You raise me upのYouって誰だ?
一番好きな歌を挙げろと言われたら、たぶんこの曲だ。
世界的に大ヒットした曲だから、ご存じの方も多いだろう。
色んな人がカバーしているが、私が気に入っているのはこのおじさんのバージョンだ。
辛いときや悲しい時、この曲を聞くと勇気づけられる。
日本人の琴線に響く曲だと思ったら、案の定アイルランド民謡がベースになっていたようだ。それは、ロンドンデリーの歌(ダニーボーイ)だ。
歌詞もまさにそのまんま。私が落ち込んでいるときや弱っている時、あなたが私を支えてくれる。あなたが支えてくれるから、高い山の上にも立っていられるし、嵐の海の上も歩ける。
数年前に歌詞を調べた時、mountainsやstormy seasのところ、なんか妙にストレートすぎない?とは思ったけど、そのまんまの意味に捉えていた。
ところが、最近教会に行くようになって、この歌ってキリスト教の歌だったということに気づいた。
日曜の礼拝では、Worship Songというジャンルなのだろうか、バンドの演奏に合わせてフォークとロックがミックスされたような曲をみんなで歌う。歌詞はもちろん全部英語で、時々GodとかJesus、hallelujahとかかなんか聖書っぽい言葉が出てくるから賛美歌なんだな、と気づくんだが、日本人からするとポップスと変わらない。そして、歌の中にはYouがしょっちゅう出てくる。
Youとはもちろん「神」である。主語がないと文が成り立たない英語の特性から、恐れ多いが神様のことも「You」と呼び捨てだ。
例えば、私の好きなOceansという曲がある。
(字幕を使って聞いてみてください。歌詞が表示されます。)
これも、最初はWorship songと気づかなかったのだが、よくよく歌詞を見ると、
「あなた(You)が来なさい」と水の上から言った。
などと、聖書を知らないとまったく意味不明だ。
もちろん、海は好きな私なので「海が呼んでいる」と勝手に解釈して、
"I am yours and you are mine "の部分も
「海と一体化いいねー。スピリチュアルな歌で良き良き」と思っていたら、
Youは「神」のことだった。
神のこと気安く「You」って呼ぶなよ、と言いたい。
「海の上を歩く」エピソードは、ずばり聖書に出てくる。
そういえば、イエスが海の上歩いたりっていう記憶がうっすらあった。
*キリスト教は2000年前に成立した宗教なので、聖書の奇跡エピソードは仕方ないけど、子供心に全く信じることができなかった。
「You raise me up」の海の上を歩くっていうのも、まさにこのエピソードに違いない。ぐぐってみると、解釈しているサイトがいくつかあった。
しかも、”You raise me up”というフレーズも旧約聖書の「詩篇」に基づくらしい。英語の聖書読んだことないもんで、全然知らんかった。
いやはや、You はてっきり友達か恋人だと思ってたよ。歌に出てくる「You」が神のことを指しているとしたら、詩の雰囲気がかなり違うなぁ。
私は「You」 のことを頼りにしているわけではない。キリスト教の哲学、平等博愛精神や家庭を大切にする考え方には共感するけれど。
例えば「贖い(あがない)」の考えには本当に救われる。この意味がわかるまで20年ぐらいかかったけどな。
*萩尾望都の「トーマの心臓」のおかげでようやく理解した。
ちなみに私は「Youの贖い」によって魂が救済される、いつになるのかわからん遠い未来の日のことをを当てにしているわけではなく、
私自身が贖いをしている。
*本来の贖い→「イエスが人間の罪を贖うために十字架にかけられること」
どういうことかというと、
私が喘息発作とかでつらく苦しんでいる時は、誰かの贖いをしているんだと思えば、不思議と苦しくても耐えられるのだ。
これは、三浦綾子さんの自叙伝か何かに書かれていたことだ。もう、どの本に書かれていたのか思い出せないのだけれど。
三浦綾子さんは結核のために10年以上療養生活を送り、寝たきりになり、骨にも感染して(たぶん脊椎カリエスか?)ものすごい痛みに苦しんだという。そのときにこの痛みは誰かの痛みの身代わりなのだと、自分が痛い代わりに他の誰かの苦しみを和らげていると考えると不思議と苦痛は消えたという。それ以来、私もそう思うようにしているのだ。
そういうわけで、Youはもしかしたら自分自身なのかもしれないな。
あなたが、肩を貸してくれたから私は強くなれる。
あなたが、私を引き上げてくれたから、今まで以上にがんばれる。
肩を貸してくれたり引っ張り上げてくれるYouが周りにいないあなた、Youはあなたの心の中にいる。
実はそれが「神」の正体なんですよ。
■ イエスが水の上を歩くエピソードはこちら↓
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