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源泉徴収票で何がわかるの?

会社員の方は、12月又は1月に源泉徴収票をもらう事と思います。最近ではwebで閲覧出来る会社も多いですよね。
今日は、この源泉徴収票に何の数字が記載されているのか?その数字を知る事で税金の仕組みや、どんな節税対策が取れるのかをご紹介させていただきたいと思います。

そもそも源泉徴収票とはなんぞや?と言う事ですが、源泉徴収票とは1年間の収入と控除額、そして納めた所得税の金額が記載された書類となります。下記に票を添付しましたので、それを元にご説明させていただきたいと思います。

支払金額
支払い金額とはいわゆる年収です。税引前の総収入となります。(交通費は通勤手当として支給された場合、月15万円以下であれば非課税となる為含まれません)

給与所得控除後の金額
給与所得控除とは、収入から経費の代わりに収入額に応じて差し引かれる金額の事を示します。
下記にその金額を添付しましたので、ご自分の収入を当てはめて計算してみて下さい。
計算して出た数字が給与所得控除額になるので、
その金額を①の支払金額から差し引きます。
それにより、給与所得控除額を差し引いた後の金額が出ますので、給与所得控除後の金額と記されています。そして、これが給与所得になります。

*国税庁ホームページ引用

所得控除額の合計額
所得控除とは、納税者の事情に合わせて一定額を所得から差し引き、税負担を軽減させてくれる制度となります。
所得控除は15種類あり、基礎控除を始め、年末に申請する配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除やiDeCoなどの小規模企業共済等掛金控除などがその一つです。そして、それら全ての所得控除額を合計した金額が記載されています。

*医療費控除も所得控除の一つですが、申請は確定申告で行う為、源泉徴収票の所得控除額の合計には関係ありません。
また、住宅ローン控除は所得控除ではなく、算出された所得税や住民税から差し引く税額控除となります。

源泉徴収税額
源泉徴収税額とは、実際に支払う所得税額を示します。毎月給与から天引きされている所得税は、会社がおおよその金額を計算し、天引きしています。年末調整では、1年間の総収入と控除額の合計が明確になりますので、改めて算出する必要があります。
その際、天引きされた所得税が多かった場合には還付されますし、少なかった場合には、その分を納税することになります。
住宅ローン控除を申請していて、ローン控除額よりも所得税額が少なかった場合には、源泉徴収税額は0と記載されます。


所得税の計算の流れ

上記①〜④の手順で所得税額は決定しています。
①収入-②給与所得控除-③所得控除×所得税率
所得税率は下記表を参照して下さい。

国税庁ホームページ引用

その他、記載事項

1.社会保険料等の金額
1年間に支払った健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、iDeCoなどの合計金額になります。iDeCoの掛金がある場合は、合計金額の上に
内○○円と記載されています。

2.生命保険料の控除額
生命保険の控除額は支払った保険料の総額ではなく、一般、介護、年金の3つの種類と、加入年によって控除額が決まっています。
生命保険料控除申請書にも記載されていますが、下記表をご参照下さい。

(新制度)

(旧制度)

国税庁ホームページ引用

3.住宅借入金等特別控除の額
住宅ローン控除を申請している方は、年末時点での住宅ローン残高の1%又は0.7%を所得税から
差し引けますので、その金額になります。
所得税から控除しても控除額が残る場合は、最大で97,500円まで住民税から控除されます。

4.摘要欄
こちらには中途採用の場合、前職での収入等が記載されています。


節税対策

ここから先は節税についてお話ししていきたいと思います。
所得税と住民税を減税するには、15種類ある所得控除、ふるさと納税、住宅ローン控除を活用する必要があります。
所得控除や住宅ローン控除は、対象になっている方は申請済みだと思いますが、幾つか代表的な控除をご紹介させていただきます。

1.配偶者控除と配偶者特別控除
配偶者控除は納税者と生計を一にしていて、年間の所得金額が48万円以下(年収103万円以下)の場合に最大38万円受けられます。*他条件あり
年収103万円を超えても、201万円までなら段階的に控除が受けられるのが、配偶者特別控除です。
下記は配偶者特別控除額の一覧になります。

どちらの制度も配偶者の収入だけでなく、納税者の収入によっても控除額は異なってきます。仮に納税者が夫だった場合、夫の手取り金額を増やすのか、妻がどれだけ働いたほうがいいのかは世帯収入を計算してみる必要があります。

国税庁ホームページ引用

2.扶養控除
扶養控除は、納税者と生計を一にしている16歳以上の方で、年間の所得金額が48万円以下(年収103万円以下)の方が主に対象になります。

生計を一にするとは
必ずしも同居している必要はなく、勤務の都合により家族と別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

控除額は下記のようになっており、大学生を持つ親御さんには手厚い制度となっております。

16歳~18歳 38万円控除
19歳~22歳 63万円控除
23歳~69歳 38万円控除

例)高校生1人、大学生が1人ずついる家庭の場合
38万円+63万円=101万円控除となります。

親を扶養している場合

扶養と言うと子供をイメージしますが、親も条件が満たされれば控除の対象者になります。
70歳以上で同居している場合は58万円控除、同居以外は48万円控除となっています。
もし、親を介護している場合、その費用は重くのしかかりますので、この扶養控除はとても助けになります。
また、世帯分離をしても生計を一にしていれば、扶養控除は適用になるケースもあるようなので、役所に確認した方が間違いはないです。


3.小規模企業共済等掛金控除
これは主にiDeCoで活用している方が多いかと思います。iDeCoは掛金全額が所得控除になり、節税しながらも将来の為に資産運用が出来る制度となっております。
自営業者は月68,000円、専業主婦や企業型DCに加入していない会社員は、月23,000円が上限となっております。掛金は60歳まで引き出し出来ませんが、それぞれ年間で自営業者は、最大816,000円、会社員は276,000円の控除が受けられるようになっています。余剰資金がある方は、節税効果が1番高い所得控除になりますので、検討してみると良いでしょう。


4.医療費控除
医療費控除は下記の通り、1年間の総所得が200万以上の方と200万未満の方で控除額は異なります。最大200万円まで控除ができ、世帯全員分の医療費を合算して申請出来るので、所得が1番多い家族が申請するとメリットが高いです。
(世帯分離をしている場合は合算は不可)

また、介護保険もサービスの内容によって医療費控除の対象になります。詳しくは下記にリンクを添付しましたので、ご参照ください。
尚、申請は会社員の方でも確定申告になりますのでご注意ください。

*Yahoo!くらし引用

5.ふるさと納税
ふるさと納税は、寄付金額から自己負担額2,000円を差し引いた金額を住民税や所得税から差し引いてくれる制度となります。
例えば、寄付金額10,000円の場合
10,000-2,000=8,000円が控除額となります。
申請は会社員の場合、ワンストップ特例制度を利用すると、とても便利です。自動的に翌年6月から納付する住民税から差し引いてくれます。

尚ふるさと納税によって住民税が減額されたり、所得税が還付されたりしますが、これは、ご自分の住んでいる自治体に納付する代わりに応援する自治体へ納税していますので、減税とは異なる事にはご注意ください。

ワンストップ特例制度とは
ふるさと納税をした後に、確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる仕組みで、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額を翌年の住民税から自動的に控除してくれる制度です。
但し、個人事業主の方、医療費控除を申請する方、住宅ローン控除1年目の申請をされる方は確定申告が必要な為利用出来ませんので、お気をつけ下さい。
また、ワンストップ特例制度が使えるのは5自治体までです。もし、同じ自治体に複数回寄付したとしても、1つの自治体にしか寄付していませんので、1カウントとなります。

住宅ローン控除との併用

よく疑問に思われるのは、住宅ローン控除とふるさと納税、iDeCoや医療費控除が併用出来るのか?と言う事ではないでしょうか?
結論から申しますと、全て併用可能です。

但し、iDeCoや医療費控除、ふるさと納税は、所得税や住民税額を決定する前に所得から差し引いてくれる制度です。一方、住宅ローン控除は決定した所得税や住民税から差し引いてくれる制度となります。
従って、iDeCoや医療費控除、ふるさと納税で既に税金を減額してしまっている場合、住宅ローン控除での所得税の還付や住民税の減額されるお金は減ってしまいます。

元々支払う税金を抑えるのか、支払うはずだった税金を減らすのかは、家庭の事情や資産形成など考え方によって変わってくると思いますので、要検討してみて下さい。
ちなみに、ふるさと納税の限度額は楽天の詳細版シュミレーターを使うと便利です。
住宅ローン控除やiDeCo、医療費控除などの金額を加味した上での寄付金限度額を算出してくれます。


定額減税と控除額について

最後に定額減税について触れさせていただきたいと思います。
今年6月に予定されている定額減税ですが、これは所得税30,000円、住民税10,000円、合計40,000円が減税される制度となっています。その結果、給与の手取り金額が増え、家計を助けてくれるようになります。
更に扶養家族がいる場合、その人数分も加算できるとのことです。

例えば、扶養している子供が2人いる場合
所得税30,000円×3人=90,000円
住民税10,000円×3人=30,000円
合計120,000円減税

上記の事から扶養家族が多い方程、減税額は多くなりますので、手取り収入が増えることになります。しかし、先ほどお話しした住宅ローン控除、ふるさと納税をされている方は注意する点があります。

住宅ローン控除は、納める所得税から控除される制度で、その控除額が年末調整時に還付される仕組みとなっております。ですが、定額減税によって所得税は徴収されていませんので、その月の手取り金額は増えますが、その分還付額は減ってしまう事と思われます。

ふるさと納税に関しては、その年に寄付した金額は翌年に反映されます。2023年に寄付した場合、2024年の6月から翌年5月までの住民税額から控除されます。
しかし、定額減税によって住民税額は減額されていますので、金額によってはふるさと納税による控除出来る税金がないケースが生じる場合があります。その結果、返戻品を自己負担で購入したと言う事にもなりかねます。


以上長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
税金の話は用語が難しく、仕組みも複雑なので、とても理解するのは大変です。ですが、制度を知っているのと知らないのとでは大きく違います。
今回の記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
年明けから思いもよらない災害が続いていますが、皆様の健康と1日でも早い復興を願っております。

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