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Mo.沖澤のどかさん/pf.牛田智大さん山形交響楽団定期演奏会

牛田さんをソリストに迎えた待望の八戸公演

2023年4月8日(土)
東北初のプロオケ・山形交響楽団の八戸公演へ足を運んできました。
指揮者には、青森県三沢市出身(青森市育ち)の沖澤のどかさん
ピアノソリストには、福島県出身の牛田智大さん
を迎えての演奏会。
東北の三拍子が揃った素晴らしい公演でした。

牛田さんがピアノとあって、完売御礼、満席での公演でした。
クラシックファン、ピアノファンにとって牛田さんの八戸での演奏は、
待ち望まれたものであったことが分かります。

沖澤のどかさんプロフィール

女性指揮者として知られていますが、「女性」指揮者という概念にとらわれないご活躍をされています。
ご出身である先述の三沢市は、八戸市のお隣。
米軍基地があり、国際色豊かな街です。
また、お育ちになられた青森市は、県庁所在地で
県内で一番大きな街ということになります。

以下、いただいたパンフレットからの要約です。

青森ジュニアオーケストラに小5から高校生まで所属し、高校2年時のオーストラリア留学をきっかけに音楽の道へ進むことを決意。
(オーストリアではなく、オーストラリアのようです)
東京藝大指揮科主席卒。
その後、同大学院修士課程修了し、ハンス・アイスラ―音楽大学へ留学。
ブザンソン国際指揮者コンクール優勝、聴衆賞、オーケストラ賞受賞。
第18回東京国際音楽コンクール<指揮>にて第1位、特別賞、齋藤秀雄賞受賞。
などコンクールで素晴らしい功績をおさめ、これまで高関健先生や尾高忠明先生などに師事し、井上道義先生などのマスタークラスも受講し勉強されてきたようです。
今年、2023年4月から京都市交響楽団の常任指揮者に就任。

山形交響楽団八戸公演パンフレットを参考に要約

牛田さんについては、皆さん十分にご存知かと思いますので、プロフィールは割愛させていただきます。

お花紹介

指揮者の松井慶太先生(八戸市出身)から届いていました。
昨年、ショパコンで一躍有名になった沢田蒼梧さんとも共演されていて、
こんなコラボパターンもあるんだな、と感激していました。

近いうちに、ぜひ、八戸で松井先生と牛田さんの共演が見たいです。


実は、私もお花を出しました。

今回、個人的に沖澤先生、牛田さんにお花をお贈りしました。
LibWriteというライターグループを立ち上げまして、クラシック好きのライター仲間と連盟でお花を出しました。

主催は東奥日報ですが、同じく地元新聞社のデーリー東北で市民記者活動をしている記者仲間で組んだチームです。

私は、元々スポーツライターをしていて、Jリーグ、Bリーグなどの取材、Jリーグでは公式の記者でもありました。

お花は、花誠さんに依頼しました。

会場の様子。

メンデルスゾーン/序曲「静かな海と楽しい航海」作品27

同名のゲーテの2つの詩を音楽化した作品です。
静かでゆったりとしながらも、どこか不安要素を感じさせる音楽から始まり、のちに楽しげな音楽へと変わります。
1815年に、ベートーヴェンも同名のカンタータを作曲しているそうです。
(今回は、ベートヴェン繋がりでこちらが選ばれたのでしょうか)

八戸市は海の街ですから、海を題材とした作品が選ばれたのも納得です。

また、フルート主席の知久 翔さんの音色が、まるで歌の上手な小鳥のようで
吹奏楽部だった知人も、「フルートがめちゃくちゃ上手かった!」と称賛していました。
私も、フルート主席奏者の、のびやかで甘美な音色にすぐに耳がいきましたので、同じ感想を持った方は多いと思います。

知久さんは、パリ国立音楽院で学ばれた方のようですね。
プロフィールはこちら。


ベートーヴェン/ピアノコンチェルト第4番 ト長調 作品58

1805年あたりに書かれ、ダイム伯爵夫人ヨゼフィーネと恋仲にあった最中に書かれたコンチェルトという解釈があります。

ヨゼフィーネは、ハンガリーの貴族出身で4人きょうだいでしたが、その中で最もピアノの才能が優れ、ベートーヴェンからレッスンを受けていました。
ヨゼフィーネ自身も、ウィーンで最も偉大なピアニストとしてベートーヴェンを崇拝していたといいますから、互いに最愛の存在として認めあっていたことでしょう。
(平民であるベートーヴェンとの身分格差もあり、その関係は公にはできなかったようですが)

のちに、ヨゼフィーネは、20歳そこそこほどの年齢で、たしか30歳ほど年上のダイム伯爵と結婚し4人の子どもを設けましたが、4人目の妊娠中に彼は亡くなってしまいます。
未亡人となったヨゼフィーネは、身分格差ゆえにベートーヴェンとは結婚せず、別の貴族と結婚します。

そうした背景を踏まえてこのコンチェルトを聴くと面白いと思いますが、ベートーヴェンの恋物語であると解釈すると、
感情の浮き沈みを見せながらも、第1楽章の甘美で煌びやかなカデンツァには、ベートーヴェンのヨゼフィーネへの抑えきれない感情や、自身の栄華、自尊心さえ感じられます。

牛田さんの演奏

ピアノ独奏から始まる珍しいコンチェルト。
牛田さんの最初の一音(和音ですが)に込めた集中力とその独奏部のやわらかな音色が素晴らしく、その後に続くオケの音色に自然と繋がったと思います。
鍵盤に指を置いてから音が出るまでの数秒で、楽曲の世界へと一気に集中していたようみ見えました。

今回、使われていたのはShigeru Kawai。
(八戸市公会堂が所有しているのは、YAMAHAとスタインウェイのフルコンでShigeru Kawaiは所有していないと思いますが、
 今回のピアノは、仙台のKAWAIから借りてきたのでしょうか)

同音連打のまろやかさは、Shigeru Kawaiならではの心地良さでありますが、牛田さんのタッチが成し得る響きです。

分散和音やトレモロを多様した華やかでシンフォニックな楽曲が、牛田さんの繊細なコントロールとShigeru Kawaiのコンビネーション、沖澤先生の細部に魂が宿るような指揮により、我々聴衆に至福のひとときを与える音楽として届けられました。

アンコール

牛田さん:シューマン/ピアノソナタ第1番 第2楽章
山響:メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」よりNotturno op.61-7

牛田さんは、ドイツもの繋がりで、シューマンを弾くような気がしていましたが、やはり♪
こちらも、まろやかで優しい音色が素敵な演奏でした。
シューマンの博識といえば、牛田さん!と個人的なイメージです。

運命

3曲目の運命。
沖澤さんが指揮台に立つや否や、息をつく間も無くタクトを振って楽曲が始まりました。

運命は扉をこう叩く

と言ったベートーヴェン自身の言葉の如く、運命は待ってくれない、といった気迫を感じる始まりでした。

トロンボーンは、第3楽章後半まで出番がないので、第1、2楽章の間は
ステージ上で、どのような気持ちで聴いているのか、気になりました。

オケとしての表現の豊かさ、ダイナミックさや繊細さ、全体の調和など
あまり音の響かない(飛ばない)ホールで苦労、工夫があったかと思いますが、
沖澤先生が地元青森県でタクトを振る姿が見られ、また、牛田さんと共演という形でそれが実現したこと、大変嬉しく思いました。

沖澤先生、牛田さん
八戸公演 ありがとうございました😊✨




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