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自分の「かっこよさ」に辿り着いた人

私はファッションが好きで、自分に似合うものを探す果てしない旅に出ている。
最近、普段は選ばないようなちょっと丸い形をしたメガネを買った。
自分の中では思い切った買い物で、少し個性的なメガネである。

お出かけの時は何も抵抗なくかけていくことができるが、職場にかけていこうと思うとどうしても勇気が出ず、ノーマルななんの特徴もないメガネをかけていく。
「変だと思われたら嫌だな」「急に個性的にけなったなと思われるだろうか」といろんなマイナスな感情が頭をぐるぐるする。
だが、そんなちっぽけな思いなど一掃するような出会いがあった。

私の職場には、業界の中でとても有名で「レジェンド」と呼ばれる人がいる。
職場の1番偉い人も、その人には頭が上がらないと言う。
そして、周りにいるベテランの職員さんもこぞって全員、その人には敵わないと言う。

ありがたいことに、その人と同じチームで働くことになった。
出勤初日、とてもドキドキしながら職場に着いた。
例のレジェンド先輩のところへ挨拶に行く。
そこで目に入ったのは、とても驚きな光景だった。

全身が緑色のファッション。
極めつけにはメガネに蝶々が生えている

私がクヨクヨと悩んでいたメガネ問題は、なんだったんだと思えるほど、個性的なメガネをかけられている。

そして、いざ一緒に働き始め、レジェンドから「パソコンのここがわからないんだけど、教えてくれるー?」と声をかけられた。
レジェンドの画面を見に行くと、

カーソルまで緑色。


カーソルって緑色にできるのか。一瞬頭が白くなった。緑色ではなく。

でもこの個性的なレジェンドは、周りの人が言うように、確かにすごい人だった。

仕事は光の早さでこなし、「いつ終わらせたの!?」と何度思ったかわからないほど。
お願いした仕事も5分後には終わっているし、一つ10kgほどあるような仕事を10個くらい平気で同時並行にこなしている。
私が仕事の相談をしたら厳しく指摘をしてくれるが、私がひと段落しているところを見計らって「どうだった?」と椅子に腰掛けて真っ正面から話を聞いてくれる。そして必ず「よくやった!」と褒めてくれるのである。
飴と鞭が本当にうまい。
〜ハラスメントが漂う中、しっかり叱ってくれる貴重な人。

どれだけクライアントからきつい言葉を言われても、言い返す場面と、受け入れる場面とをしっかりと分けられている。
それが相手が医者だろうが、弁護士だろうが。
おまけに、喋りが超絶面白い。

「こんな人が世の中にいるのか」という言葉が頭を埋め尽くす。
まるで、ネッシーを見つけてしまったかのような感覚。

では、なぜこのレジェンドがここまですごいのか?

よくよく考えて、肌身でも感じてきて思ったことは一つ。
このレジェンドのすごいと言われる理由は

「自分の気持ちに率直に生きる」

これに尽きると思う。

共感できないことは、共感しない。
間違っていることははっきりと指摘する。
受け入れられる部分は受け入れる。
自分がしたいように仕事をする(パソコンを立てるだけではない)。
自分がしたい格好をする。

これが全て実現できている。世間の目や言葉が厳しくなってきているこの時代でも、すんなりとやり遂げている。
レジェンドが今よりもっと現役だった時なんて、かなり厳しい言葉を言う人もいただろうに。
それに、ただ反論するだけではない。
ちゃんと、筋が通っているのである。
筋が通っているということは、ちゃんと勉強して、熟知していないとできないこと。
中途半端な理解や隙があると人はすぐに見破る。しかし、レジェンドにはその隙がないのだ。

自分が思った気持ちに素直に従うことによって、余計なところが削ぎ落とされている。
邪念や見栄、無駄な思考も全てが削ぎ落とされていて、洗礼されている。
いつみてもサッパリな感じて、姿勢も良く、華やかなのである。

あっぱれだ。

ここで、世の著名人に視点をずらしてみても、当てはまる人がいる。
例えば、成田悠輔さん。メガネが丸と四角である(またメガネ)。
なかなかつけるには勇気のいるメガネだが、そのスタイルを貫いていることによって定着し、個性となって、周囲に受け入れられる。おまけに、トレードマークとなる。
そして、ものすごい経歴の持ち主だ。

周囲と一味違う人って、自分の気持ちに素直に生きて、周囲からどう思われたり言われたりしようが、それを貫き通している人、だと思う。
それが周囲に定着してくると、こんなに楽なことはない。つまり、こだわりを貫き通した方が、返って生きやすくなるのではないだろうか。

しかし、その境地に至るまで、自分を信じる強い芯の部分が必要になると思うが、そこがなかなか難しいところ。

いろいろな人と関わっていると、どうしても目上の人からの重圧だったり、自分の気持ちを押し込めてしまう場面があったりする。「私なんかが言ったら」なんて、蔑んでしまうこともある。
だが、自分の意見を持つことは決して悪いことではなく、むしろ歓迎すべきこと。

自分がしたいファッション、身につけたいアイテム、話したいこと、全ては制限されることなんてないものなのだ。

私が悩んでいたメガネなんて、可愛いもん。
もっと、「これが好きだから!」の思いだけでよかったりするんだな。

レジェンドと最後まで一緒に仕事をすることはできなかったが、一度でも一緒に仕事をする機会をもらえて本当によかったと思っている。


わたしはもう丸メガネをかけることは怖くなくなった。しかし、蝶々メガネはやっぱりむりだ。

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