【毎週ショートショートnote】 助手席の異世界転生

ハァイ! 俺は、高嶺グループのご息女にひいきにされているタクシーの助手席だぜ!

高嶺お嬢が、俺のタクシーに乗るとき、助手席はつかわないぜ、たいてい、うしろにいるな!

まあ、お嬢は俺に座らないよな…。そうやって、あきらめてたぜ!

「今日は、助手席の気分なの。いいかしら?」

ええええ! 俺に座ってくれるの!

夢みたいだ…。

俺、死んでもいいかも…。

幸せすぎて、意識がふっとんで、気がついたら。


ーーご乗車、ありがとうございます。お忘れ物のないよう、お気をつけください。

え?

ここ?

ここどこだー!!

俺の左右に席があって、むかいにも席がある。席の上には、でかい窓。窓のさらに上の位置に、カバンが置いてある棚がある。

「こ、ここ、どこだ?」
「気づかれましたか?」

俺の目の前にある席がしゃべった。

「ここは、どこなんだ!?」
「ここは、電車の中ですよ。あなたは、電車の席に心だけ転生されたのです」
「そんな…そんな。お嬢にまだ、座られてねええええええ!」