見出し画像

127万ぼったりされた話 ~Part4 血の会計篇~

※前回までにつきましては、Part1~3をご参照ください。

最初にお伝えさせていただくと、私は店に入る前に、「このぼったくりバーは歌舞伎町にある」とは思っていなかった。
というのも、女から、「新宿と新大久保の間にあるところ」と聞かされており、安心してしまったのだ。まさか私が、「歌舞伎町で飲んでいる」とは、夢にも思っていなかったのである。
「歌舞伎町で飲んでいた」と気づいたのは、会計を全部済ませてからである。

【店内でのやり取り】

店員A「お待たせいたしました。こちらがお会計金額になります。」

パサッ。伝票が机に置かれる。

金額「¥458,000」

伝票の金額を、つと見る私。

私「4万5800円かぁ。。。けっこういったなー」
 「すみません、クレジットカード使えますか?」

店員A「すみません。。。今、クレジットカード読みとる機会が壊れてまして、現在ご利用いただけません。申し訳ございません。」

私「あー、そうなんだぁ」
 「うーん・・・ちょっとコンビニ行って卸してきます。ここらへんに、A店(某全国チェーンコンビニ)ありますか?」

店員A「あ、近くにありますよ。」

私「本当ですか?よかったー。すみません、手持ちがないので、ちょっと、卸してきますね。」

店員A「じゃあ、ちょっとついて行きますね?」

私「あ、はい。」
(付いてくるの???)

ここで、疑問に持たれる方もいるだろう。

まず、「なんで素直に会計に応じたの?」という点である。
私は普通の会社員である。役職もない。もっと言うなら、低所得者に属するしがないサラリーマンだ。
そんなサラリーマンが、10万単位の請求額を常日頃見る機会はあるだろうか?
少なくとも、私はそんな10万単位の請求額を、見る機会は年に2回あるかないかぐらいである。
0を1個見落とし、1~5万単位の会計だと認識しても、なんら不思議ではない。
そもそも、「40万円の飲みって何よ?」というお話である。
「40万あれば、千ベロ何回行けるのよ?」「30人以上が参加するパーティーですか?」という規模である。
ぼったくりバーも、また狡賢い。¥458,000に8という端数をつけることで、普通の金銭感覚を持っている人を、「800円なんだ」と思いこませる手法を利用している。
ゆえに、誤認という形で私は素直に支払いに応じてしまったのである。


次に、「なぜクレジットカードを利用できないことを怪しまなかったのか?」という点だ。普通の間隔なら、4万(認識時)は、けっこう大きな額であり、ポイっと出せるほど、持ちあわている人の方が、少ないはずだ。
それに関しては、現在進行形で通院している整体が関係してくる。
実は、整体(ここはもちろん悪徳ではない)でも、同じようにクレジットカードを読みとる機械が故障しており、本件同様、使用できなった経験があるからである。

そして、次に、「なぜ、店員を連れてコンビニに行ってしまったのか?
店員がついてくることに応じてしまったのか?」と不思議に思うだろう。
現に最初、私も「なぜ店員Aが付いてくるの???」と、そう思った。
しかしその考えは瞬時になくなり、、「店員がついてきた方が、お釣りなくピッタシ会計できるな」という考えにとって代わってしまったのである。
ご存じの通り、請求額は¥458,000だ。これもまた、4万5800円と誤認してしまったことと関係してくる。コンビニに行く以上、4万5800円とピッタシ卸した方が、お釣りが出ずに楽だなという思いがあったからである。
(今思えば、ATMで100円単位で卸すことはできないはずだが、この時の私は気づいていなかった)
また、その時酔っていたこともあり、私の頭の中には、「4万????」と端数をそもそも覚えていなかったので、「店員に聞けば都合が良い」とも判断したのである。

【A店でのやり取り】

A店にたどり着いた、私。当然、傍らには悪魔2匹(店員Aと女)を従えていることを、まだ、この時の私は気づいていない。

ウィーン
コンビニの自動扉が開かれる。

ATMに駆け込む私。
キャッシュカードを入れ、「引き落とし」のアイコンをタップし、暗証番号を入れる私。傍らには店員A。
私「いくらでしたっけ?」
店員A「えーと、45万8千円ですね。」

刹那、暫くの沈黙が訪れた。

私「・・・え? は・・・? え・・・???」
店員A「いや、だから、45万8千円ですって。」

頭の理解が追いつかない私。
とりあえず、そんな大金はこのA店銀行には存在しないことが明白だったので、店外に出て店員Aに話を聞くことにした。

店員A「クライヤー1杯、2600円ですよ、ほら」
と持参していたメニュー表を見せる。

私「は・・・? いや・・・? そもそもクライヤー別料金なんて聞いてないですよ。2時間飲み放題に入っていると思っていましたよ?」

店員「アルコールの中には、別料金もあるとお伝えましたが?」

当然、そんな話は初耳だ。
俄然、抵抗する私。
私「いや、聞いてないですよ!!!」

すかさず、
店員A「いえ、伝えました。確かに、クライヤーを多く頼んでいたときに、私も止めるべきだったかと思います。すみませんでした。」

私「今、そんなこと言っても、もう遅いですよ?とにかく、クライヤーは別料金なんて聞いてません。」

店員A「でも、クライヤーたくさん飲まれましたよね?」

私「・・・・」

なんとも、人の良心を弄ぶ発言である。

一方、女は、馬鹿の一つ覚えで、「えー、どうしよう・・・?」と連呼していた。

私(え・・・?これ出すしかないの?出すしかないのか・・・)
私の頭の中では、「会計を早く済まし、この場を穏便にやり過ごす」という考えになった。
意を決した私は、とりあえず458,000円の会計を早く何とかしたい一心で、お金を引き下ろすことを決意してしまったのであった。

なぜ、その場から逃げ出さなかったのか?
それは、
「女(その時はグルとはまだ思っていない)を置いて勝手に逃げ出すことはできない」という、この場においては全く必要のない男気が働いてしまったからである。
加えて、そもそもこの店員Aを足で撒くことができないと踏んだからだ。私はそんなに足が速くない。せいぜい50m走を7秒台で走るのが限度である。しかし、こいつ(店員A)は、私より足の速そうな雰囲気があった。仮に、捕まった場合、どんな仕打ちを受けるかわからない恐怖心に駆られ、その場を離れることができなかったのである。

458,000円の会計を早く済ませたい私。だが、A店銀行には、10万以下の金額しか持ち合わせていない。4万8千の会計だと誤認していたからこそ、A店銀行で間に合うと踏んでいたからである。
そこで私は、

「すみません、B店(某全国チェーンコンビニ)は近くにありますか?ちょっとA店銀行には、お金があまり入っていないものでして・・・」と店員Aに聞いてみた。

店員A「あー。そこなら、斜向かいにありますよ。」

私「あ、ほんとだー。」

という会話をし、B店に赴き458,000円を卸すことに決めたのであった。

【B店でのやり取り】

道路を渡り、B店にたどり着く奴隷(私)。
B店ATMに駆け込み、例の如く、「引き落とし」アイコンをタッチし、暗証番号を打ち込む。

「引き落とし 458,000円」
確認ボタンを押す手が震えていた。

45,8000円の札束がATMから出てくる。
「こんな札束、久しぶりに見たなぁ」と驚くと同時に、「この札束を今から店員Aに渡さなければならないのか・・・」という絶望感に襲われる。

私「はい、約束の金額」
と店員Aに、もうほぼほぼ半べそをかきながら、458,000円の札束を渡す。
店員Aが、丁寧に1枚ずつ確認をとり、「OKですね。はい、ありがとうございました。」と承諾を受ける。

私は、その瞬間とても、安堵した。
「45,8000円から解放された!!!」
その一言に尽きた。

だが、そんな解放感もつかの間の休息に過ぎなかった。
新たな刺客が私に迫っていたのである。

再びぼったくりバーのあったビルから、店員Aと背丈格好が同じな男が出てきた。
男「すみません、お客様ー!」
私「え・・・俺・・・???」

その男は、ぼったくりバー集団の一員であった。以後、この男を店員Bと呼称させていただく。

店員B「すみません、お客様。改めて伝票を確認したところ、会計が間違えておりました。」

私(ですよねー。おかしいと思っていたんですよ)

店員B「お客様、クライヤー150杯飲まれてますよね。」

私「は・・・???110杯のはずですけど?」

店員B「いえ、こちらで改めて伝票をまとめましたところ、お客様は150杯飲まれております。それと、店員Aがあなたについて行かなくてはならなくなったので、次の予約のお客様をキャンセルせざるを得なくなりました。店が開けなくなったんですよ。なので、クライヤー40杯分と、店が開けなくなった補償費と合わせて、157,000円いただきます。」

その瞬間、私は雷に打たれたかのような衝撃を受けた。いや、実際に打たれた方がまだマシだったかもしれない。

私「そもそもクライヤー110杯しか注文していないので、納得できません。伝票どうなってるんですか、見せてくださいよ?」

店員B「いいですよ。」
店員Aは、伝票を手に説明をし始めた。
酔っており、あまり深くは覚えていないが、スタッフサービス料、おもてなし料、云々のおよそ聞いたこともない、おそらく今後も聞くこともないであろう料金の内訳が、そこにはあった。

店員Bに内訳について説き伏せられ続ける私。
ぼったくりバーの策略だが、事前に458,000円を支払わせることによって、金銭感覚をおかしくさせ、157,000円を払いやすく感じさせる手口があった。
そして、その時の私は、「もう、会計を済ませない限り、帰らせてくれないだろう。」
そんな思いに駆られていた・・・

私「しかたねえな。払うよ。払えばいいんだろ?」
店員B「なんです?その言い方?もとはと言えば、そこまで飲み食いしたあなたが悪いんですよ?」
今思い出すと、「他人から暴利をむさぼっておいて、なんだその言いぐさは!」と腹が立つ。

ふたたび、B店でお金を卸すことになった私。
だが、既に458,000円を卸していたため、157,000円を引き卸すと、1日の引き落とし額を超えてしまい、卸せなくなっていることが判明する。

私「あー。もう、引き卸せないっすね。」
店員B「アコムやレイクのATMが近くにあるんで、行きましょうか。」
私(それって、消費者金融じゃ・・・???)

さすがに、借金を背負いたくない私.。
私「○○銀行のキャッシュカードならあるんで、どっかATMありますか?」と聞いた。

店員B「ありますよ。C店(某全国チェーンコンビニ)が、近くにあります。

こうして、157,000円を支払うために、C店に渋々行く羽目になったのであった。

【C店でのやり取り】

渋々C店にたどり着く私。そして、例の如く、クレジットカード挿入からの、引き落としコンボをさく裂させる。もはや、手慣れたものである。
「挿入するのは、マ〇コだけにさせてくれ」、と願わずにはいられない。
さきほど、458,000円を引き出しているため、もはや金銭感覚がバグっており、157,000円を引き卸すことに、なんら躊躇いも生じなかった。

ガバーと、音が鳴り、
現金157,000円がATMのくぼみから出てくる。
私は、それらをひとつ掴みし、店員Bに「ほらよ」と手渡す。

その瞬間、私は、「ようやく解放されるー!」と非常に安堵したことを、今でも覚えている。
「地獄からようやく抜け出せた。」
と思っていた。

しかし、やつら(ぼったくり集団)は、ある一言で、私をまた地獄に突き落とした。

店員A「さっき、21時からの予約していたお客さんで使用するはずだった、シャンパン15万円、4本分を補償費として請求いたします。」

私「・・・・・・・・!!!!!??????」

なに言ってるんだ、こいつ・・・?
ここで、ONEPIECEの元白ひげ海賊団2番隊隊長、火拳のエースの名セリフを引用させていただく。

実際に、時代の敗北者になったのは私である。

店員Aのあまりの衝撃的な発言に、意識が遠のく私。
さしづめ、赤犬(店員A)の鉄血パンチを食らい、息絶えたエース(既に支払った現金)を見て、悲しみのあまり、気が触れたルフィ(私)のような構図だ。

しかし、一度冷静になって考えてみたところ、やっぱりおかしい。
15万×4本シャンパンは明らかにおかしいだろうと。
「HUNTER×HUNTER」に匹敵するレベルで、「15,7000×4本シャンパン」はパワーワード過ぎるだろう、と。
そこで、わたしはさすがに抵抗した。

私「いや、知らないっすよ。さすがに。勝手に店閉めたあんたらが悪いんだろうが。」

店員A「そんなの困ります。あなたのせいで店を閉めなきゃいけなかったんですよ?」

私「いや、知らねーわ。」

私が駄々をこねているのを見かねた店員Bが、こう切り返してきた。
店員B「どうしても納得いただけないようでしたら、店の担当の弁護士を通じてお話しましょうか?その場合、あなたも弁護士会を通じて、だれか弁護士を立てる必要があります。」

私は、その言葉を聞いてたじろいでしまった。
「弁護士?弁護士を立てる?」となると、少し話が大きすぎる気がしたからだ。
だいいち、私は大学で法律を学んでいない。なんとも、「弁護士を立てるってどうすんだ?」とまた気が遠くなるような、骨が折れそうな話題になってしまった。
まあ、これもぼったくりバーのよくやる常套手段だということを後々知ることになるのだが・・・さすがに、それは事が大きすぎると判断した私。

女は相変わらず、馬鹿の一つ覚えで、「えー、どうしよう・・・!?」だ。
さすがの私も、「財布ぐらいバックから取り出せや!!!」とキレそうになった。
そして、「もうこの女とこんな経験をしたんだから、会うこともあるまい」と思い直し、逃げようと決意した。
が、どう見たって、店員A・Bの方が足が速そうだ。地の利もある。それに、私のちょうど前に来るように店員A・Bが、逃走経路の前に立ちはだかり続けるため、無理だと判断した。

もはや、私でさえ、「どうしよう・・・?」である。
そう思っていた矢先、女が服の袖を引っ張り、店員A・Bに聞こえないような小声で話しかけてきた。
女「ちょっと、店に戻って同僚からお金借りてくるね。」
考えあぐんでいた私は、すぐにOKを出した。
なにか状況が変わるかもしれない、と踏んだからである。

女が去った後、私は急に独りぼっちになって心細くなってしまった。
「警察呼べばよかったじゃん」という読者の方もいるだろう。もちろん、私もそうしようとした。しかし、ポケットにあるケータイを取り出そうとするたびに、店員A・Bに「スマホは出すなよ?」「警察呼んだところで一緒だからな」と脅されてしまい、弱者男性である私は尻込みしてしまった。
警察を呼ばなかったことが、私の最大のミスと言えよう。

膠着状態が続き、ついに観念した私は、「わかったよ、出しゃいいんだろ?もう、次はないよな?またあとから請求増やしたりしねえよな?」
と言い残し、またC店の中に消えていった。
もう、半ばやけくそである。パチンコでいう、逆確変みたいなものだ。
この場合において不必要なドーパミンが、体中に駆け巡っていた。

そこからは、もう読者の予想通りである。文字数が多くて読むのが大変だと思うので、割愛させていただく。

無事?60万円を引き卸し、店員A・Bに「もうねえよな?ふざけんじゃねえぞ?」と確認しながら渡す私。なんとも情けない。

そして、たいして深い考えもないが、このまま、すぅーっと店員A・Bが消えるのも癪に思った私は、領収書を請求するのであった。

「領収書、もってこい!!!あて名はT(苗字)だ!!!」

〈127万ぼったりされた話 ~Part4.5 放心篇~につづく)
※ノンフィクションです

【お詫び】
あまりにも、文章量が多いため、読者の中にも辟易してしまった方もいるでろう。申し訳ございません。
次回は、当初予定した内容を分割し、
〈127万ぼったりされた話 ~Part4.5 放心篇~〉
と題して、お送りさせていただきます。
拙筆ながら、お読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします!!!

















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?