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病院薬剤師さんに感謝

病院薬剤師不足が深刻だという。

そういえば、私が勤めていた病院の薬剤師もいつも定数マイナスだった。
人が足りないから、シフトも過酷で、当直もあったし外来の薬や日勤処方の薬が17時に間に合わないことも多くていつでも残業して忙しそうにしていたのを思い出す。

病院の場合は、内服の調剤だけではなく点滴、抗がん剤、生物製剤、麻薬の払い出しもやってたから仕事は単純ではなかったと思う。それに加えて、患者に薬の内服方法の指導、抗がん剤や生物製剤が始まるときにはその説明もやっていた。
絶食中の患者も多かったから、高カロリーの輸液も大量で薬のカートの準備を当直が夜通しやって、緊急入院の患者の注射薬の緊急払い出しもしょっちゅうだった。

一番気の毒だったのは、入院患者が来たら患者の持参の内服薬などを全部チェックして、残数を数えて一覧表を作っていたこと。入院患者は普段飲んでいる薬を持参してくることになっていたけれど、その持参薬が大量で、30種類を超える薬を飲んでいる人が3ヶ月分とか持ってくるから、スーツケース一個分くらいの薬を持ってくる人もいた。正直、見ただけでもお腹いっぱいになる量なんだが、それを看護師が患者から受け取って、病棟薬剤師(各病棟に一名薬剤師がいた)の机に置く。薬剤師さんはそれを、文句も言わずに数えてリスト作ってくれるんだよね。そのリストを元に、医師が継続する薬と内服中止する薬を決めたり、看護師が内服確認やお薬が自己管理できない人にはこちらで一人分ずつお薬を渡すために整理したりしている。

私の病棟は入退院が多かったから、多い日には17人もの入院患者が来た。だから、薬剤師の机の上に、薬のタワーみたいなのができていた。

トロントの市庁舎のタワー

すでに薬満載のカゴのタワーの上に、回収してきた薬を置く。もう、気の毒で仕方なかった。短期入院の人は、せいぜい1週間分とかしか持ってこないから数えるのも楽だが、名前の書かれていない粉薬とか、得体のしれないサプリメントを持ってくる患者もいたなぁ。でも、診療報酬の関係で、入院患者の薬を薬剤師がチェックすることで病院にお金が入る仕組みになっていたから、数えるしかなかった。

薬剤師は、病棟でのカンファレンスにも参加することがあった。また、薬剤師に薬の効能や副作用などを聞くことができて、いつも助けてもらっていた。そんなに忙しいのに、病棟の飲み会にも来てくれて看護師ともコミュニケーションを取ってくれていた。けれど、本当に激務だったのだろう。次第に病棟を掛け持ちするようになり、本来は病棟担当しない係長なども病棟に来るようになり、私が辞めるころには薬剤師の入れ替わりも激しくなっていた。

薬剤師の仕事で重要だったのは、薬の相互作用や副作用のチェック、医師の処方に疑問があったら確認してくれたこと。ある心不全の患者の点滴にカリウムを混注して投与することがあった。医師の指示で一般的な濃度よりも高い量を混ぜた。当然私も医師に何度か確認した。私は循環器や心臓の専門ではなかったので高濃度のカリウムの点滴はしたことがなかったからだ。(高濃度のカリウムを注射すると心停止します。カリウムは怖い)

医師は忙しいから、看護師がなにか質問しても答え方が乱暴だったり丁寧に説明してくれないことがある。でも、薬剤師には敬意を払っていることが多いから、薬剤師が問い合わせるとちゃんと説明してくれたりする。

そんなこんなで、病院薬剤師は地味な存在だが、とても重要。
なのに、お給料は看護師よりも安かった!!
夜勤の回数が違うっていうのもあったけど・・・

病院薬剤師をもっと大切にしてほしい。。。

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