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[第1回ハミング杯 漫才部門] -『新人note漫才コンビ:ハチドリ』

ハミング……「ハミ」 ; バード……「バー」) 

 では、続きましては、結成1年目の新人note漫才コンビ「ハチドリ」の2羽です。

皆さん、拍手ならぬ「拍羽」でお迎えください~!


ハミングバード、それぞれ両サイドから舞台に登場)

※※※※※

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ&バー「どうも~」


ハミ「ハミングです!」
バー「バードです!」
ハミ&バー「2羽合わせて、ハチドリです! ピヲピヲ🐦🐦 よろしくお願いしま~す!」

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ「あー、皆さん、どうも盛大な拍羽、ありがとうございます。嬉しいねバードくん」
バー「そうですね。ハミングさん」
ハミ「ところで、今日お越しのお客さんの中で、ボクらのこと知ってるぞ、という方、ぜひもう一度、拍羽の方ヲ……」

(観客)パタ……パタパタ……パタ……

ハミ「あー、まばらな拍羽ありがとうございます」
バー「だいたい予想と遠からず、みたいな感じですね。ハミングさん」
ハミ「では、改めまして自己紹介の方ヲ。こっちがハミングで……」
バー「こっちがバード……2羽合わせて……」
ハミ&バー「ハチドリです! ピヲピヲ🐦🐦 」
ハミ「ということでやってますのでね~、今日は皆さん、ぜひ名前だけでも覚えて帰ってくださいね~」

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ「いや~、ところでバードくん」
バー「はいはい、何でしょう、ハミングさん」
ハミ「やっぱりボクらも知名度っちゅうもんヲ上げていかんといかんね」
バー「そうですね。さっきも、気ぃ遣って拍羽してくれてるお客さんしかいませんでしたからね」

(観客)ピヲピヲ……

ハミ「最前列のお婆ちゃんなんか、なんにも分からんと羽ぇ擦り合わせて。ボクらのこと、お地蔵さんかなんかと思ってるんとちゃうんか?」
バー「んな、失礼なことヲ、ハミングさん。……ねぇ、お婆ちゃん……。……お婆ちゃん?……家に補聴器忘れたんですか?」

(観客)ピヲピヲピヲピヲ……

ハミ「君の方が失礼やがな! ところでバードくん、今後売れていくにあたって、皆さんの前で、あれ、言うたって! 抱負!
バー「ほ…抱負ですか?! ここでいきなり?」
ハミ「いきなり、って君ぃ……漫才なんやから事前に打ち合わせしとるがな!」

(観客)ピヲピヲピヲピヲ……

バー「いや、ハミングさん、それは言わない設定でいきましょうよ! まあ、いきなり抱負と言われてもちょっと難しいですよ。じゃあ、ハミングさん、何かお題出してもらえませんか?」

ハミ「お題? よっしゃ! じゃあ、ボクがお題出して、バードくんがそれにあわせた抱負ヲ言うと、こういうことやね?」
バー「はい、お願いします!」
ハミ「えーと……じゃあ……ハチドリの『リ』!」
バー「『リ』ですか……って、いや! 何でいきなり『リ』からなんすか?」

(観客)ピヲピヲ……

ハミ「何でって、君ぃ、お題やないかい」
バー「普通、ハ・チ・ド・リだったら、『ハ』から行くでしょ? なんで『リ』からいくかなぁ……」
ハミ「そりゃ君ぃ、終わり良ければすべて良しって言うやないか」
バー「いや、だからそれ、最後に言うやつでしょ? じゃあ、いいですよ。ハチドリの『リ』ね。いきますよ……えー、ボクらハチドリは……2羽あわせて『戮力協心』していきます! ホラ決まった! 『戮力協心』! あっ、拍羽ありがとうございます!」

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ「いやいや、それはちょっと……アレやな……却下やな……」
バー「いや、却下って何ですか! お客さんからも拍羽来てたじゃないですか! ねぇ?」
ハミ「難しい……って言うか……読めない」
バー「えっ?」

(観客)ピヲピヲ……

ハミ「難しい……読めない……ちょっと違うの行こう。じゃあ、ハチドリの『ド』!」
バー「いや、決まったと思うんだけどなぁ。まあ、いいや。じゃあ、ハチドリの『ド』ですね! えー、ボクらハチドリはんなときでも『同甘共苦』でやっていきます! ホラ、今度こそ決まった! 『同甘共苦』! あっ、さっきより心なし大きめの拍羽ありがとうございます!」

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ「いや~……それもダメだな。……ちょっと読めない
バー「だから『読めない』ってなんですか、さっきから! 漫才なのに『読む』とか『読まない』とか、おかしいでしょ!」

(観客)ピヲピヲピヲピヲ……

ハミ「じゃあ、こうしよう。バードくん、君なんか特技ちゅうもんないの? 皆さんの前で特技見せてやって! そしたらファンの方も増えて、有名になれるかもしらんよ」

バー「あっ! 特技ですか! 任せてください、ハミングさん。私こう見えて、昔は演劇部で役者志望でございました」
ハミ「えっ? バードくん、君、役者志望だったの? それはエラいカッコええんとちゃう?」
バー「はい。ですから私、演技力には自信があります! ハミングさん、ちょっと何かシチュエーションを言ってみてください。私は即興で、その状況に合わせた演技ヲしてみせます」

ハミ「そうかそうか、ほないこか。……えーと、じゃあ……嬉しいときのハチドリ!
バー「はい、任せてください。嬉しいときのハチドリ! うーん……ピヲピヲッ🐦 あっ、お客さん! 拍羽ありがとうございます!」

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ「じゃあ、次。えーと……悲しいときのハチドリ!
バー「えー、じゃあいきます。悲しいときのハチドリ! うーん……ピヲピヲッ🐦 」

(観客)パタ……パタパタ……パタ……

ハミ「なんや、お客さんもエラい微妙な拍羽やないかい」

(観客)ピヲピヲピヲピヲ……

バー「なんでですか! できてたでしょ、今? 悲しいハチドリの感じ出てたでしょ? じゃあ、もういいですよ。次、行ってください」
ハミ「えーと、じゃあ……怒ったときのハチドリ!
バー「じゃあいきます。怒ったときのハチドリ! うーん……ピヲピヲッ🐦」
ハミ「じゃあ……眠いときのハチドリ!
バー「はい、では、眠いときのハチドリ! うーん……ピヲピヲッ🐦」
ハミ「じゃあ……照れたときのハチドリ!
バー「はい、照れたときのハチドリ! うーん……ピヲピヲッ🐦」

ハミ「一緒じゃねーか!」

バー「一緒じゃねーだろ!」


(観客)ピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲ……

バー「一緒じゃないでしょ、全然! どこが一緒なんですか! 5通り、全く違うでしょ!」
ハミ「お前、読んでるほうは一緒なんだよ!」
バー「だから『読んでる』って、何ですか! 『聞いてる』でしょ! 漫才なんだから!」
ハミ「お前、少しは『読者』の方々の気持ちヲ考えなさいよ!」
バー「だから『読者』って誰ですか! こちら客席のお客さんしかいないでしょ! さっきから誰の目を気にしてるんですか!」

(観客)ピヲピヲピヲピヲ……

バー「もう、さっきからハミングさん、ボクにばっかりやらせて、自分で何にもやってないじゃないですか! ハミングさん、何かないんですか? 特技とか」
ハミ「おっ、バードくん、言ってくれるやないかい。ノータカだよ、君ぃ」
バー「ん? ノー……タカ? 何すか、それ?」
ハミ「『能ある鷹は爪ヲ隠す』やないかい」
バー「いや、あんまりそういう使い方聞いたことないですけど。しかもボクら、ハチドリだし」
ハミ「ボクね、こう見えて、アレ得意やねん。早口言葉!
バー「え~? ハミングさん、できるんですか? 早口言葉なんて……」

ハミ「じゃあ、ちょっといくで……えー……『庭には2羽ニワトリがいる、裏庭には2羽ニワトリがいる』

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ「あっ、盛大な拍羽ありがとうございます!」
バー「えー、今言えてました? 誰か、お客さんに聞いてみよう。……じゃあ……その最前列の……ピンクの羽の彼女……今ってハミングさん、早口言葉ちゃんと言えてました?」
ハミ「あー、ダメだその子、日本語わかんないから
バー「いや、何でですか! どこで、そう判断したんですか!」

(観客)ピヲピヲピヲピヲ……

 バー「日本語わかんなくて最前列座って笑ってるって、頭おかしいでしょ! まあ、ボクらハチドリなのに日本語喋ってるっていうのもおかしいですけどね……」

(観客)ピヲピヲピヲピヲ……

ハミ「じゃあ、バードくん、君、言えるんかい?」
バー「えー、じゃあ、私もいきます……えー……『庭には2羽ニワトリがいる、裏庭には2羽ニワトリがいる』

(観客)パタパタパタパタッ……

ハミ「何や、君も言えるやないか」
バー「何だか不思議と、どんなに難しい早口言葉でも絶対噛まずに言えるような気がします」

(観客)ピヲピヲ……

ハミ「じゃあ、『庭にはニワトリ、裏庭にはワニ、庭にはワニ、裏庭にはニワトリ』
バー「はい。『庭にはニワトリ、裏庭にはワニ、庭にはワニ、裏庭にはニワトリ』
ハミ「じゃあ、『ハチドリ 鳥 撮り ときどき ドキドキ ハチドリ ときどき トキ撮り トキとドキドキ』
バー「はい。『ハチドリ 鳥 撮り ときどき ドキドキ ハチドリ ときどき トキとととドドキドキ……』

ハミ「いや、何で噛むねん!」
バー「そりゃ、噛むこともあるでしょ! 早口言葉なんだから! ちょっと羽元が狂ったんですよ!」
ハミ「羽元? 口元ちゃうんかい? 早口言葉やねんで!」
バー「落ち着いて書けば、ちゃんと言えますよ!」
ハミ「落ち着いて『書く』ってなんやねん! 落ち着いて『言う』ちゃうんかい! 早口言葉やねんで!」

バー「ハミングさん、そろそろ『読んでる人』も、この漫才飽きてきた頃じゃないでしょうか?」
ハミ「お前まで『読んでる人』って、言ってんじゃないよ! いい加減にしなさい!」

ハミ&バー

「どうもありがとうございました!」


(観客)パタパタパタパタッ……

パタパタパタパタパタッ……

ハミングバード、それぞれ両脇に捌ける)

(完)


~おまけ~

試しに本作で「推しの芸人」企画にも応募してみました ^^;


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