エゴイスト

画面の構図が素敵だった

愛し合う二人の濃密度も演者の極み

それ以上に、演者の、さまざまな様子が
日常的な描写に見えた

役然りではなく、描かれた一枚それぞれ
魂がこもっていた気がする

私が、強く印象の残っているシーン

龍太が男娼を辞めて←辞めないで欲しかった

夜勤でホテルか大量な食器を洗い終えて、ひとり背中を向けて非常口の非常灯が光るだけの暗い廊下を、俯いて静かに歩くシーンだ。

中卒で仕事の選択肢がない龍太

一枚一枚油まみれの食器を
黙々と洗浄機にかけて、仕事に向き合う

いきいきと見えるが、焦燥感も感じる。

使い古されたエプロンを肩にかけ
ひたすらに油汚れを落としていく

なぜこのシーンを監督は選んだか。

原作で、このシーンは描かれてなかった。
←確か…

監督が、不条理なさだめを生きる龍太の
普通に生きられない切実さというか、
外国人労働者の方たちのような描写を設定。

日本社会に潜む、普通に生きること

普通を求め、消費し続ける文化観。

モノで価値を評価する浩輔とは対照的に
比喩的に龍太の現実を、皿洗いという作業を
詳細に描き切る視点が強く印象が残った。

そんなシーンに見入ったあと、
はいキタ、廊下のシーン。

見てはいけない後ろ姿を見せつけられたような気がした。

命からがらというのか、死を予感させるシーンでもあるが、徒労に期した結末だった。



心が重たくなる。

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