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情報Ⅱ「コミュニケーションとコンテンツ」で何を学ぶのか?


図1 情報Ⅱ 第2章 学習内容

 情報教育は、生徒が情報社会で生き抜くための重要なスキルを育成することを目的としている。情報Ⅱの第2章「コミュニケーションとコンテンツ」の学習内容は何か、どんな力の育成が必要なのか、教員であれば必修の知識である。第2章の学習内容は、図1の通りである。
 
 ここでは、学習内容をどのように授業で実践すればよいのかイメージしやすいように、「文化祭にたくさんの人に来てもらう」という具体的な学習テーマをもとに説明する。

 本解説は、文部科学省の高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)の第2章コミュニケーションとコンテンツを、私なりの分析を加えて紹介したものである。
https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_003.pdf

第2章 学習活動の流れ 全体図

1 問題の発見

「文化祭に来てくれる人が少ない」等の問題を発見するポスター掲示による集客に偏っている等の現状を把握する

2 情報の収集と分析

ポスター掲示とHPだけの集客であること。足りない要素として、動画でのアピールやSNSでの発信が不足していること等を整理する。

3 メディアプランの検討

メディアプランニング(図3)について学習する。文化祭に来てもらうには、興味を持ってもらい、行こうと思う(行動を促す)が重要である。
図3 メディアプランニングとは
図4 文化祭に来てもらうには

続いて、文化祭に来てもらうには(図4)、ポスターにQRコードを入れ、映像コンテンツを入れておくと、より興味を持ってもらい、行こうと思う(行動を促す)可能性が高まることを学ぶ。

図5 メディアの重複と補完

さらに、メディアの重複と補完(図5)では、複数のメディアを使いこなすことと、その効果について知る。

4 コンテンツの制作と改善

 ネットやSNSでの発信、ポスター掲示に添付する動画等のコンテンツを制作する。ここでは以下の内容等を学習する。メディアプランやメディアミックスについて学ぶことで、生徒は異なるメディアを組み合わせてコンテンツを制作する方法を理解します。また、ユーザインタフェースやアクセシビリティを考慮した情報デザインの重要性についても学びます。
コンテンツ制作の流れ
写真のアングルによる効果の違い


動画作成時のカットのつなぎ方のストーリー変化


目的に合わせたユーザーインタフェース


アクセシビリティの例

5 コンテンツの発信

コンテンツの発信手段の変化とその組み合わせ、さらにユーザーの反応を得る方法やそれを基にした分析と改善について学ぶことで、生徒は情報の発信と受信の両方における批判的思考力を高めます。

6 コンテンツの分析と改善

インタビューやプロトコル分析を通じたコンテンツの評価方法を学ぶことで、生徒はフィードバックを基にコンテンツを改善する力を養います。
インタビュー手法
プロトコル分析
コンテンツの分析


教師に求められる力

  • 指導法の革新:生徒が主体的に学べる環境を提供し、情報技術を駆使した授業を設計する能力。

  • 継続的な学習:最新の情報技術や教育手法を常に学び、自己の指導法を更新し続ける柔軟性。

  • フィードバックの活用:生徒からのフィードバックを受け入れ、授業内容や教材を改善する能力。

生徒に求められる力

  • クリティカルシンキング:情報の信頼性を評価し、多角的な視点から情報を分析する能力。

  • コミュニケーションスキル:メディアの特性を理解し、適切なコンテンツを制作・発信する能力。

  • 問題解決能力:実世界の課題に対して情報技術を活用して解決策を見出す能力。

情報Ⅱの「コミュニケーションとコンテンツ」は、これらの力を育成するための理想的なフィールドです。教師と生徒が共に成長し、情報社会で活躍するための基盤を築くことができます。

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