特集3 怒りでなぜ血管が浮き出る?医学的に考察してみた
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「怒ると血管が額に浮き出る(”怒筋"や"青筋(静脈の色)を立てる"
ともいいます)」という症状は、割と漫画・アニメに特有の症状です。
ですがせっかくなんで医学的に考察してみました。
現実では血管が皮膚に浮き出ることはあるか?
よくあるシチュエーションが、採血の時です。上腕に駆血帯(縛るやつ)を巻いて数秒すると、血管が浮き出てきます。手から心臓に帰っていく静脈血流を遮断することで静脈の圧を上げるわけですな。
病気でも起こり得ます。こちらは下肢静脈瘤です。足の静脈血の血流障害で出てくるものです。
末期腎不全の透析患者は血液の回路を外に作る必要があり、太い静脈が必要です。彼らは動脈-静脈シャントと呼ばれる動脈と静脈のショートカット経路を作り、静脈への血流をわざと増やして血管の拡張を促します。
肝臓の病気でも血管が浮くことが起こります。肝硬変の患者などは門脈圧亢進を引き起こし、その症状の一つとしてお腹の静脈の拡張が起こる場合があります。下の図はその典型例。「メデューサの頭」とも呼ばれます。
最後に巨細胞性動脈炎(昔でいう側頭動脈炎)です。血管炎の一つで文字通り側頭動脈の炎症です。発熱、頭痛他全身症状を起こし、ひどい人は失明します。怒りで出るわけではありません。
ではいよいよ本題です。
怒りで血管が浮くのはなぜなのか。
アニメや漫画で描かれる頻度の多い、額の血管に焦点を当ててみます。
まず押さえておく3つのポイント
上記3つのポイントをもとに、「静脈が拡張する場合」を考えてみます。
静脈が拡張するには採血の時みたいに心臓へ向かう血流を遮断するか、透析用のシャントやひどい心不全のように静脈血の血流を異常に増やして静脈をパンパンにしておく必要があります。
つまり怒った時に耳の辺りの静脈(青い血管)もしくはさらに心臓に近い首の静脈が遮断される必要があります。
てことはブチギレた瞬間に首か耳の上を指で押さえていなければならない・・・?ってことになる
もしくは、怒った時に、静脈がパンパンになるパターンのひどい心不全を起こしていることが必要条件です。
そして怒りがおさまった時にあっさりと通常の血管の太さに戻るわけです。
そんな訳わからん現象は医学的に説明できません!!
次に、動脈が拡張する場合を考えてみます。
動脈が拡張するには交感神経よりも副交感神経が優位になっている必要がありいます。
でも待てよ?怒った時は交感神経が興奮するんだよなぁ?
矛盾です。
血圧が上がって動脈瘤が限局的にぽこっと出ることはもしかするとあるかもしれませんが、そんなの見たことないし動脈瘤で漫画に出てくるような綺麗な血管の形になるとは思えません。しまいに怒りが収まったらたちまち動脈瘤が消えるなんてことも考えにくいです。
つまり
では他に考えられる原因は何か・・・。
周囲の顔面の筋肉や皮膚の影響はどうか。
よく考えたら怒った表情をすると顔の筋肉は収縮します。そして皮膚が引っ張られます。
その結果静脈が浮き出たように見えたという至極単純なメカニズムなのではないでしょうか。
以上がHaruくんの私見です。
「いやいや、違うよHaruくん!こうだよ!」という方、ご意見お待ちしております!
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