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あまりにも広いピッチ、あまりにも大きい1点の差(JFL第20節・Honda FC対鈴鹿ポイントゲッターズ)

はじめに

今回、この記事を残すことにはすごくためらいがありました。それほどまでに私の中では大ショックで、今でも心中に処理し切れていない部分がございます。ですが、行った試合については記事を残したい。そういう想いで振り絞って書いていきます。文体も含めて、どうか、よろしくお願いします。

勝った、と思った

残り時間、およそ5分とアディショナルタイム。3-2。逆転の瞬間。本当に、本当にそう思った。思ってしまった。前半に思わず叫んでしまった、選手に届いたかどうかさえもわからない「3点取れ(そんなニュアンスの言葉)」。その願いが叶ったことに、震えてさえいた。なんて凄いチームなんだと、本当に思った。8連勝するんだと、明るい未来を勝手に描いていた。

だからこそ、その先の展開が信じられなかった。この試合に乾坤一擲の思いで賭けていたのであろう鈴鹿ポイントゲッターズのカウンター攻撃。この試合、幾度となく切り込まれていた徹底された攻撃。それがアディショナルタイムに2度も、Honda FCのゴールをえぐる。信じられなかった。まるで、3点取ること、前半の2点ビハインドをひっくり返すことに、すべてを使い果たしたかのようだった。僅かな残り時間、きっと選手は全力を尽くしたのだろう。だけど、それでも。Honda FCに4点目を取るだけの力はなかった。それが、現実だった。

Honda FCに対する勝利。それはJFLにおいては凄まじい価値を持つとされている。さもありなん。Honda FCはJFLを優勝すること9回。Jリーグを目指すチームと、幾年にも渡って渡り合い、時には圧倒的な成績を突き付けて優勝してきたチームだ。そんなチームに勝つことがいかなる意味を持つか。にわかファンだってわからないわけではない。

だからこそ、ゲーム終了後の鈴鹿ポイントゲッターズの喜びようは凄まじかった。客席とチームが、一体になっていた。Jリーグを相手に、ジャイアントキリングを決めたかのようでもあった。一方の私はといえば、茫然自失に近かった。勝てた試合を、あまりにもの展開でひっくり返された。そのショックが、終了後5分ほど、ずっと支配していたのだ。選手の礼に拍手を送ったことは覚えている。だがそれも、「逆転してくれたことへの感謝」でしかなかった。そんな気がした。足早に帰っていく人々の中、私はそれでも選手を見届けていた。しかしながら、私には悲しみに浸る余裕がなかった。なぜならこの後、あのピッチにもう一度立てるイベントがあるのだから。

あまりにも広いグラウンド

約2ヶ月前、7月22日。私は都田――Honda都田サッカー場のピッチに立った。今でも覚えている。ふかふかの天然芝の上を新品の靴で歩いたあの記憶。
その時に行われた星の鑑賞会が、またしても開催されたのだ。折角の機会なので、私はまたしても応募させていただき、無事に権利を得たのだった。

今回は望遠鏡越しに土星と、星雲を2つ拝ませて頂いた。いずれも綺麗だったし、星雲はあまりにもくっきりと見えて凄まじかった。準備の最中には、ピッチでボールも蹴らせて頂いた。ありがたかった。しかし、私の胸に去来した感情の中で、最大のものはこれだった。

ピッチが広い。

そう。スタンドから遠目で見るよりも、現実で見るピッチはあまりにも広かった。遠かった。ペナルティエリアでさえ、ゴールを近くに感じられない。私の貧弱な体力では、短辺、おおよそ68mですら往復で息が上がってしまうだろう。そんな場所で選手は真剣に戦っているのに、私はなにをのたまっているのか。そんな気分にさらされたのだ。

確かに応援は、選手に力を与えるものである。「次からまた勝ちましょう」。そう選手や監督に伝えるのは、彼らに次への活力を与えるのかもしれない。だが、敵も味方も真剣に勝負を行う中で、無責任にそれを告げても良いのなのか。一抹の不安が、私には残ってしまった。話をしたスタッフの方は、笑顔でそれでも構わない風のことを言ってくださった。しかしながら、自分の中には少しだけわだかまりが残るのだった。(それでも偶然出会った監督殿にのたまってしまったのは別のお話)

そんな私が、帰り道にぶちまけた感情は、一つ。

鈴鹿ポイントゲッターズ、来年は覚えてろ!

改めてHonda FC、及びスタッフの皆様方。貴重な機会をありがとうございました。来週からの復調を、1ファンながら祈念しております。


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