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ゼルトザームと母ロザリウム

 シンザン記念の直後に書いたテイエムリステットの記事。その冒頭には本馬の名前も少し出していました。遅れ馳せですが、今回は重賞馬ゼルトザームのお話です。

 母ロザリウムは未勝利馬です。ローズキングダム(2010年ジャパンC)の全妹としてデビューするも、中央の芝に大苦戦。地方の交流戦で2着に来るのがやっとの成績で、未勝利のまま繁殖入りとなりました。
 母系は日本に輸入された四代母ローザネイ以降、多くの馬の名前に薔薇が付けられた事から、愛称で薔薇一族と呼ばれています。当初から重賞馬を多数輩出。最近でもスタニングローズ(22年秋華賞)の活躍が示す通り、トップクラスの実力を誇る名牝系です。

 父ヘニーヒューズは米G1を2勝。2歳の夏から活躍するも、勝ち鞍はマイル以下に集中。2歳王者決定戦のBCジュベナイル(ダート8.5F)は距離が少し長かったのか、2着でした。
 産駒にも仕上がりの早さは伝わっており、芝部門ではアジアエクスプレス(13年朝日杯FS)、ダート部門ではアランバローズ(20年全日本2歳優駿)がそれぞれ2歳王者になっています。父の競走馬時代ほど短距離限定ではなく、マイル〜中距離を得意とする産駒も多くいます。

 生産は浦河の富田牧場。毎年の生産頭数はおよそ20〜25頭。活躍馬は多すぎて、書ききれない位います。直近の牧場ランキングは16年の総合21位が最高。現オープン馬メイクアリープ(上賀茂S)は本馬ゼルトザームと同じく宮川オーナーの所有馬です。
 本馬の同期ではムームとメイショウヤマモモが中央で勝ち上がり済。地方・大井ではフェルディナンド(父が本馬と同じヘニーヒューズ)が大晦日に行われた東京2歳優駿牝馬で10番人気ながら3着。新年を待たずにお年玉を配っていました。

 血統構成は父ヘニーヒューズに母父キングカメハメハの組み合わせ。現オープン馬にアドマイヤルプス(22年アハルテケS)やエクロジャイト(23年鳳雛S)、サトノロイヤル(23年立夏S)がいて実績は十分。

 本馬のデビューは昨年6月の函館・ダート1000m。ここを1番人気で勝利し、上々のスタート。2戦目の函館2歳Sは一介のダート馬との評価から10番人気でしたが、重馬場が味方に。23年最初のJRA2歳重賞をトップで駆け抜けました。3戦目以降は重賞ウイナーとしては精彩を欠く結果ですが、敗因は良馬場の芝でのスピード勝負だったり、距離が長かったり。悲観するほど酷くはないと思います。

 今後の出走予定は分かりませんが、本馬は栗東所属の関西馬。この春は園田の兵庫ChS(今年から1400mに距離変更)に向かってもらいたい。
 母ロザリウムは3歳秋に競走馬を引退しましたが、現役最後のレースは園田の交流戦でダート1400mでした。母が初勝利を目指して走った最後のコースです。
 本馬が昨秋に出走した兵庫ジュニアGP(園田・ダート1400m)だって、5番人気ながら3着に届いたんだ。母ロザリウムが背中を押してくれる。今度もそうなったら、良いねって。

 今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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