【アメリカ駐在妻:キャリア編】”意思あるところに道は開く”と信じて

 今回は、先日投稿した記事の後編として、自身の「アイデンティティクライシス」から抜け出すために、どんなふうに考えて行動し、最終的にフリーランスの仕事を見つけたのかを記録に残したいと思います。

旅行先でのパートナーとの話し合いがきっかけで新しい可能性が見えた

 パートナーの海外駐在が決まったとき、コロナ禍で行けなかった新婚旅行先としてスイス行きの航空券を発券済みでした。

 ついにスイスに来たぞ!というとき、タイミング悪くも、私は「アイデンティティクライシス」真っ只中でした。目の前には夢にまで見たマッターホルンの朝焼けや美しいハイキング道、でも気分は超どんより。
 誰かが「広大な自然の中では自分の悩みがちっぽけに思える」と言っていたのを聞いたことがありますが、実体験では「それは嘘」でした(笑)いつか晴れやかな気持ちでリベンジしたい。。

 旅行中、一日だけ大雨に降られて、仕事も持ってきていない旅だったので、久々に夫婦揃って何もすることがなく、宿に引き籠った日がありました。
 そのタイミングで、改めてパートナーにその時の自分の気持ちをぽつぽつと伝えました(しっかり聞いてくれたパートナーに感謝×∞)。

・自身の多くを占める”仕事をする自分”を失うことの私の中での意味

・自立した自分を失い、パートナーと対等でいるすべを失う恐怖

・帰国後に今の私の理想とするキャリアプランをなぞることは、職場の雰囲気を見ていて不可能に近いのではないかという恐怖

・私個人の考えとして、今の勤務先の業界に将来性がないと感じており、復帰後も同様に感じ、異業種/異業界転職したいと感じても、ブランクの長さと年齢的な問題で転職が難しくなる可能性

・タフな海外生活を経て日々成長するパートナーと自分の現状を比較し、何も変わらない自分が惨めになり、パートナーに八つ当たりしてしまう可能性(本当は支えるために帯同を選んだのに)  

 考えれば考えるほど、当時の私の脳内はこんなネガティブワードで埋め尽くされつつありましたが、自分にとっては帯同せずに日本に残るのは直感的には最適解ではないと感じていました。きっと、心の中で”感情的な自分”と”理性的な自分”が拮抗していて、”感情的な自分”が”理性的な自分”を説得するために、駐在帯同は”仕方なく”ではなく、”自分の意志で決めた”と思える理由付けを探していたのだと思います。

 話し合いの中で、パートナーは「ねっこが仕事をせずに帯同したとしても、私たちが平等であることには変わりない」等と伝えてくれましたが、私自身の価値観をガラッと変えることは簡単ではなく、自分の定義の中でパートナーと対等でいられない自分を自分が許せない状況から抜け出せませんでした。

 それならば、「せめて駐在帯同中にブランクがあいたとしても、その期間に実行したことが、”今の自分が将来の自分への投資に繋がると信じられるアクション”は何か?」とパートナーと知恵を絞り続けました。
 このお題はこれまでも何度か話し合ってはいましたが、資金力や言語の問題で実現性が低かったり、勤務先の社内規定による制限があったりして、納得のいく答えにたどり着けていませんでした。

 議論が硬直したとき、パートナーがポロっと「帯同まであと半年あるし、もう今から転職しちゃえば?」と言いました。
 このとき、自分が無意識に「現職は退職しない前提」で考えていたことに気が付きます。資金力や言語の問題は変わりませんが、この前提があったからこそ社内規定が問題になっていたのであって、退職も視野に入れるならば自分の選択肢は広がると感じました。

 そこで2人で作戦を練った結果、仮目標として仕事復帰後に異業種/異業界転職ができるように、①転職サイト等で求人情報を探し、②そこに記載された資格や能力を把握し、③帯同中に転職に必要なスキルを学ぶことで、”今の自分が将来の自分への投資に繋がると信じられるアクション”になるのではないか?と1つの方針を立てました。

 そこから、気持ちを切り替え、宿でスマホで永遠とググること数時間…

①求人情報の検索

主に以下の3本柱で実施しました。
(i)転職サイトの活用
(ii)『特定業種の情報サイト』『特定資格取得者向けサイト』の求人欄の確認
(iii)『「現在の職種」×「転職したい業界」×求人×フルリモート』で検索

②求人情報に記載されたMUSTの資格・能力の確認

 まず求人を見て、資格ほど第三者にわかりやすく能力を伝える方法はないのだなあ、とも実感しました。
 過去にキャリア入社した先輩から「高難易度の○○資格を持っていると転職に有利だよ」とアドバイスをもらったときは、そのときは「そうなのか~業務にも生かせそうだから勉強はしてみようと思うけど、転職予定のない私が”転職のために”はモチベーションを維持しきれぬ勉強量だ…」と若干腰が引けてましたが、確かに転職するぞ!と思うと、『MUST:○○資格保有者』と明記してあったりと、即戦力を求めるキャリア採用においては、今の私では門前払いをくらう求人情報も多く存在してました。(現実は厳しい)

 しかし、いくつか求人情報の「MUSTの資格・能力」を見ていくと、思いのほか、「同業種&異業界」においても、今の自分の資格・経験で要件を満たす=転職にチャレンジできる会社がいくつか存在する、という事実も知りました。
 当時の勤務先には断られましたが、もしかして、「海外フルリモート」を認めてくれる「同業種&異業界」の会社があれば、アメリカでキャリアアップ&自分が現職より将来性があると感じる業界へのピボットもできる…?と一気に視界が開けた気持ちに。
 もちろん、”異業界”へ飛び込むことになれば、業界知識がゼロゆえに入社後の苦労が容易に予想されます。それならば、「(iii)帯同中に転職に必要なスキルを学ぶ」方が良いだろう、という考えもあると思いますが、私の性格上、責任を伴うポストに就いて必要に駆られた方がより必死になる!という確信めいたものがあったので、目ぼしい企業を探し、ダメ元でエントリーシートを出そう!と決めました。

 後日談ですが、私の場合、○○資格は持っていませんでしたが、『優遇:○○資格保有者』と求人情報に記載がある会社にエントリーし、代わりに○○資格勉強のモチベーション維持のために取得した難易度が下の資格を書いたのですが、それがほんの少しだけ自身の能力証明に役立ったようです。どんなレベルでも資格は取っておいて損はなかった。

③「帯同中に転職に必要なスキルを学ぶ」改め「帯同中に”転職先で”スキルアップ」作戦

(求人情報の検索結果)
 私の場合、①で紹介した検索方法では、(i)(ii)では海外フルリモートの求人を見つけられず、(iii)のピンポイント検索で、「フルリモート業務」「海外勤務は応相談」と記載された「同業種×異業界」の日本の会社を発見しました。

(勤務先の副業制度の再確認)
 ほぼ同じころ、当時の勤務先の人事とも何度か話をしていると、勤務先で副業が認められていなかった理由として、副業により労働時間が長期化し本業に支障をきたすこと等が挙げられており、会社の提示する複数の項目を満たせば副業を許可してもらえる可能性があることが分かりました。

(見つけた会社に応募!)
 その後、「アメリカからのフルリモート勤務が前提」で、上述の会社に応募し、「業務委託契約での採用可否」も確認しながら面接に臨んだたところ、結果として「アメリカからのフルリモートでの業務委託」で採用通知を頂きました
 最初は、当時の勤務先を退職する覚悟でエントリーしていましたが、勤務先の制度を知った面接官の方々からのご助言もあり、勤務先の帯同休職&副業でまずはOK、と言って頂けました。

(勤務先への副業申請)
 
応募先から採用通知をいただいた後は、勤務先に副業申請を認めてもらうため、会社の提示する複数の項目を満たすことを、例えば下記について説明しました。

副業許可する上で満たすべき項目事例
・「休職中の副業」のため、本業に支障は出ないこと
・本業先と副業先とは業界で競合関係にないこと
・雇用関係を結ばない業務委託契約であること
・米国VISAがL2Sのため、米国での労働が可能なこと                    
                                など

 その結果、渡米直前の12月に勤務先の人事・職場からも、休職中の副業を認めて頂き、最終的に、渡米後は現職を退職せずに、「現職を休職&"同業種×異業界"の会社でフリーランスとして働く」方針で確定しました

「意志あるところに道は開く」

 駐在妻の現地就労の手段として、過去の先輩方の発信から、フリーランスの存在を認知はしていましたが、何となくSE職やライター職のイメージが強く、どこかで私の職種で海外からのフルリモートかつフリーランスでやらせてくれる会社なんてあるわけない(勤務先に無理だと断られたし)…ましてや現地就職かつフリーランスなんてハードル高すぎる…と思っていました。

 実際、有名な転職サイトのリクルーターの方々とお話した際にも、「紹介できるお仕事はありません。現地就職を考えてみては?」「帯同休職制度があるのだから、退職はもったいないです。現地での生活を満喫されたらいかがですか?」等のコメントをいただくことも多く、求人の数はそこまで多くないのだと思います。

 それでも「やっぱりこうしたい!」という自分の気持ちを反発力にして、「なるべく将来の自分に投資になることを」「転職も視野に入れてみよう」と時に考えも変えながら行動したところ、結果的に”自身のキャリア”と”仕事をする自分”を守ることに繋がり、アイデンティティクライシスに抗う準備ができました。

 また、渡米前に副業先が見つかったことで、渡米直前の気持ちは晴れやかで、アメリカでパートナーに会えるのが楽しみだ!と、久々にポジティブな気持ちになれたことも、印象に残っています。

 今回の結果は、自分が行動を起こした先で出会えた、パートナー・副業先の方々・勤務先の方々に相談し、沢山お知恵を貸してもらった結果だと思っており、私の自分本位な感情に付き合ってもらった分、少しずつ恩返ししていきたいです。
 そしてこれからは、帰国するときに、「"私”が”私であること”をあきらめなくてよかった」「あのとき帯同を決断してよかった」と思えるように、日々大切に過ごそうと思います。

 お読みくださりありがとうございます。


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