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2021-22年秋冬メンズ OAMCなど注目のブランド5選

2021-22年秋冬のメンズファッションウィークに発表されたコレクションやルックの中から、気になった旬なブランド5選をピックアップしてみました。

全体的な傾向として、あからさまなストリート色は一旦落ち着いた感はありますが、それでも時代の気分はシルエットがストリートだったり、居心地の良いリラックス感があったり、カジュアルなムードが主流なようです。そこにエレガンスやラグジュアリーな雰囲気をどう対比させているか。そこが注目のポイントですね。

個人的には他のブランドにないようなモダンなマテリアルの使い方をしているか、他種とのコラボレーションを含めアートな雰囲気がするか。この辺りも今気になるポイントです。それではご紹介していきたいと思います。

1.OAMC(オーエーエムシー)

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ルークメイヤーが手掛けるOAMCが洗練度を増している。初期の頃にあった上質なストリートウエアという立ち位置から脱却し、今や独特の存在感を放つブランドに急進。伝統的なワークウエアやミリタリーウエアをラグジュアリーかつ革新的な素材を使い、職人的技術によって完成度の高いプロダクトを表現。フォトコラージュを始め、アートの要素を大胆に取り入れているのも、モダンな雰囲気を表している要因だ。これまでもヴォルフガング・ ティルマンス、森山大道、ダニエル・ジョンストンズなどとコラボレーションしてきたが、今回はアメリカのアーティスト、ロバート・ラウシェンバーグにインスパイアされたもの。

シルエットは良い意味でモード感が薄い、言わばストリートのムードが強い。そこに最上級の素材やテクニックが融合。そのギャップがこのブランドの最大の魅力だろう。パートナーであるルーシーメイヤーと共に手掛けるジルサンダーを含め、今最も注目したいデザイナーのひとりだ。

アメリカの美術家であるRobert Rauschenberg(ロバート・ラウシェンバーグ)のコラージュとアッサンブラージュ。ラウシェンバーグの語彙では”結合”。Josef Albers(ヨゼフ・アルバース)の指導のもと、伝説的なブラック・マウンテン・カレッジでの最初の年に経験した、素材を混ぜ合わせるという考え方を最初の出発点としたという今シーズン。
キーとなるのは、ラウシェンバーグの言葉である「素材の可能性から始める」、「世界を一つの巨大な絵画と考えない理由はない」。
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2.Overcoat(オーバーコート)

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ブランドの名のとおり、コートのかっこよさに痺れるブランド。デザイナーの大丸隆平氏は2006年に渡米後、ニューヨークにて多数のコレクションブランドの企画デザイン、パターン製作、サンプル縫製を行ってきた人物。凄いなあと思うポイントは、コートやジャケットなど基本メンズ、レディースの境目がなく、同じアイテムを提案しているところ。カッティングやタックなどの工夫により様々な体型の人にフィットするアイテムに仕上げているという驚き。
立体感のあるリラックスしたムード、上質な素材。トラッドでありながらアヴァンギャルド。ニューヨークの空気感たっぷりの、ジェンダーやエイジを超越するおすすめのブランド。

「軸足はパタンナー。オートクチュールの着心地をプレタで着られる。そしていろんな人種の人にも合い、着る場所を選ばないような服を目指している。作者の思いがあっても、手が離れてからは着る人が主役。服はプロダクトだと思うから、作者の意図から離れたときにプロダクトの本質が伝わる。究極を言えば作者の思いはどうでもよい、だからきちんとモノ作りに真摯に向き合う。僕が今着ているパンダのTシャツも最初にデザインした人がいて、それをパクった人がいてチャイナタウンで売られている。その人の手から離れて遠いところにいる。それが面白い」。
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3.JOHN LAWRENCE SULLIVAN(ジョンローレンスサリバン)

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2003年設立なので、東京ブランドの中でもベテランの域に達した感はあるが、ここに来てまた勢いのあるコレクションを発表してくれた。今回は11年ぶりの東京コレクション。そしてスタイリングを担当したのはなんと「タカヒロミヤシタザソロイスト.」の宮下貴裕氏。
テーマは今の時代を連想させる、身体を守る衣服「PROTECT(プロテクト)。ミリタリーやバイク、スポーツと言った様々な「防具」をモチーフにしたルックが登場、中でも拘束具を使用したボンテージスタイルがショーのイメージを決定付けた。サリバンの代名詞とも言える英国風テーラードスタイルとパンクファッションの融合が、ゴシックで不穏な世界を導き出す。
一見際どいスタイリングになりそうだが、ゴツいワークブーツや絶妙に緩いサイジングで今ぽく見せている、流石。個人的には肩を広く取ったオーバーシルエットのチェスターコートや、ボックスシルエットのジャケット、ボンテージのトレンチコートなどが気になりました。

柳川は、コレクションの見せ方などについても「宮下さんに導いてもらった部分も多かった」と話している。柳川ならではのアグレッシブさではなく「静かなる強さ、静かな怒り」といった宮下の提案から気付きを経て、模索しながら作り上げたという。フィナーレで登場した柳川は、同じ世界で闘うデザイナーに敬意を払うように、タカヒロミヤシタザソロイスト.のフェイスマスクを着用していた。
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4.OUR LEGACY(アワーレガシー)

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2005年にスウェーデン・ストックホルムで設立されたブランド。アンダーグラウンドなアートを背景にした、ミニマルなスタイルが特徴ですが、ここ数年のルックを見ると、やはり初期のマルタンマルジェラを感じます。特にメンズは2000年代初頭の、僕もすごく好きでハマっていた頃を思い出します。
野暮ったいシルエットのレザー(コーティング?)のパンツに、粗野な雰囲気のニットやコートを着てる感じ。ライトブリーチのデニムに白いブーツを履いて、ネイビーのニットを着たマリンぽい感じ。古着のスウェットを継ぎ接ぎしたような雰囲気なんて、当時のアーティザナルそのもの。
でもどこか今ぽいシルエットになっていたり、やりすぎ感なく控えめだったり。うーん、とても好きです。アクセサリーとか靴とかも本当にそれっぽいので、これはちょっと確信犯ですね。

「多くのデザイナーは、多分、あんなブランドになりたいという目標があるのだと思うけれど、ぼくらはそんなふうに考えたことがないんだ。これが自分たちにとっての最善だと思えばやる、その繰り返し。だけど強いていうなら、同じストックホルム発の先輩という意味で、〈アクネ ストゥディオズ〉には少なからず影響を受けているよ。彼らも、いわゆるファッションブランドとしてではなくクリエーティブエージェンシーから始まったブランドだし、ファッション業界の慣例に翻弄されることなく、常に新しい挑戦をしているから」
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5.FUMITO GANRYU(フミトガンリュウ)

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デザイナーの丸龍文人氏は、コムデギャルソン社で川久保玲氏に才能を見出され、08年に自身の名を冠したブランド「GANRYU(ガンリュウ)」を立ち上げる。16年にブランドを終了したが、その後独立し、17年にフミトガンリュウをスタートした。
ギャルソンの頃から商品を見ていますが、テイストや方向性に大きな変化はないのかなと思います。しかし素材のグレードが格段に上がり、実際の商品を見ると大人らしくラグジュアリーな印象すら受けます。ギャルソンの時は良い意味でカジュアルでしたが、より進化を遂げてモード感のある、時代に沿ったストリートウエアを提案しています。変則的なシルエットのアウターはやはりかっこよい。ちょっと大袈裟くらいのボア使いも気になりました。

今回はルックとは別に、国立新美術館でランウェイショーも開催。空間演出は「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」の山縣良和氏が手掛けた。

――川久保玲さんからブランドをやってみないか、と言われた時、自分自身が作るものの核やアイデンティティを考え始めたのではないでしょうか
その時は真っ先に自分に任された理由をすごく考えました。そうすると自ずととやるべきことが見えてくるというか。求められているのは会社におけるニッチなデザインであって、いわゆる「ストリート」と言われているようなスタイルなのではないかと思い至りました。当時のモード界に「ストリート」のムードはかなり希薄でしたので。僕は「ストリート」に影響を受けていて、芯の部分にはあるんですけれども、それをアウトプットするわけではなく、カジュアルウェアを作ろうと思いました。
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