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【小説13】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)

13 魔界の情報網


 ベルルとキーパーちゃんがダイニングで服を作り、イブキは絵を描いている。俺とイブキは普通の平民服を作ってもらった。もち、コピー。

「コピーは便利ねぇ~ マスター素敵!」
ベルルに煽てられて俺はコピー機だ。

食事はキーパーちゃんとイブキが用意してコピー。
時間停止機能付き大型ストックBOXもキッチンにあるから保存可能。
もし俺が長期留守しても大丈夫。

「新しい料理を作りたいからぁ~材料を買ってきてぇ~」ベルルに頼まれ、ニトになって商店街に出る。
店で野菜や果物、乳製品、油、魚介類を買ってポシェットに収納。

ギルドに寄ってカードを作成することにした。
カードは10歳以上でないと作れないのでニトの名前で作った。

ギルドカードを作ると身分証明とクレジット機能もつく。
郵貯に金貨1枚入れて口座を開くと小切手帳をくれた。
通帳は無く取引明細書が出される。

平民街をぶらぶら探索しているとスラム街に出て、雰囲気が変わる。
戻ろうとするとダニーがいた。
「ニト! 見かけたらスラムに向かうから追いかけて来たんだぜ。」

「ダニーさん、ぶらぶらしてただけです。大丈夫ですよ。」

「それならいいが、お前どこを根城にしてんだ?」

「秘密です。安全な場所に居るから大丈夫ですよ。」

「ホント不思議な坊主だな。ちょっとついて来い。」
俺の腕を掴んでダニーは元来た道を戻りだした。

着いた先はボロボロの宿屋「ここだ。」と鍵を開けて中に入る。

「ここ、取り壊す予定だったのを格安で買い取ったんだ。」

「外は酷いけど、中はまだマシですね。ここに住むんですか?」

「ああ、いつまでも宿暮らしじゃ金が続かねぇ。ここPTハウスにするんだ。」

1階は食事処、2階が客室になってる。シャワーは共同のありふれた安宿だ。
階段、廊下もギシギシ音がする。客用の7室はベッドが半分占めて狭い。

「ここの1室をニトが使え。報奨金には届かねぇが、何かあったら俺が後ろ盾になる。」

「そんなの気にしなくていいのに。」でも俺は住所不定だ。
もし警備兵に尋問されたら困るし、大人の知り合いがいるのは助かる。

あの日、ダニー達は南の火山地帯に向かっていたそうだ。Aクラスに認定されるにはAクラスの魔物かモンスターを倒す実力を示すのが必要だ。早朝から先を急ぐ途中事件に出会った。

「サラマンダーを5匹討伐して目玉と皮をはぎ取れば合格。俺たちのPTは火属性のヤツと相性がいいんだ。
けど、ゴードンとロキシーの首のおかげでAクラス認定されちまった。」
なんだかダニーは不満そうだ。

「サラマンダー討伐してくればいいじゃん。それで正真正銘Aクラスだ。」

「ああそうか、そうだな。今度行ってくるわー。お前に合鍵わたしとく。いつでも使えよ。」
「わかった、ダニーありがとう。」鍵を受け取って俺達は分かれた。

          ***

ダンジョンは快適だ。家政婦付きの家だぜ、富裕層気分だ。
コピーでなんでも増やして金には困らない。最高だ。

ログハウスを出て、芝生の上でクロとゴロゴロしていると

「マスター クロ強化 推奨。」また面倒くさいこと言ってきやがる。

マスター返納計画はまだ先だ。10年も先だ。

「肥満化 ・・・・いいのですカ?」
「肥満だとぉ?」

俺であるシェルの健康状態はかなり改善された。
やせ細った体も肉が付いてきて見やすくなっている。
だが前世の俺は百貫デブだった。10年ゴロゴロしたら二の舞だよな。

ズモモモモォォンと嫌悪感が湧く。

「うぅ、わかったよ。体を動かすついでにクロを鍛えるか。」

         ***

翌日重い腰を上げてクロと共に王都近辺の森に出陣。
角ウサギや大ネズミをコピーソーセージで誘き寄せ、<バインド>をかけクロに止めを刺させた。
クロはニュ~と体を伸ばして獲物を絞め殺すというエグイ技。
ロスにチェンジしてるので経験値はクロ100%。すぐにクロはLv.10になった。

獲物をギルドに持っていくとランクが G→F に上がり小銭も貰ったのでスィーツ店でチーズケーキや焼き菓子を1つずつ買って帰る。あとはコピーで食べ放題だ。

翌日は外は雨でダンジョンの空はグレー、気持ちも沈む。
再び芝生でクロとゴロゴロしていた。

「このダンジョンでモンスター討伐できると楽なんだけどな。」と、独り言。

「できまス。モンスター召喚可能。」

「え、早く言えよ!」 「────大白金貨2枚 敷地拡張 必要。」

「全然無理じゃん。」 「────マスターのスキル 宝の持ち腐レ。」

「何かコピーして売れば儲かるけど、商売人の邪魔はしたく無いんだよな。」
というか、商売なんてごめんだ。面倒くさい。

そうしていると「マスター 情報買取 OK?」 
「来た? もちOK OK。」

…なんと大金貨2枚 200万のお支払いだ。

「貢いでますネ・・・・」コアめ嫌な言い方だ。俺は協力してるだけなのだ。

城の見取り図、日中、夜間の警備体制 日替わりの警備体制、罠、隠し通路、第二王子派 第一王女派 第三勢力 地下の牢屋の収容状態 陛下の病状、他国スパイ クーデター 愛人情報などなど 金額に見合った情報が盛りだくさんでした。

1番欲しかった情報、渡り人の行方。6人保護されて少年4人が王都の貴族学園へ。
少女2人が地下牢に監禁。

俺はイブキに情報を伝えると情報を参考に夜の城に侵入開始。
警備の隙を縫って迷うことなく、地下牢の入り口に向かう。
牢番を眠らせて奥へと進むと少女が2人、牢の中で身を寄せ合って毛布に包まっていた。

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ユカ タナベ 農業師 女
職業レベル 1
属性 緑 土
特性スキル *発酵
シークレットスキル<xxx>
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トモ サキヤマ 化粧士
職業レベル 1
属性 土 水 コスメ
特性スキル *化粧固定
シークレットスキル<xxx>
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2人は非戦闘系なので切られたようだ。

〔こんばんは。大丈夫、助けに来たよ。〕日本語で話しかけると2人は目を見開いた。
〔オカダ イブキを知ってますか?〕2人は頷いた。
〔イブキが待ってるよ。会いたい?〕二人は鉄格子に駆け寄ると何度も頷いた。

2人の手を取ってログインするとイブキが待っていて

「ユカ! トモ!」

3人は抱き合って泣きだした。

イブキは長い黒髪が似合う日本美人。
ユカは茶髪ボブのしっかり者の女の子。
トモはポニーテールの似合う童顔のかわいい子。

〔白馬の王子様が本当に助けに来てくれたわ~〕
ユカとトモは冗談を言えるまで元気になったようだ。

3人娘は高校1年生・・・参ったな、俺JKに免疫無いんだよな。

  

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