【毎週ショートショートnote】名探偵ボディビルディング
名探偵は鋭い目つきで指摘する。
「あなたが首謀者ですね」
「くっそ!」
指名された人間は近場にいた女性をひきよせると、大声で叫びたてた。
「車を用意しろ!」
「やめるんだ! そんなことをしてもなにもならないぞ!」
「うるせえ!」
車が用意され、首謀者は車で逃亡する。むろん、女性は首謀者に、とらわれたままだ。
「ああ、どうすればいいんだ!」
「落ち着いてください。私に考えがあります」
名探偵は静かに微笑んだ。
二週間後、首謀者はあっけなくつかまった。
サングラスをつけた、この世のものと思えないきれいな体型の人間にみとれ、思わずその場に立ち止まった。
たくさんの私服警官に肩をたたかれるまで気づかなかった。
つかまる直後、首謀者はサングラスをかけた人間を睨みつける。
「お前は、だれだ」
サングラスをとった人間は微笑む。
「私は名探偵ボディビルディング。犯人の理想の体型になるなんて、ボディビル大会よりも造作ないことよ」
鋭い目つきだけは、変えられない。