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『ドーン』 平野 啓一郎 著

近未来の物語で火星に行った宇宙飛行士たちは何かを隠している。
それは政治、戦争、格差、人格が複雑に絡み合う小説。

この小説を読んで衝撃なのは「分人」というもの。
これは一人の中にある自然と使い分けている人格の事。

親といれば親に合う自分になり、会社に行けば会社に合う自分になる。友達に合う自分になるし、細かく言うと中学、高校、社会人と友達の中でも微妙に違う自分になる。

これは演じているのでもなく、自然となる。
そこに教えたくない過去などが絡んできて過去を知らない友達や
同僚には故意に隠したりして本当の自分を全部さらけ出すことはかなり特定の人だけになると思う。

さらに自分の中でも理想の自分と本当の自分のギャップを無くそうとした行動なども混ざる。

小説の中では一つにすることは精神的に良くない影響が出るとされている。
確かに、一つにするより広げている方が人としての幅みたいなのは感じる。

それでも、特定の誰かにはより多くの自分の中の分人を見せていきたいと思うし。
他の人に対しても自分の分人を広げながらも、うまく統合して矛盾のない自分でいたいと思う。


小説自体は政治や格差などより深い現代の社会問題などを軸に進んでいくのでコレも読み応えある本当に考えさせられる内容でよい本でした。

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