・グオフー(陳国富)、ドゥー・ドゥージー(杜篤之)、ガオ・ジエ(高捷)、リン・チャン(林強)

こちらは新作ではなく1997年の作品のデジタルリマスター版の上映ですが、劇場では初上映となる、“台湾ニューシネマを代表する”という枕をつけられる監督ホウ・シャオシェンをフランスの監督オリビエ・アサイヤスが撮ったドキュメンタリー。世界の巨匠たちに映画監督がインタビューを行う、フランスのTVシリーズ「われらの時代の映画」の中の一作品ということで、元はテレビ番組なんですね。

1997年の、とさらっと言っていますが、なんと25年も前じゃないですか。台湾映画の魅力の一端を知ることができ、かつ25年前の台湾を見ることもできる、貴重な作品だと思います。上映館が限られてしまっていますが、私は観に行けそうで嬉しい。「東京は人の住むところじゃない」ってよく言われますけど、私がそうは思わないのは、こういう理由です。映画が好きな人にとっては最高の街。

『ディナー・イン・アメリカ』(9月24日公開予定)

2020年製作/106分/PG12/アメリカ
原題:Dinner in America
配給:ハーク
監督・脚本・編集:アダム・レーマイヤー
撮影:ジャン=フィリップ・ベルニエ
出演:エミリー・スケッグズ、カイル・ガルナー、グリフィン・グラック、パット・ヒーリー、メアリー・リン・ライスカブ、ハンナ・マークス、リー・トンプソン、デビッド・ヨウ、ニック・チンランド
公式サイト:https://hark3.com/dinner/

孤独な少女が家に匿ったのは、覆面バンドの推しメンだった…!?
パティは孤独で臆病な少女。過保護に育てられ、したいこともできず、単調な毎日を送っている。唯一、平凡な人生から逃避できる瞬間、それはパンクロックを聴くこと。そんな彼女が、ひょんなことから警察に追われる不信な男・サイモンを家に匿ったものの、実はその男こそが彼女の愛するパンクバンド“サイオプス”の心の恋人、覆面リーダーのジョン Q だった…。
家族や周囲から変人扱い、社会不適合者、厄介者と蔑まれる、出逢うはずのない二人が、心惹かれ合い社会の偏見をぶっ飛ばしてゆく究極のアナーキック・ラブストーリーが誕生した!(公式サイトより)

自分もつまらない地方都市に住むパンク好きの孤独な少女だったから(笑)というわけではないですが、いや、やっぱりそういうわけなのかな、惹かれちゃいますね、この作品。
ちょっとおバカコメディっぽいテイストに見せつつ、たぶんいい感じに刺さって来そうな気がします(私には)。楽しみ。

* * *

他にも気になる作品はありますが、ちょうど10本になったのでこの辺りでやめておきます。今月は日本映画が多くなりました。これまでほとんど観てこなかったのですが、最近ちょこちょこ観るようになりました。noteには書いていないのですが…
もっと書こうと思ってるんです、思ってるんですがなかなか書けません。もう「観ましたー」だけでも書いて行こうかな。記録として。

それではみなさま、よいご鑑賞を。



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