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前々回のnoteで完璧を求めることのストレス発生について、見解を述べましたが、もう少し別側面から考えてみたいと思います。

人間同士が営んでいる社会は千差万別の意思が交錯しているので、多分に規律が必要となります。この規律への順応力の違いによって、新たな価値観が生まれ、またその点についての順応力、さらに差異が生じると…ある種の倍々ゲームのような様相を呈しているのが、規律に向き合う人間同士に他なりません。収まりどころは結局、個人に備わった倫理観に委ねられるのです。

私は本年2022年に於いて、久しぶりにプロ野球動向のチェック、特に元々の熱烈ファンであった中日ドラゴンズを本腰入れて応援しています。
きっかけは2点あります。
子供時分に心底好きだった、球界を代表するリーディングヒッターの田尾安志氏がYouTubeで番組を立ち上げた事を知り、フォローする事で自然と忘却していたプロ野球熱が復活してきた点。もう1点はミスタードラゴンズにして、生え抜きで12年ぶりに立浪和義氏が監督として現場復帰するタイミングという点…現状をどのように改革していくか、立浪監督の手腕に非常に興味を持ちました。

監督就任会見での立浪監督から印象的な言葉があります。
「大きな補強をしなくても、選手個々の能力を10%向上させるだけでチームは変わる」

プレイヤーの潜在能力を引き出し、向上を妨げる要素を改善させるという…メンタリティと技術について立浪監督は指導の力点を置いたと思われます。
プロ野球におけるチーム強化と企業経営・マネージメントは重なる点が多く、よく引き合いに挙がります。
チームをまとめるリーダーシップの姿勢として、私は立浪監督の方向性に頷ける点は大いにあります。

実際、ペナントレースが始まり、昨年まで控えだった若手をレギュラーに積極起用、外国人もキューバ出身のアリエル・マルチネスが確実性の高い打撃力向上で、唯一の中軸を任せられるビシエドに次ぐ外国人バッターへと存在感を増してきました。

そして…現在(6/10時点)27勝33敗、現在4位と決してファンが満足できる順位でないことは確かでしょう。
そこで、主にTwitterを中心に吹き荒れる立浪監督への采配批判が目に余る状況となっています。

かつて、落合監督時代の8年間全ての年でAクラス入りを果たし、4度のリーグ優勝と1度の日本シリーズ優勝を達成していながら観客動員はあまり芳しくなかった理由は何故かと考えます。

それは落合氏の持論である‘プロ野球は勝つことのみが全てであり、ファンは応援する球団が勝つ事だけを望んでいる。勝つ事のみが最大のファンサービスなのだ’といって憚らなかった正論故の冷徹さがどこか好きになれない、日本人的とも言える情実の文化の否定に捉えられかねない落合イズムにファンは冷めてしまった人も少なくなかったのではないかと推測するのです。
例えが適当か否かですが、まったく接客が無愛想なお蕎麦屋、しかし味は旨いと…一方で接客は素晴らしいが味はまあまあ…どちらを選ぶでしょうか。ポイントは多分、また行きたくなるお店はどちらかという事に収まるのだと思います。店の雰囲気、価格感も加わり総合判断されるのでしょう。

落合氏のスタイルは最初に結果ありきを標榜する事で議論をさせず、満足させてあげるのだから一切文句言うなという、野球は好きでも中日のファンは辞めようと思わせてしまった解釈、要因は存在したのではと、当時、落合氏が監督を退任する理由はペナントレース結果だけを考察すると無かったのです。

立浪氏という新監督を迎えるにあたり、中日球団は詳らかに財政事情を話し、どこまで補強に予算がかけられるか含めて未来展望を私は協議したと思います。
その結果、現有戦力でレベルアップを図り育てながら勝つ野球で一致したと考えます。

地元色が強い土地柄の名古屋に於いて、待望の立浪監督を迎えた事での意義は大きく、ここは単なる勝敗に一喜一憂するのがプロ野球とは言えど、もっと長い目で選手育成を期待したいものだと思います。
落合監督時代に勝つ野球のリアリズムを目の当たりにして、同じ事をファンは求めているのかと問い質したくなります。

Twitterで怒りをぶち撒けるのではなく、冒頭に述べた、社会は人間が行う事により形成される場なので、時に共感、時に反感も生まれるものだとするならば、立浪監督の選手起用も情実の人事と個別な期待も織り混ぜられて当然なのです。
故に結果主義に陥ることは虚しさが伴うものだと覚れば怒りは収まるのではないでしょうか。

私は立浪監督を支持します。

野球を題材した映画で、
『メジャーリーグ』『フィールド・オブ・ドリームス』がハリウッド大作的に直ぐに思い浮かべる方は多いと思います。
個人的にロバート・レッドフォードが主演した『ナチュラル』こちらもオススメです。
‘絵になる男’ロバート・レッドフォード。
叙情性も相まっているのと、新聞記者役の名優ロバート・デュバルもいい感じなのです。

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