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公務員と議員 〜対話と意思疎通〜

現在、南相馬市では9月議会の真っ最中。
本日は決算審査委員会であれやこれや委員(市議会議員さんのこと。委員会になると○○委員と呼ぶ。これ豆知識)の方々と質疑応答をさせて頂きました。
今日は短めですが、行政の中にいる者として、少ないながら「議会対応」と呼ばれる業務を担っている者として課題と感じていることを。


「議員さんの後ろには何千人何万人の支持者がいるんだ」

と言われたのは杉並区役所のシステム部局時代。
課の予算管理や契約事務を一手に引き受ける庶務担当と呼ばれるポジションで、議会用の資料を言われるがままに作成している中、金額の桁を表すカンマ(,←コレ)をつけ忘れた時だったと思います。

入庁数年のヒヨッこで、仕事上、議員さんと直接話したことなんてない時に、当時の係長から見出しのセリフを言われてハッとしました。
意図としては、
「議員の方に渡す資料は慎重に作ること」
「分かりやすく、より少ない説明で伝わるよう気を配ること」
「何故なら、その資料は1人の人間に説明するのではなく、その後ろにいる多くの市民(区民)に説明するためのものだから」
といった感じのニュアンスだったと思います(うろ覚えだけど)

※今となってはカンマ,がない大きい桁の数字を見ると違和感を感じるようになりました。係長、その節は本当にありがとうございます。

議会という場での”距離感”みたいなもの

さて、本題です。
自分が係長となって、年数回の議会では必ず議員の方と質疑を交わす立場になったことで、より強く感じることとして、「日頃から議員と行政職員の意思疎通がとても少ない」ということです。
※そしてそれは多分南相馬市に限ったことではない。というか南相馬市では、杉並区とは比べ物にならないほど、議員さんと会話します。気さくに話しかけて頂く機会も多いです。

でも、日頃の会話と比べて、議会でのやりとりはとても、とてつもなく、距離を感じます。
当たり前ですが、別に議会の質疑で「これどうなってるんだっけ?こうした方が良くない?」「あー、それはこうなってるんですよー」みたいにフランクな会話が良いという訳ではありません。
なんというか「あ、そのくらいの内容なら日頃から聞いてくれてもいいのに」とか「今まで進めてきた業務の目的と違うことを聞かれてるなぁ」とか、ニュアンスが難しいですが、「もっと日頃から意思疎通を図っていれば、より有意義な質疑ややりとりが出来そうなのになぁ」と感じることがあるのです。(伝わるかしら?)

なんででしょう


日頃からの意思疎通

結論から言えば、この議会での感覚の原因は、ひとえに日頃の「議員⇄行政職員」の意思疎通がうまく機能していないからだと思っています。

これは、お互いのコミュニケーション力が不足しているとかではなく、気さくに話しかけはするものの、お互いなんとなく壁を作っているとかそういった類のものじゃないかと感じます。

補足的な言い訳をすると、僕は原因はどちらにある!と言いたいわけではありません。

議員さんの主たる活動は当然市民の声を聞くことであることに疑いはありません。前の投稿で「行政職員も市民だ」と書いておきながら矛盾ですが、やはりそこは役所という単一の職場にいる人間の意見ばかりではなく、広く市中の声を拾うことが優先されるというのは、至極当たり前だと思います。
ただ、普段全く会話をしたことがない中で、議会の質問通告を見て「あ、このくらいなら普段の会話で普通に聞いてくれれば…」と思うことがあるのも事実。(勿論、確認の意味で簡単なことを聞き、再質問で本当に聞きたいことを聞く、みたいなテクニックがあることも否定しませんが)


また、役所の職員からしてみれば、議員さん達は自分達を「指摘してくる」「疑問符を投げてくる」「(誤解を恐れず言えば)攻撃してくる」存在であるような印象を少なからず持っているんじゃないかと思っています。

日々の業務に忙殺される中、「議会対応」なんていう言葉にしてしまうくらい注力しなければならないことを考えると、なんとなく「避けたい」「できれば質問されたくない」と考えてしまうのはやむを得ないことなのかもしれません。

ただ、「自分達が誰のために仕事をしているか」に立ち返って、(議員さんの後ろにいる)多くの市民のために働いているんだ、という答えにちゃんと向き合うべきなのになーとか思ってしまうのです。
立場は違えど、日頃からより良い市政にしたいと思っている者同士なんですし、ベタベタする必要はないと思いますが、もうちょっと距離を詰めてもいいんじゃないかというのが、僕の課題意識。

※あと単純に、議論というものが「嫌い」「苦手」「怖い」って感じている職員が多いというのも要因なのかな、と思います。
この辺は、また別の機会に触れるとして、個人的にもっと議員さんと自分の担当している事業について日頃から意見交換→議論をしたいと思っている、というお話。

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