見出し画像

最近見た・読んだもの(2024年2月)


アニメ『キングダム』

秦国の奴隷出身の『信』が天下の大将軍を目指してガンガン出世していく話。

人気があって長く続いてる作品は面白いのでは?と踏んで夕食のお供に見始めたのだけど、案の定めちゃくちゃ面白かった。度々泣いている。第一シーズンを見終わったところで号泣。今は桓騎と玄峰云々のところ。桓騎が推しになりそうな予感がする。

史実からどこまで脚色してるのか気になってくる。
そういえば前にコテンラジオを聞いてたのだけど、キングダムの回になってからハイコンテクストに感じてそれ以降聞いていない。また聞こうかな。


小谷野 敦『私小説のすすめ』

phaさんの『人生の土台となる読書』を読んで気になっていた本。
私小説の良さや、有名な作品、物議を醸した作品などについて語られている。
私小説は他の小説と比べて立場が弱いらしい。そういうニュアンスは全然知らなくて、へ~と思いながら読んでいた。
文豪には詳しくないので分からない作家の話が多かったけど、芥川龍之介と谷崎潤一郎のくだりにはびっくり。論争中に自殺ってどういう心境だったのか。。
作中で何度も出てきた田山花袋の『蒲団』が気になって、kindleでダウンロードした。


太宰治『ヴィヨンの妻』

綿矢りささんが作家を志したきっかけの作品と聞いて、気になって読んだ。
太宰治が亡くなったのは昭和23年の6月らしいのだけど、この短編集内に収録されている作品は昭和21年12月~昭和23年8月号とあって、死ぬ前に描いた作品が主に収録されている。

・特に印象的だった短編『親友交歓』
罹災して生家に戻ってきた主人公が、自分の親友と名乗る男と家でお酒を交わすのだけど、相手のかなり自分勝手なふるまいに主人公が辟易している様子が書かれている。最後の(自称)親友男のセリフが印象的。

私も主人公と似たタイプなので、読みながら親友男の行動に(んだこいつ…)となっていた。事なかれ主義で、内心思うことはあれど『さっさと終わってくんないかな…』と過ぎ去るのを待つタイプ。

これは私小説なのかな。自分のことを晒して書くのは分かるけど、完全に他人への悪口のように捉えられる。こんなの発表して揉めたりしないんだろうか。だから序盤に弁明みたいなのを書いてたのかな。

最後のセリフが怖い。唐突に暴言を吐ける人って何を考えてるのか、何をしでかすのかわからない。セリフが目に入った後、ダメージが残って、よくない動機がした。
解説などを読むと『ユーモアのある作品』とあって、私の印象とはかなり違うな…と思う。受け取り手によって面白かったり怖かったり、感じ方が違うのは不思議な作品だと思った。

全体を通してとにかく生きるのがしんどそうという印象。
どこまで本当にあったことなのかは分からないけど、他人の視点でも(おそらく)自分にあたる人物を責めていたり、とにかく自己嫌悪の塊。
妻がいて、子供がいるのに、家にお金は入れない、自分は他の女のところで外泊ばかりして子供の面倒はみない、酒で借金する。自分の事を責めてはいるものの、変われない葛藤が見える。


映画『百万円と苦虫女』

ふと見返したくなって見る。最初に見たのはフィルマークスを見た感じだと2013年だった。
ちょっと食らいすぎて、感想などは別の記事にしました。

原作がなくて、監督と脚本が同じ人でタナダユキ氏。
マジで天才か?ほかにも小説を書いているようなので色々読みたい。
最後の展開は普通に忘れてて号泣。


ドラマ『À Table!(ア・ターブル)〜歴史のレシピを作ってたべる〜』

吉祥寺に住む夫婦が、偉人が食べていた料理を再現して食べるドラマ。全体的に登場人物に教養があるのでたまにノットフォーミー気味だなと思ったりする。あと部屋とかアイテムが全部おしゃれ。自然な演技なのでどこまでが台本なのか気になる。味の感想とかは演者さん自身の感想なのかなあ。

6話が印象的。
主人公(市川実日子)の大学時代の友人が家に遊びに来る回。
自分が憧れだった仕事についている友人が羨ましくなったり、自分が体験したことのないパリ留学の話に置いてけぼり気味になったりしてモヤモヤする主人公。
お互いに素直にうらやましいって言い合える関係っていいな。
カメラワークだけで「この人は独身なのかな」と思わせるの、うまいな〜と思った。特に友達がアップになるとかじゃないのだけど。

10話も印象的。転々と、自由奔放に生きているおばが遊びに来る回。
「エッセイストになりたいって言ってたけど描かないの?」「何者かになりたかっただけ」「成功の反対は行動しないこと」。

「何者かになりたい」という感情を映像作品で取り上げられているの、初めて見たかもしれない。
私もずっと「何者かになりたい」気持ちが抜けなかったけど、最近人からどう見られるかを考えずにただ好きなこと、面白そうなことをやっていたらそれの感情がちょっとずつ落ち着いてきた。かもしれない(かなり波があるので今だけかもしれない)。
もっと早く自分に素直になれれば良かったとも思うけど、やっと呪縛が解けてきてよかったとも思う。

エッセイストになりたかった主人公が、特に最終回でも大きな変化がないのがいい。内心(やってみようかな)と思えるくらいのきっかけがドラマ内で与えられた、くらいの変化が急ぎすぎてなくてちょうどいいなって思う。人間やりたいことなんて、そんなすぐには見つからない。


映画『ダラス・バイヤーズクラブ』

男社会育ちでトランスジェンダーに偏見のある、粗暴で性に奔放なカウボーイ。HIVに感染してしまい、今までの仲間にも偏見を持たれてしまう。

薬を求めてメキシコの無免許医師のもとへ。アメリカでは認知されていない薬を処方されるとみるみる体調は良好に。自身も使用した薬をアメリカのHIV患者に売るビジネスを始め、次第に偏見を持っていたゲイとも打ち解けるようになる。

これ実話なんだ。
そもそもエイズとHIVのことをあまり知らなかった。
前につるんでいた男と再会するのだけど、連れのゲイを紹介するも拒否。首を絞めて握手しろと言うところに成長を感じる…。ゲイというカテゴリーでなく、人間一人としてとらえている感じ。

実話を元にした映画は見応えがある。国と戦うようなものだと尚更。
日本だとこういう作品ってあんまりない気がするけど、私が見てないだけかなあ…


穂村弘『世界音痴』

穂村さん2作目。
太宰っぽいという感想を見かけて、スーパーのやつとかは確かに…と思う。穂村さんの作品は自分の情けないところをユーモアも交えて書いている、という印象はありつつも、一部つらそうに生きているように感じるところもある。

普段本を読みながら「いいな」と思ったところがあれば抜粋してメモしてるのだけど、穂村弘は面白くて文章丸ごとメモしたくなる。
流石に現実的でないので、手元に置いときなさい…


施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』

このツイートを見かけて、夫氏のkindleで一気読み。

エモすぎ!めちゃくちゃいい。
自分が読んだことがある本を紹介されてるとテンションが上がる(本編にもあったけど)。

7巻の最後で各々創作しようとするのめちゃいいね。私も最近エッセイっぽいものを書いたので、生みの楽しさに共感。人からアイデアをもらったり、自分が「読みたい」と言ってたら「書いたら?」と言われたり、自発的じゃなくて人からきっかけをもらうというのも私と一緒だった(私も夫氏に『そのテーマでエッセイ書いてみたら?』と言われて書いたので)。

ほんとにキャラクターが生きているみたいな思考回路や流れだなと思う。
これからもこの子達がいる世界に浸っていたい。愛しい。


Balming Tiger『UP!』

印象に残った、よく聞いた音楽もメモしていくことにする。
YouTubeで流れてきて聴いたくらいなので全く前情報なし。クセになるMVと音楽。去年のフジロックにも出演していたらしい。
この俳優さん(ク・ギョファン)見たことある気がするなと思ってたらウ・ヨンウに出ていたそう。ゲストなのでそんなに印象に残ってはなさそうだけど。
この現実的な陰鬱とした感じが好きで、ク・ギョファンが出ている『D.P. -脱走兵追跡官-』も見始めた。


Netflix『D.P. -脱走兵追跡官-』

韓国に徴兵令があることは知ってたけど、詳しい内情とかは知らなかった。そもそもなんで必要なのかとか。いつ北との本格的な戦争が始まるか分からないから備えているという感じなのかな。間違ってたらすみません。

脱走兵を探し出して逮捕する『D.P.』という役職の主人公。
イジメ問題が蔓延しているので、徴兵前はすごく良い人間だった人がいじめの主犯を殺害しに脱走するとか、むごい。刑務所でのイジメと似てるけど、先輩などの立場が決められていて逆らえない分、もっとタチが悪そう。

イジメの描写がキツいのだけど、ホヨル(ク・ギョファン)のキャラがコミカルで助かる…いいやつ。このドラマ唯一の笑える要素。

今シーズン1の最終回まで見たところなのだけれど、思いつく限りの連ドラ最終回で最悪に胸糞が悪い。
キツすぎてちょっと続きが見れない。覚悟が必要。
どれくらい事実を踏襲してるんだろう。このドラマ、韓国ではどういう反応だったんだろう。軍が存在するのは仕方ないのかもしれんが、いじめ問題とかはどうにかならんのか。うーん。


ドラマ『パンとスープとネコ日和』

小林聡美ともたいまさこの組み合わせってどこから生まれてどんだけ派生してるんだろう。

バイトの女の子、29歳とは。てっきり20代前半かと思った。自分と変わらなくて笑った。フリーターとしての生き方を好んで選んでるって表明してくれるキャラクターは助かるな。
ちょうど自分も、初めて調理関係のバイトを始めることになったので重ねて見てる。
自分は普段の食事にあんまりこだわりがないのだけど、この穏やかな雰囲気に感化されてケーキを作ってみたくなり、母にレシピ本をもらうことにした。
小説もシリーズであるようなので読んでみたいな。

最終回の謎ダンス、シュールすぎて笑ってしまった…


中村文則『銃』

ほんタメで紹介されてたので読んだ。大学生が銃を拾って魅せられていき、だんだん撃ちたくなってくる話と、医者に対しての女の独白、『火』。

読んでいて主人公の女性蔑視がチラチラ現れるのがキツい。しんどい生き方をしてきた結果、こういうドライな人間になってしまったんだろうなとは思う。この主人公が考えていることに興味がないからあまり面白く思わなかったのかも。起きた出来事にしか興味が持てない。
もう一作も、なんか独りよがりな印象であんまり好きではない。ノンフィクションとかなら面白いかも。

あと文章も、個人的には読みにくい…。「?なんのこと?」となって、一文を繰り返し読むことになる。私だけ?
読みにくさと個性って難しい。舞城王太郎とかはクセがあるけど好きだったし、読みにくいとも違う。今作はなんとなく読み手に親切じゃない文章という印象がある…。

確かに、人を殺すためだけの機械が存在してるのはすごいことだ。生で見たことないけど、持ってみたらどういう感想を持つんだろう。


魚豊『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』

『チ。』『ひゃくえむ』の魚豊さんの新連載。最終回を迎えてしまった。
工場勤務の青年が陰謀論にハマってしまう話。
連載当初からどう終わるのかハラハラしてたのだけど、希望のあるラストでよかった。
最後の主人公と先生の会話で、私自身が某マルチの勧誘にあった時のことを思い出す。
こっちが本音で話そうとしても、勧誘側は全く本音で話さないんだよな。
勧誘対象としてしか見られてないのがわかる話し方。あれは本当に洗脳そのものという感じで、「ああこの人とは相容れないんだなあ」と切なくなったのを思い出した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?