見出し画像

「映画は、映画館しか本来の姿がない」『許された子どもたち』初のQ&A@元町映画館

 関西では6月1日からテアトル梅田で絶賛公開中の『許された子どもたち』が、先週末から神戸・元町映画館、京都・出町座で公開された。

 日曜日の6月21日は、関西入りしていた内藤瑛亮監督が上映後の舞台挨拶を行った。兵庫県の映画館では多分初めてとなる舞台挨拶。20分強ほど時間があったこともあり、最初1つだけ同館スタッフの石田涼さんが質問した後、早速客席に質問を振るという展開に。

 この作品は緊急事態宣言発令最中の5月にスクリーナーを観て衝撃を受け、ズームインタビューを1時間以上たっぷりとさせていただき、インタビューも前後編の大ボリュームになったという、私の中では「この作品を観ずして、今年のベストテンは語れない!」作品になった。それだけの衝撃作なので、もちろん映画館で体感したのだが、やはり音の迫力もすごければ、それぞれの登場人物の視線の鋭さや、各カットの持つインパクト。さらには、後半主人公親子が過ごす工場や川のある街並みの印象など、新たな発見がたくさんあり、最後にハッ!とされられるあっという間の2時間強だった。

 この後即移動するということで、上映中に書いておられたというポスターのサインのウサギもキュート。実在の様々ないじめ事件を調べて作り上げた本作には、ネット上での誹謗中傷や、加害者、被害者共にプライバシーを晒される様子や、正義を振りかざす一般人が糾弾することで、罪に向き合うより先に、自らが傷つかずに生きる道を探すサバイバーに転じてしまう皮肉さが滲む。様々な質問に答えながら、「実はこの作品でQ&Aをするのは、今日が初めてなんです」と告白。関東ではまだ舞台挨拶ができる状況ではなく、関西も時間や劇場の関係で、舞台挨拶にとどめていたのだそう。お客様からの反応が聞けることを喜びながら、新型コロナで公開が延期になったことで、一時期はオンラインで先行公開の選択肢があった中「音にしても映像にしても、映画は、映画館しか本来の姿がない」と、映画館での公開にこだわったことを明かして締めくくった内藤監督。偶然帰りの電車でご一緒したので、直接ご挨拶もでき、唯一!?ほっこりする親子のベリーパイ手作りシーンは、監督の奥様が実際作っておられたという裏話も聞けた。コロナ禍で公開時期や公開方法に様々な監督や配給会社が可能性を探っているが、そういう生の声を聞けたのも、やはりリアルならでは。また少し日常が戻ってきたような1日だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?