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物騒になってきているフランスのエピソード

日本に1か月半ほど帰国していた。
帰ったばかりのアリエ県庁の話題(写真は県庁近くの歴史地区の建物です)。

外国人係窓口に予約していた移民の若い男性が訪れた。
予約は取っていたものの、書類不備で滞在許可証を得ることはできなかった。

そこで、彼が取ったのは、ガソリンをかぶるという行為。
「すぐに滞在許可証をよこせ!県知事を呼べ!でないと火をつけるぞ!」とライターをかざす。
そこにいた職員は何もできず固まってしまったらしいが、少し離れたところにいた職員が警察と…わたしの夫を呼んだらしい。県知事ではないけれど。

夫が駆け付けたのは警察とほぼ同時。でも警察も指示を出す人はすぐには来なかったらしい。

警官たちがちょっと離れてサポートする中、夫は男性に話しかけた。
幸いなことに、午前中会議があった夫は、ちゃんとスーツを着てネクタイもしていたとのこと。普通の職員はもっとラフな格好なのだ。スーツ姿というだけで、権威ある人に見える。
夫は相手の名を呼び、自分も名を名乗り、丁寧に話しかけ、「滞在許可証についてでしたら、わたしがお話を伺いましょう。お話したいので、まずはライターをください」とライターを手渡しで受け取ったという。ライターを受け取ったところで、警官が男性を捕獲。

やっぱり夫はヒーローなんだわ!とどきどきしながら話を聞いていたが、ふと気がついた。ヒーローなのは嬉しいけれど、危ないではないか。怪我をしたらどうする?

そこで、ヒーローぶりを讃えてから、二度とそんなことはしないで欲しいとお願いした。

ところで、書類不備と聞くと、ちょっと書類が足りなかったのかな?という印象を持たれると思うけれど、この男の場合は違う。
まず、パスポートは偽造。
調べると未成年時代にフランスに入国しており、すでに無免許運転や麻薬販売などの前科あり。

そんな彼でも人道精神に燃えるフランスのボランティア団体の支えがあって、滞在許可証を入手しに県庁を訪れたのだ。
貧しい若者にチャンスを!というわけだ。

フランス人の人道精神は、かなり偏っている。もはや病だ。
アフリカ出身だから、可哀そうなんてことはない。
それぞれ立派な国である。
それなのにフランスを尊重するどころか罪を重ねる不法滞在者を出身国に送り返さず、この国で面倒をみようとする。

公共施設でガソリンをかぶった若者も3日ほど精神病院で様子を見た後、解放されるとのこと。野放しなのだ。
寛容というより、弱腰ではないか。なめられていっても不思議ではない。

パリやその近郊で物騒な事件があり、恐ろしいことになってきたと思っていたが、フランス内陸部の穏やかな田舎にまで、その波が押し寄せている。

戦争も終わらないし、紛争は続く。暴力で解決しようとする時代に移っているのだろうか。





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