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『家族信託について考える』#1~ファミリーの安全と幸せを実現できるのか~

東京都行政書士会が設立した公益社団法人成年後見支援センターヒルフェ品川支部では、毎月第1月曜日(次回は令和4年2月7日 午後1時から 品川区荏原第4地域センター 第4集会室で)に、成年後見や遺言・相続についての無料相談会を行っています。ご相談を受ける行政書士は、常時5人くらい控えております。

わたしも、この相談会に参加していますが、最近、特に関心を集めているのが「家族信託」についての話題です。
そこで、『家族信託について考える』と題してシリーズで取り上げたいと思います。今、なぜ「家族信託」が注目を集めているのか、そのメリット、デメリットは何なのか、ヒルフェ品川支部での事例研究をもとに紹介していきたいと思います。

第1回目は、とある家族の祖父母の財産相続をめぐってのお話しから始まります。もちろん、この事例は全くのフィクッションです。

事例研究「祖父母の遺産相続について」
 (家族構成)
  祖父  A男 85歳  祖母 B子 82歳  
      ・長男家族と同居
  長男  C男65歳   妻f子 62歳
   (長男(父)は、3人の子ども(孫)あり、
   うち1人に知的障害があり、長男(父)が
   その子の成年後見人になっている)
  次男     D男
  三男     E男
(祖父名義の保有財産)
 ・居住の土地家屋  ・時価5百万円
  (土地は借地権
     ー建物所有を目的とする賃借権)
 ・農地  5反   1千万円 (不在地主)
 ・郵便貯金     2千万円
 ・株式       3千万円  

Ⓠ1 祖父は高齢であり、親を顧みることのなかった弟2人には財産を分与せず、自分の財産はすべて長男に相続させ、祖母には、そのまま自宅で安穏な余生を過ごさせたいと願っている。
最終的には遺言に変えて家族信託を利用したいと思っている。

Ⓠ2 長男にすべての財産を相続させようとすれば、他の兄弟から遺留分の請求が出て、争いの種になるのではないか。
それを防ぐ方法はないか。

Ⓠ3 祖父の生前に家族信託財産の管理処分権を、長男に譲っておけば、所有権の移転を伴わないので、他の兄弟から遺留分の請求はできないと聞いているけど、本当なの?

さて、今回はⓆ3までご紹介しましたが、この問いはまだまだ続きます。
なかなか、生々しい事例設定ではありますが、引き続き、こんな場合はどうなのか、こんな時はどうしたらいいのかなどを、考えていくうちに家族信託の持つ可能性とその問題点も浮き彫りになってくると思います。
この事例の答えは、どうなるのか気になる方は、次回の無料相談会にお越しいただければと思いますが、それは無理という方には、このnoteでご報告していきます。 

                          つづく

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