【創作の中毒×中毒の創作6】 

「先生も、悪趣味だな」
 俺は、ギクシャクした笑みを浮かべながら言った。

 今の状況を何とか冗談にして、こちらの恐怖心や不快感を緩和したかったのだが、うまくいかない。

「けらけら。悪趣味? けらけら」
 マッドサイエンティストな医者は、笑いを引っ込めることはない。
 それどころか
「どこが、悪趣味なの?」と聞いてくる。

「そいつだよ」
「どいつさ?」
「その隣にいる、ヨウカイみたいなソイツのことだよ!」
 俺は、とうとう声を荒げた。

 ――ヌメヌメ。白塗りした人間らしきモノは、人体標本にくっついたまま、時折、身体をくねらせている。

 どう見たって、悪趣味以外の言葉は見つかりそうになかった。

 

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