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初MTO! ジョーワークス!

またまた更新期間が空いてしまいましたが、ブログなんてこんなもんで良いんじゃないのと開き直ってる今日この頃です。

今回はJOE WORKSさんについて書いていきます。

1 初めてのMTO

それなりに革靴を買っていくと、やはり「既製靴以外も履いてみたい」と欲が出てくるものです。

しかし、ウン十万円するビスポークは私のようなしがないサラリーマンにはムリムリと、自ずとMTOが選択肢となってきます。

しかしホント、最近「MTO」って言葉を耳にするようになりましたよね。雑誌LASTさんで特集されたり、ここ5年くらいで急速にブームとなった気がします。

数多あるMTOメーカーさんの中から、初めてのMTOはJOE WORKSさんにお願いしました。

JOE WORKS

以前から他の方のブログやインスタなどで目にする機会も多かったですし、私の敬愛するブロガーの方もことあるごとにJOE WORKSさんをべた褒めされていたので、あまり迷いませんでした。

既製靴ではこれまで英国靴を買うことがほとんどでしたが、考えてみたら初めての国内メーカーでの購入となりました。

オーダーしたのは昨年10月と、だいぶ期間が空いてこの記事を書いていますので、少しうろ覚えのところもありますが何卒ご容赦ください。

2 JOE WORKSさんについて

JOE WORKSさんは台東区清川に工房を構える、代表の駒澤さん含め3人で靴作りをされているメーカーさんです。

アクセスは南千住駅から徒歩15分くらいでしょうか。昔ながらの日雇労働者向けの安価な宿泊施設が立ち並ぶ、なんともノルタルジックな街並みを進むと、普通の住宅街の中に突如としてJOE WORKSさんが現れます(最初気づかなくて迷いました)。
※もちろん要予約です。

かわいい看板

一階のガレージのような場所が工房となっていて、中に入ると革の良い香りがムンムンにします。職人さんが実際に作業されている姿を見ながら、二階の応接スペースに上がります。

応接スペースにはサンプル品が並べられていて、代表の駒澤さんから型や革について案内を受けつつ、オーダー内容を決めていきます。

■ラスト
ラストは4種類。
①JOE-0…JOE WORKSさんのドレスラインで一番ポピュラーなラスト。セミスクエアトゥですが全くやりすぎてなく、クラシックな英国靴のラストという印象。
②JOE-1…最近ラインナップ入りした後発ラスト。かなりのラウンドトゥ。よりクラシックで、可愛らしさを感じるラスト。
③JOE-6…カジュアル用ラスト。外羽根のアメリカ靴などに合いそうな豪快なラウンドトゥ。
④JOE-3254…三越でのオーダー限定ラスト。実物を拝見させていただいたが、JOE-1と比にならないほどのラウンドトゥ且つ幅広の印象。駒澤さん曰く、百貨店でオーダーされる年配のお客様向けのラストとのこと。

■カーフ
黒靴には基本的にはワインハイマーを、茶系などはアノネイをお勧めされているとのこと。表皮の靴しか想定していませんでしたので、それ以上は聞きませんでした。

他の方のブログなどを見ると、シボ皮やエキゾチックレザー、スエードなども多く用意されていて、調達なども融通していただけることもあるようですね。

■デザイン
ストレートチップ、セミブローグ、フルブローグなどの基本のデザインから、好みに合わせて装飾を足し引きしていく感じ。基本デザインからの大幅な変更だと追加料金がかかるようですが、多少のアレンジなら基本料金内でしていただけます。

■ソール、インソック
ソールやインソックの色を指定できます。このおかげでまさに人と被らない靴を注文することができますね。(底材のメーカーなどは不明です)

■フィッティング
サンプルシューズを基に、駒澤さんにフィッティングをしていただけます。丁寧かつ的確な対応で、色々と勉強となるお話もしてくださいました。

自分では自覚していなかったのですが、私の右親指は少し外反母趾のように内側へ盛り上がっているらしく、木型に皮を盛ることで靴に指が当たらないように調整してくださるとのことでした。

既製靴ではできない微調整ですので、とてもテンションが上がったのを覚えています。

サイズ感としては、通常のUKサイズ、という認識でOKだと思います。

■純正シューツリー
エドワードグリーンの純正ツリーに似たタイプ(スプリングライン社製?)と、先割れタイプ(材質や見た目など荒川工業社のキングヤードに非常によく似ている)の二種類(どちらもツインチューブ式)から選べるようです。

以前はヒンジ式のタイプもあったようなのですが、現在は取り扱っていないような?

個人的に、駒澤さんが「靴をお好きな方でしたらシューツリーはたくさんお持ちだと思いますので、無理にツリーをご購入いただかなくても大丈夫ですよ。メタルプレートとか入れている分、割高ですし」となんとも商売気のないことを仰っていたのがツボでした(笑)。


このようなご案内を受け、調子に乗って二足もオーダーしてしまいました…!(うち一足は、三十路祝いとして妻からプレゼントしてもらいました!)

ちなみに、二足オーダーしますと駒澤さんにお伝えしたとき、「まずは一足からで結構ですよ」とこれまた商売気のない反応だったのが、無理にお客さんに物を買わそうとする素振りがなくて好感が持てました(笑)。

3 ようやく完成、感動!

オーダーは昨年の10月下旬で、当初は年明け2月頃の完成と伺っていましたが、その後のオミクロンの流行やウクライナ問題などで物流網が混乱し、4月下旬にようやく完成品に対面することができました。

待っている間、駒澤さんから一度連絡があり、「いま手元にある革を使って作れないこともないが、もっと品質の良い革を仕入れてから作りたいのでもう少し待って欲しい」とご丁寧に断りを入れてくださったのも、真摯なお仕事ぶりが伝わって大変嬉しかったです。

完成したのは、以下の二足です。

◎フルブローグレイジーマン

神々しい…

JOE WORKSさんといえば、というフルブローグレイジーマン。これは絶対注文すると決めてました。

レイジーマンには昔からずっと憧れがあり、履いてみたかったのですが、スリッポンな分既製靴だとサイズが不安で、中々購入を躊躇していました。MTOなら安心と、満を持してのオーダーです。

■メダリオン

メダリオンは3パターンから選べます。チャーチやエドワードグリーンのようなパターンが好みで、写真のメダリオンにしました。

■ソール、インソック

どちらもネイビーに仕上げていただきました。おかげでとってもスマートな印象です!

■コバ

少しわかりにくいのですが、よりドレッシーな印象にしたかったので、コバの張り出しを少し抑えてもらっています。(アップチャージなしでした!)

■カーフ

写真からもしなやかさがわかる

ワインハイマーのボックスカーフ。想像以上にしなやかというか、ねっとりしたような質感。少し磨いただけでツヤが出る。黒靴なら次もワインハイマーで作りたい!

◎クォーターブローグ

二足目は、ダークブラウンのクォーターブローグ。JOE WORKSさんのインスタで拝見したとき、色味と雰囲気が自分の好みにドンズバで、これも購入すると決めていました。

■ブローギング

この靴もドレッシーな印象にしたかったので、キャップ部分の飾り穴を通常よりも小さめに仕上げていただいています。(これもアップチャージなし!)

■ソール、インソック

インソックはレイジーマンと同様にネイビー、ソールは靴に合わせてダークブラウンに。引き締まった印象で、まさに大人の靴という感じ。

■コバ

コバもレイジーマンと同じく、張り出しを抑えてもらっています。

■カーフ

アノネイのボカルー。他のブランドでもよく使用されていますが、柔らかいというよりはしっかりとした固さを感じる印象。何より、色味が好きなんですよね。他のブランドではダークブラウンと言っても茶色味が薄かったり、赤みがかっていたりするものも多いですが、これはまさに「濃茶」という色味。ビジネスの場に良く合います。

ちなみにラストは二足ともJOE-0です。私は根っからの英国靴好きなので、オーダー前はラウンドトゥのJOE-1にしようと考えていたのですが、意外とセミスクエアも良いなと実物を見てJOE-0に改めました。

二足とも、本当にオーダー時のイメージ通りでしたし、何より美しい!到着までの期間の長さも相まって、喜び・感動もひとしおでした。

4 履き心地など

DB Quarter Brogue

もちろん、どちらも最高です!

■フルブローグレイジーマン
初のレイジーマンでしたが、マジでハマりました。簡単に着脱できるのも嬉しいですし、紐靴と違った履き心地もまた楽しい。

サイズもバッチリだからかゴムに過度な負担がかかっていることもなく、末永く履けそうです。

そして何より、ワインハイマーの艶、美しさに履くたび、磨くたびにうっとりします。履きシワもきめ細かく、しなやかな履き心地を感じることができます。

レイジーマン、あと何足か絶対買います(笑)。

■クォーターブローグ
色味の濃い茶靴、かつクォーターブローグというデザインがビジネスに重宝します。パンチドキャップとかクォーターブローグは何足あってもいいですね。

アノネイの固さからワインハイマーよりは荒い履きシワが入りましたが、まあ許容範囲。これからも活躍してくれること間違いなしです。


履き心地に関して、グリーンの「アーチのサポートが〜」といったような特筆的な特徴がある訳ではなく、至って普通に快適という感じ。靴全体が足を包んでくれている安心感を感じます。

踵の食いつきも◎。ソールも硬すぎず、硬いレンデンバッハなどでは「パチパチ」と地面と反発した歩き心地がしますが、この靴ではもっと柔らかい歩き心地のためストレスを感じにくいです。着色したソールが徐々に削れていくのも、見ていて楽しいです。

こんな感じで変化を楽しめる

不満な点はまったく無く、強いて言えばソールの仕上げに使っている塗料が靴を持つと手に少し移るくらいです(笑)。

5 初のMTOは

箱もおしゃれ!

オーダーから完成まで、足掛け半年間かかりましたが、初めてのMTOは控えめに言って最高でした。

気になるお値段ですが、デザインにもよりますが、大体税込みで一足約90,000円〜(トゥスチール込だと+4,000円程)といったところでしょうか。使用される革によってもだいぶ変わると思いますが。
※最近、JOE WORKSさんも値上げを発表されましたので、詳細はお問合せください…。

とにかく思うのは、「お得すぎるでしょ!」ということ。このクオリティの靴を10万円程で購入できるなら、もう全部JOE WORKSさんで良いじゃんと思っちゃいます。

前にチャーチの値上げを嘆く記事を書きましたが、国内MTOのクオリティとコスパを知ってしまうと、本当にチャーチに13万は出せないなと思ってしまいます…(チャーチも応援してますが!)。

これで約10万円は信じられない!

また、単にコスパの面だけでなく、やはり靴や服というのは作り手の方から正確な説明を受け、サイジングなど直に観ていただくことが非常に大切なんだということも再認識することができました。

なまじ靴をたくさん買っていると、自分は何でもわかっている錯覚に陥りがちですが、無論そんなことはなく、専門家から直にお話を伺いながら、助けていただきながら購入するに敵うものはありません。

駒澤さんの本音ベースの丁寧な接客は本当に好感が持てるものでしたし、「このお店で作りたい」と思わせてくれるものでした。そうした信頼関係を経て出来上がる靴には、普通以上の思い入れが芽生えるものです。これもMTOならではの魅力ですよね。

いやあ、本当に作ってよかった。永く永く、愛用しようと思います。一足をプレゼントしてくれた奥さん、ありがとう。


MTOでこの満足度なら、ビスポークならいったいどうなってしまうんだという感じですが、お財布事情もありますので私はMTOで十分です。

今回のJOE WORKSさんに味をしめて、実は新しいMTOを模索してます。10月くらいにオーダーできる予定ですので、そのお話はまたいつかの記事で。

既製靴に少しマンネリ感を抱いておられる方は、ぜひMTOも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。それでは、また〜。


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