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トッププロスペクト通信簿

 読者の皆様、毎日お疲れ様です。わるものです。

 先日ついにレギュラーシーズンが閉幕したということで、まずはマイナーリーグの各選手の今シーズンの成績を畏れ多くも評価させて頂こうと思います。評価対象はMLB公式プロスペクトランキングTOP15で2A以上の選手+αとします。
 (以前の投稿で取り上げたプロスペクトは紹介を省略します。以前の投稿はこちら↓↓)

(インディアンスの公式プロスペクトランキングはこちら↓↓)


1. タイラー・フリーマン(22) 評価B

成績(2A)→.323(53-164)/.372/.470/.842 8四球 21三振 2HR

 以前の投稿で今年中の3A昇格は間違いないと評したフリーマンですが、故障した肩の手術の為、7月でシーズンエンドになってしまいました。ただ、離脱前の成績は立派なもので、彼がトッププロスペクトたる由縁を十分に示せたと言えるでしょう。
 長打力不足が課題でしたが、今季はギャップヒットを量産して長打率.470と、一昨年に比べて80ポイント程度のアップに成功しています。180打席で8四球/21三振とかなりの早打ちですが、打率が残っているうちは心配する必要は無いでしょう。
 おそらく来年は3Aからのスタートになるので、来季中にMLBで見れることを期待したいですね。


2. ジョージ・バレラ(20) 評価A

成績(A+)→.256(51-199)/.430/.548/.977 55四球 58三振 16HR
成績(2A)→.267(23-86)/.340/.407/.747 11四球 30三振 3HR

 バレラはドミニカ出身の外野手で、2017年にインディアンスと国際FAで契約しました。生まれはニューヨークですが、13歳の時に父親が交通事故に遭い、手術で埋め込んだ金属プレートが寒冷地では冷えて身体に悪影響を及ぼすので、両親の故郷で温暖なドミニカに移住したという異色の経歴を持っています。
 独特のリズム感から繰り出される鋭いスイングと良質な選球眼の評価は高く、将来像は同郷のレジェンド、ロビンソン・カノに並び得ると評されています。しかし、右手有鈎骨の骨折とパンデミックによって入団以来僅か58試合にしか出場できておらず、過大評価なのではという声も上がっていました。
 汚名返上を期して臨んだ今季は、開幕直後こそ絶不振だったものの、5月以降は絶好調をキープ。上述の圧倒的な成績を残して2Aに昇格し、2Aでもまずまずの成績を収めて従来の高評価が正しかったことを証明してみせました。順当にいけば再来年中のMLBデビューは確実でしょうが、同じ待球スラッガータイプで似たような成績を残していたノーラン・ジョーンズが3Aで躓いているので、バレラも同様に壁にぶち当たる可能性は否定しきれません。
 現状外野3ポジションをこなしている守備面の評価は平均的で、将来的には両翼に収まると考えられています。ただ、やはりCFを守れる方がバリューは圧倒的に高いですし、本人もCFに拘りがあるそうなので、怪我しない程度に頑張ってもらいたいです。
 何も脈絡も無い話ですが、自分はバレラと生年月日が非常に近くて誇らしい(?)です。


3. ノーラン・ジョーンズ(23) 評価C

成績(3A)→.238(81-341)/.356/.431/.787 59四球 122三振 13本

 以前の投稿で、「開幕逆噴射スタートながらも調子を取り戻しており、今季中のMLBデビューは間違いない」と評したジョーンズですが、その後再び調子を落とし、デビューの夢は叶いませんでした。本人にとってはプロ入り以来初めての挫折であり、また、3Aでのチームメイトが次々とMLB昇格を果たしていったこともあって、本人はかなり精神的に参っていたそうです。
 不調の原因は、相手投手の内角速球攻めに対応しようとしてスイングを崩してしまったことにありました。この点については、打撃コーチの協力の下、スイングをよりシンプルな形に改良して対応。また、メンタルスキルのコーチにも協力を仰ぎ、打席での失敗や後悔を次の日にまで引き摺らないメンタルの強さを身に付けたと言います。こうした努力の末、8月下旬にはようやく良い状態になり始めた(本人談)そうですが、残念なことに足首を痛めてそのまま手術の為シーズンエンドとなってしまいました。
 こうして苦節の1年を過ごしたジョーンズですが、上述の努力を通じて彼が野球選手として一回り大きくなったことは間違い無いです。また、そもそも不振状態であったにも関わらず、メルカドやジョンソンといったMLBで試合に出場している外野手よりも3Aでの打撃成績は良いので、来年のキャンプでRFのレギュラーの座を掴み取り、開幕スタメンに名を連ねることは間違いないと言えるでしょう。



4. ガブリエル・アリアス(21) 評価B

成績(3A)→.284(124-436)/.348/.454/.802 39四球 110三振 13本

 以前の投稿で紹介した、弱冠21歳のベネズエランです。2Aを飛び級して3Aスタートとなった今季でしたが、年間を通じてリーグ平均程度の打撃成績を維持することができました。
 SS守備は一級品なので、来年の頭からMLBで起用しても戦力にはなるでしょうが、まだ非常に若く、他にもレギュラー候補がいる中で、わざわざ昇格を急ぐ必要は無いと考えられます。BB%、K%、長打率のいずれも改善の余地がまだまだ残っているので、来年は3Aでより良い打撃成績を残し、シーズン途中でMLB昇格を果たすことが目標のシーズンになりそうです。



6. ボー・ネイラー(21) 評価D

成績(2A)→.188(59-313)/.280/.332/.612 37四球 112三振 10本

 ネイラーはカナダ出身の捕手で、インディアンス所属の外野手、ジョシュ・ネイラーの弟です。アマ時代からカナダのナショナルチームで活躍して注目を集め、2018年にドラ1でインディアンスに入団。兄も15年にドラ1指名を受けており、カナダ史上初のドラ1兄弟となりました。
 攻守共に非常に評価が高く、球団内ではロベルト・ペレスとの契約が切れる23年からの正捕手にほぼ内定しています。本人も期待に応え、順調に昇格を重ねてきましたが、今季は打撃面で躓き、プロスペクトランキングでも大きく後退してしまいました。後述しますが、ライバルのラバスティーダにも追い抜かされてしまい、本人としてはかなり失意のシーズンになったと言えるでしょう。
 MLBデビューは遠のいてしまいましたが、まだ
まだ若いですし、焦らず適応に努めて欲しい
です。また、球団側もラバスティーダという代役が出てきたので、ネイラーの昇格を焦る必要も無いと思われます。


7. ブライアン・ルキオ(20) 評価A

成績(A+)→.265(68-257)/.337/.428/.765 20四球 65三振 9本
成績(2A)→.293(54-184)/.360/.505/.865 13四球 41三振 6本

 ルキオは2017年に国際FAでインディアンスと契約したベネズエラ出身の遊撃手で、2年後にMLBでレギュラーを張っていることがほぼ確定的な選手です。最大の特徴は何と言ってもその打撃フォームで、インディアンスが産んだ大スター、フランシスコ・リンドーアを完コピしています(↓比較映像)。パワー面の評価は低いですが、リンドーアもマイナー時代はルキオと同様の評価ながら、MLB昇格後に長打力が開花したので、ルキオのパワーにも十分期待できます。

 守備面では広い守備範囲と高い野球IQを兼ね備えており、弱冠20歳にして既に“The Professor”とのニックネームで呼ばれているそうです。
 今季は開幕こそ少し躓いたものの、その後復調して順当に2A昇格を果たしました。来年は3Aに昇格し、再来年にはMLBデビューを果たして先程紹介したバレラと共に主軸を形成することは間違いないでしょう。



10. ローガン・アレン(23) 評価A

成績(A+)→51.1回 防御率1.58 奪三振67 与四球13 K/BB 5.15 被本塁打3
成績(2A)→60.0回 防御率2.85 奪三振76 与四球13 K/BB 5.85 被本塁打9

 アレンは2020年のドラフト2位指名でインディアンスに入団した大卒ルーキーで、インディアンスで先発/中継ぎとして活躍中のローガン・アレンと同姓同名で、更に利き腕、ポジションまで同じということで入団時に話題を呼びました。ミドルネームは異なるので、ルーキーのアレンは”Logan T. Allen”、MLBデビュー済のアレンは”Logan S. Allen”との表記で区別されています。
 打者にやや背を向けながら繰り出す速球は平均90マイル、最速93マイル程度と遅めで、正直微妙なのかなと思っていたのですが、蓋を開けてみれば無双しっぱなしのシーズンでした。速球のコマンドは安定しており、変化球の中では特にチェンジアップの評価が高いそうです。来年以降の伸び代はあまり大きく無さそうですが、その分失敗する確率も低く、順調に行けば再来年辺りにMLBの先発ローテ4番手、5番手には食い込むことになるでしょう。



13. ブライアン・ラバスティーダ(22) 評価A

成績(A+)→.303(50-165)/.399/.467/.866 26四球 30三振 5本
成績(2A)→.291(30-103)/.373/.466/.839 12四球 28三振 3本
成績(3A)→.158(3-19)/.238/.316/.554 2四球 10三振 1本

 ラバスティーダは18年にドラフト15位という下位指名でインディアンスに入団した捕手です。本人はフロリダ出身ですが、両親も含めた一族は皆キューバ出身で、本人もキューバ国旗をあしらったヘアバンドを付けてプレーしています。
 大学時代(といっても1年生で指名されたので1年間だけですが)は3BとSSを守る内野手でしたが、途中で捕手に転向し、そのままプロにも捕手として入団。当然守備面で周囲に大きく遅れを取っていたわけですが、彼は急成長を遂げ、Baseball Prospectusの算出するフレーミング指標は良好、パスボールの数も年々減少しています。また、家族の影響でスペイン語も流暢に話せるので、ラテン系の投手と円滑にコミュニケーションを取れるという点も有利に働いているそうです。
 元から評価の高かった打撃面での成長も著しく、今季はA+で活躍して2A昇格を果たすと、なんとその勢いのまま3A昇格まで達成。開幕時は2Aスタートのボー・ネイラーの後塵を拝する立場でしたが、ネイラーの大不振もあり、今季で立場が一転しました。
 今の状況が続けば、来年は3Aで経験を積み、再来年からMLBで正捕手として活躍することになるでしょう。



14. リチャード・パラシオス(24) 評価A

成績(2A)→.299(73-244)/.389/.496/.885 33四球 42三振 6本
成績(3A)→.292(33-113)/.434/.416/.850 25四球 28三振 1本

 パラシオスは18年ドラ3でインディアンスに入団した内野手で、兄のジョシュ(現TOR)、叔父のレイ(元KC)がメジャーリーガーという野球一族の出身です。
 入団年は成績良好でしたが、19年は肩の手術、20年はパンデミックで2年間全くプレーできず、今季は復活を期したシーズンでした。小柄ながらも全身を使ったスイングは力強く、スピードを活かして二塁打を量産するスタイルで、結果的に上記の素晴らしい成績を収めることに成功しました。BB/Kも良好で、まさにリードオフとして理想的な人材と言うことができるでしょう。
 守備では2B/SSを守りますがあまり評価は高くなく、将来的には足を活かしてCFに転向するだろうと言われています。ただ、インディアンスの場合は二遊間が人材過多、外野が人材不足なのでむしろ好都合かもしれません。来春のキャンプでMLBのCFレギュラー争いに名を連ねることは間違い無いでしょう。



+α コディ・モリス(24) 評価A

成績(2A)→20.0回 防御率1.35 29奪三振 7与四球 K/BB 4.14 被本塁打1
成績(3A)→36.2回 防御率1.72 52奪三振 12与四球 K/BB 4.33 被本塁打1


 プロスペクトランキングで21位の選手ですが、要注目なので紹介します。モリスは18年ドラ7でインディアンスに入団した選手で、速球、カーブ、チェンジアップを組み合わせるオーソドックスな先発投手です。速球は平均94マイル前後を記録し、変化球の質も良いので、既にほぼ完成している状態と言って差し支え無いでしょう。
 今季は怪我で出遅れましたが、2Aでしっかり成績を残し、3Aでも素晴らしい好投を披露しました。来季中のMLB昇格はまず間違いなく、モリスの枠を空ける為にザック・プレサックがトレードに出される可能性も十分にあると推察されます。いずれにせよ、まずは怪我無く開幕を迎えて欲しいです。



+α スティーブン・クワン(24) 評価A

成績(2A)→.337(65-193)/.411/.539/.950 22四球 23三振 7本
成績(3A)→.311(32-103)/.398/.505/.903 14四球 8三振 5本

 クワンは18年ドラ5でインディアンスに入団した外野手です。お父さんがサンフランシスコのチャイナタウン出身だそうなので、おそらく中国系の家系なのでしょう。
 俊足巧打が評価されてのドラフト指名であり、大学通算HRは3年間で僅かに3本、マイナー通算606打席で3本と長打力は皆無でした。ところが今季は別人のようにHRを量産し、結局341打席で12本を記録。しかもそれでいて打率は3割を維持し、更にはBB/Kが1.00を上回るなど、非の打ち所が一切無い成績を残しました。
 外野守備も安定しており、前述のパラシオス同様、来年のキャンプでCFレギュラー争いに参戦することは間違い無さそうです。



 大変長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。評価Aばっかりやんけと感じた方も多いと思うのですが、それだけ今年のインディアンスのトッププロスペクト勢の成長が著しかったということです。今回紹介した選手達は皆来年、再来年にはMLBデビューがほぼ確実な選手ばかりですから、是非名前を覚えておいて下さい‼️

 今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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