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CIVILSESSION 08: GAP

開催日:2017年12月2日

CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。

第8回目のキーワードは「GAP」。
CIVILTOKYOの3名とゲスト参加者3名の計6名で行いました。
ゲスト参加者は以下の通りです。

・猪原悠(写真家)
・冨里とわ(システムエンジニア)
・周藤美幸(会社員)

グランプリは冨里とわに決定しました。

抽象的なキーワードに決まった今回は、参加者も考えを形にするのに悩んだようです。その中でもとりわけ身近な存在である娘と自分とのギャップに注目し、自分の服を着せてその「差」を視覚化させた冨里の作品がグランプリとなりました。
全体としては「GAP」自体を見せようとするのではなく、それが何かを探る過程が作品になるものが多く見られました。作品形態も幅広く、「GAPを撮るカメラ」を開発した伊藤や、完成はしなかったもののディープラーニングによって「GAP」を見出そうとした根子の技術的に新しい挑戦に対し、自身の祖母への記憶を手描きでマッピングし、その経験をプレゼンテーションした猪原。また身近なものの位置関係をGAPと捉えて初めに決めていた「もの」の形に落とし込んだ杉浦や、「GAPとは何か」という根本的な疑問に対するリサーチが行き着いたところに手を加えず、そのままプレゼンテーションをした周藤の作品もユニークな作品となりました。



① 伊藤佑一郎(写真家)/Street Scanning

0.1秒ごとに目の前に広がる風景をスキャニングするカメラをプログラミングで自作し、パソコンに内蔵されているウェブカメラをレンズにして、パソコンを担ぎながらストリートスナップをした。これらは決定的瞬間を捉えると言われるカメラや本来の写真とは違い、画面の上から順に風景をスキャンした約3秒が凝縮された景色が記録されている。映像でもなく写真でもない時間軸を持ったこれら画像は、映像写真とも呼べる新たな可能性を感じた。

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② 猪原悠(写真家)/ばあちゃんと甥っ子

GAPというキーワードを頂いて、あまりにも抽象的で難しいテーマだと悩んでいました。悩んでいるうちに、この過程も見せた方がいいと思い、連想される事を全部書き出していこうという風に思いました。書きながら、広島県にある実家の事を思い出して、しばらく家族と会ってないなぁなんて事を考えてました。1年半ほど前に会った、自分の祖母と甥っ子の今の姿と、僕の想像上の本人達の姿は、果たして想像通りなのかという疑問が出てきました。
これだ!と思って実験を行いました。今現在の姿(本人の写メ)を母親に送ってもらい、昔撮っていた本人達の写真や想像していた甥っ子の成長した姿や寝たきりの祖母の姿などを照らし合わせてみました。そこに意外性を含めた、GAPはあったのか!?そのプロセス自体を発表しました。

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③根子敬生(デザイナー)

アパレルのGAPのイメージが意外と分からなかったので、GAPに対するイメージのギャップを無くそうと思い、ウェブ上から集めた画像を機械学習して、いわゆるGAPというアパレルの単語が持つギャップを無くそう、と考えました。
結果的に機械学習を行うPCのスペックが足りず、考えたものは出来なかったんですが、技術的に学びの多い場になりました。

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④杉浦草介(デザイナー)/GAP Tシャツ

キーワードからアパレルのGAPが最初に思いついたので、違う意味でのGAPの服(Tシャツ)を作ることを最初に決めてみました。
「GAP」というものに実体はないと思います。ジェネレーションギャップは別々の世代間による「差」。地面の裂け目などのGAPは「地面にできた隙間」という「空間」であって、実体はありません。GAPとは、同じ種類の2つ以上のもの同士の関係性から浮かび上がる形ではないかと思います。
自分の家の中でGAPを探してみました。テーブル/冷蔵庫の扉/壁の3つの写真を撮って、そこに置いて(掛けて)あるもの同士の位置の関係性だけを抜き出しました。その「もの同士の隙間」を自分の手でペンを使って埋めていき、それをプリントしたGAP Tシャツを作りました。

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⑤冨里とわ(システムエンジニア)/背伸び

いま私は二児の子育て中なんですが、子どもという生き物はまさにgapの塊だなと日ごろから感じており、子どもを主題としました。
5歳の娘によく私の服を着たいとせがまれるので、実際に着せたら大きさのgapから面白いビジュアルが生まれるのではと思い、写真を撮りました。毎年撮影していくことで、年々gapが埋まっていく様を定点観測するプロジェクトを作品としました。7年ほどで大きさのgapはだいたい埋まりますが、それが埋まってはじめて、似合う、似合わないとか、見た目は大人になったけど内面の子どもっぽさとか…また違ったgapが生まれて、それを感じることができる作品になるのではないかと思っています。

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⑥周藤美幸(会社員)/gap of gap

Gap = ずれ 、不一致。
言葉のずれや、不一致がすごく気になっていて、恐怖でもあります。完璧に同じ解釈をすることなんて不可能で、常に言葉にはgapがあります。
特に翻訳した時の意味のズレは酷いものがあるので、それについて表現出来ないかと考えました。
アウトカムは、周りの人たちに意味を聞いた結果を辞書にメモする&単純にGoogleで翻訳をするという調査結果のようなものになってしまいました。例として “generation gap” を和訳と英訳を繰り返した結果、「世代間の受益証券」という訳になりました。間違ってる気もしますが、誰か別の人にとってはこの意味で合っているのかもしれません。

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