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『はるかのとびら』(『みぽりん』松本大樹監督のリモート短編)が心に沁みるワケ〜緊急事態宣言Day32

 昨年、神戸・元町映画館で連日満席の大盛況にはじまり、関西のミニシアターで一大ムーブメントを巻き起こした神戸発のインディーズ映画『みぽりん』。地下アイドルが六甲山(阪神タイガース応援歌「六甲おろし」で有名!)の山荘に監禁され、恐怖のボイストレーナー、みほから驚愕!?のレッスンを受ける…というホラーコメディは、監禁上映、キャストと一緒にツッコミをいれながら観る絶叫上映、上映後に挿入歌や応援歌ライブがある応援上映と、みぽらーと呼ばれる『みぽりん』ファンと共に大きな盛り上がりをみせた。取材する側の私も、松本監督の人柄の良さと、キャストも含めて映画を届けたいという懸命な思い、映画の面白さにみぽらー化した一人だ。

 そんな松本監督が5月8日にリモート短編『はるかのとびら』を緊急配信したので、早速鑑賞。『みぽりん』キャストが実名でリモート出演しているので、最初は懐かしさや、元気なキャストたちの姿に癒されていたのだが、時間が進むにつれ、主人公はるか(津田晴香)の心の闇が浮かび上がる。もうどうしていいのか分からない。そんな状態のはるかには、先輩たちのどんな陽気な声かけも、違和感を感じてしまうのだ。後半はえっ?という感じから、思わぬ展開になっていくのだが、ジャンル映画的要素を取り入れながらも、ほんとうに些細な身近なことが突破口になることを教えてくれる。不安に苛まれながら生きる今、足元を見るのではなく、ちょっと視線をあげると実は美しい空が広がっている。そんな気持ちがこもったような、ピアノ弾き語りのエンディング曲「空」が優しく心に沁みる。アイデアいっぱいのリモート短編が続々登場し、日々それらに力をもらっているが、逆に塞ぎ込んでしまった主人公の心の動きを描いた作品は初めて観た気がする。涙しそうになるエンディング、ぜひ観て欲しい!

リモート短編『はるかのとびら』

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