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いちごもしくはレモン味の初体験

小学生の私がドキドキしながら読んでいた少女マンガには、
主人公が頬を赤らめて、好きな人に好きな気持ちを伝える告白をして、
相手は微笑んで、少しずつ近づいてゆっくりキスをするシーンがあった。

中学から女子校生活になり、6年間ですっかり男の人に対する免疫がなくなって、
クラスメイトが教師や先輩にハマっていくのを横目に、
友達に合コンに連れて行ってもらっては、
おしゃべりですら、大したコミュニケーションが取れずに、
ふんわりと傷ついて帰るという3年間。


性の知識も少しずつ増え、
「私のような人間は、機会を逃すと一生処女かもしれない」と、
心の底で人生を悲観していたし、焦っていた。



短大に入り、
相変わらず友達に合コンに連れていってもらったら、
2次会で行ったクラブの暗闇と爆音の中、隣に座った男の人が突然キスをしてきた。


初めてって、こんなものなのか。



頬を赤らめる暇もないし、
「好き・・・」「僕も好き・・・」もないし、
ゆっくり手を握ることも、抱き合うこともない。

「済ませた」という安堵と、
「この先も『こんなもの』なのかもしれない」と、
いちご味を夢見ていた自分の熱を急速に冷ました感覚。

これは、この先しばらく抱えることに。



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