匿名日記 健康と趣味

私には仕事柄、病気を抱えた人を沢山見る機会がある。ちょっと特殊なホルモン異常や先天性疾患なんかも多い。詳しく言うと職場がバレてしまうからぼかすけど、生まれつき不治の病と戦っている人たちと話すこともあるということだ。
病気との向き合い方は人それぞれ。受け入れて前向きに振る舞う人、不安からか乱暴に振る舞う人、とにかく誰かに支えて欲しい人。病気の受容にはきっと、人の数だけその過程と結果に種類がある。そして彼らはよく、あくせくと働く私を見て老いも若いもこう言うのだ。「健康を大事にしなさい」と。
自分や身内は大丈夫と思い込みがちだけど、健康も若さも決して不変のものではない。私の母は昔から、自分が死んだ後にする手続きや葬式のやり方、知らせて欲しい人なんかを私に語った。もうすぐ死ぬと言われているみたいで私はその話題が好きではなかったのだけど、20歳の頃に実の母親を脳出血で亡くしている彼女にとって、親心から早めに私に知らしめておきたい現実だったのだろう。親もあなたも突然死ぬ事があるのだぞ、と。孝行したい時に親はなし、も口癖だった。(なんか死んだ人を思い出すみたいに言ってしまったけど今ところまだ生きてます。)そのせいなのかは分からないが、母も私もやりたいことをやりたい時にやる快楽主義的な面がある。
多趣味な親子だ。兄や弟妹はそうでもないようだけど、母は若い頃はスキーやダイビングに傾倒し、今はロードバイクやカメラ、ヨガなんかも趣味にしている。登山も好きで、結構な高さの山にも登るようだ。私もダイビングは好きで、今度オープンウォーターのライセンスを取ろうと考えているし、旅行やウィンタースポーツも好きだ。去年はスカイダイビングに挑戦して、今年また友人と飛びに行く計画を立てている。鉱物の収集や本屋巡りも楽しい。
とにかくやりたいことが沢山ある。色々と苦しいことや悩ましいこともあるけど、私は今のところ人生が楽しい。だけどそれだって健康ありきで、いつまでも健康に趣味を楽しめるわけじゃないことを、私はきちんと覚えておかなくちゃいけないんだろう。努力してもいつかは大なり小なり損なわれるものだから、今やりたいことは沢山経験しておいた方がいいってことも。いつか悔いなく死ねるように。
とりあえず今は自分の健康に多少気を使いつつ、母親をどうにかしていきたい。まだ子宮頸がんの検査結果が出た訳でもないのに、最近何かにつけて「まあ今子宮でがん育ててるから…」などと不謹慎なブラックジョークを言うようになったので。なんせ頭部CTで異常を指摘されたことを1年間忘れていたと申告してきた前科持ちだ。去年引きずって脳ドックに連れていったのは記憶に新しい。やつの健康は私たちが気にかけていかなくては。

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