見出し画像

ウマ娘新規からマニアックになりたい人向け、第26回秋華賞に向けての解説~前哨戦は不要!?厩舎経営の鍵でもある外厩ってなんだ?~

(今回は血統の話がゼロなのでタイトルが少し変わっています)

春のG1の頃は色々思う所もありウマ娘のゲームには触らずにいたのですが、
少し触るようになると、こんな違いがあるんだなと気付かされます。

特に思うのが、昔の馬なのに最近の馬みたいなレース間隔してる!!という事。

■馬の仕上げ今昔

昔の馬はレースを使いながら仕上げていくのが基本で、美浦や栗東のトレーニングセンターの施設も今ほど充実していないですから、G1級の馬でさえ地方競馬所属馬の用に毎月のようにレースに使う事も不思議ではありません。
まあもちろん血統の一流亜流はあるんですが、80年代の馬…例えばダイタクヘリオスの戦績なんて見たら慄くと思います(同時期の良血ダイイチルビーでさえ充分多い)。

90年代後半でもわかりやすい所ではマチカネフクキタルなんかは例えば11月頭だった菊花賞のステップレースとして
神戸新聞杯(9月)→京都新聞杯(当時10月)→菊花賞
と重賞を2戦もしてから臨んでいます。
今なら神戸新聞杯(9月)→菊花賞(10月)ですが、
この間隔さえ嫌い神戸新聞杯より1週早い関東のセントライト記念へ関西馬が輸送して使う事もあれば、賞金が足りている上位馬は菊花賞に直行してしまうケースが非常に増えました。

それでも90年代の良血はG2を一つ叩いたら後はG1連戦という形ではありました。ただここ10年ぐらいでG1直行が増えてきた上に3~5年で見ればかなりですが、最近はG1の連戦さえも絞られる形に。
秋古馬3冠と言われる天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念でさえ、直行で使われながらそのうちの2戦しか使わないというケースがあります。

例えばクロノジェネシスやアーモンドアイなんかもそうでした。ちなみにこの2頭は戦績のほとんどがG1です。

なぜそうなったかというと理由はいくつかははっきりしていると思っていて、一つは馬場のクッション性が上がってパワーがあればスピードに乗りやすく落ちづらいようになった事で早めの仕掛けから長くいい脚を求められるようになったこと。かつ、そういうレースに強い馬としての調教・調整方法になっていったこと。
それにより脚の故障は減りましたが、全体のタイムは大幅に速くなった事で心肺機能への負担は増えて疲れが残りやすくなってしまったため、レース間隔を拡げざるを得なくなっているという感じ。

そしてもう1点は外厩場がパワーアップした事により、レース間隔が開いても厩舎の馬房数を圧迫しなくなった事もあります。

……外厩とは???

ってなりますよね。今回の秋華賞でもこの外厩は非常に重要な役割を果たしているので説明していきます。

■厩舎運営も調教師の大事なビジネス

まず内厩というのは関東は茨城県の美浦トレーニングセンター、関西は滋賀県の栗東トレーニングセンターというJRAが用意している施設
レースに出るには10日前までにこちらに居なくてはなりません(10日ルール)。

1人の調教師に対して用意されている馬房数は20前後で、東西それぞれで成績を偏差値化した上で割当数が増減します(有力調教師だと26~30)。
そして厩舎所属の登録が可能なのはその2.5倍。20頭だと50頭まで、28頭だと70頭になります。

所属可能数を超える馬はどうしているかというと、デビュー前なら牧場や育成場、そして先程から出ている外厩場に移動させ、うまくローテーションしながら効率よくレースに使っていきます。

という事は厩舎にいる期間に対してレース数が多い方が厩舎経営として正解です。調教師はG1を目指すだけじゃなくまずビジネスとして成立させなければいけませんからね。勝てなく人気も無くなった調教師は経営破綻して引退になったケースだってあります。

なので例えば放牧したとして、そこで休んで緩んだ身体をレースに使えるまでイチから厩舎で調整していくというのは馬房を圧迫してしまいます
そこでトラックコースや坂路コースなどの施設のある外厩場である程度仕上げてから内厩に移動すれば効率よく馬房を回していけます
ウマ娘で言えば夏合宿辺りがイメージしやすい所ですが、夏に限らず利用されています。

ちなみに外厩場から直接レースに出せない決まりになっているのは公正競馬のためであって、情報の偏りや病気の管理が主催者側でできなくなる事を防ぐ必要があります。
一応公営競馬では部分的に私営の外厩場を認めている所もあり(認定厩舎制度)、以前自前の調教施設を使用して仕上げるために敢えてその公営競馬に所属して中央競馬のG1を目指す馬がいました。
コスモバルクという馬です。
ホッカイドウ競馬に所属しビッグレッドファームで調整され中央競馬のレースに多数出走し皐月賞2着など重賞3勝の活躍、海外遠征もしてシンガポールのG1も勝つなどの活躍をしました。

以前名前にコスモ~やマイネル~マイネ~の付く馬を生産しているいわゆるラフィアンの岡田一族の馬は2歳戦の成績が良く、育成場での調教に力を入れてからの入厩が要因と言われたりもしていました(今回秋華賞に出走するユーバーレーベンもここの馬)。

他でも古くはシンボリルドルフなども千葉の育成場での調整に力を入れられてもいたり、今とは施設の充実度に差はあれど意外と歴史は古いです。

そう外厩場は以前から存在していますが基本的には施設はトレセンほど充実していませんでした。
充分なスピードをもって走るコースを作るにはやはり広大な土地と膨大な管理費が必要なので、休ませつつある程度運動ができる程度の施設である事がほとんどです。なのでやはりある程度早い段階で厩舎に戻し長く調整する必要がありました。

■施設はトレセン以上!ノーザンファーム天栄・しがらきの活躍

となれば自前で用意して充実させるのが大事で、それを図るのは当然岡田一族だけなわけがありません。
やはりそこへ大きく投資したのは社台・ノーザングループの吉田一族。美浦や栗東のトレセン近くに充実した施設を用意しています。
山元トレーニングセンターは吉田照哉氏の社台ファーム傘下であり、2000年代辺りからこちらで調整していた活躍馬が多くいました。
吉田勝己氏のノーザンファームも東西トレセンにさらに近い外厩場を買収して施設をさらに拡大。ノーザンファーム天栄・ノーザンファームしがらきはそれぞれ美浦や栗東を超える傾斜の坂路コースがあったり、人間のアスリートが使うような最新の医療機器も充実しているなどもはや第二のトレセンとして大活躍

それによりギリギリまで外厩で調整してレースに使うことが可能に。
トレセンほどピリついた空気ではありませんから馬へのリラックス効果もありますし、何より調教師の厩舎運営の事情の影響を受けずに済むため、G1級に限らずどのクラスの馬もポテンシャルを最大限発揮させる事が可能になります
それでいてやはりトレセンにいる期間は質の高い調整が必要なわけですから、腕のある調教師の所へ委託できる数も増やせます。

また坂路設備の凄さは栗東に比べ坂路の傾斜が少ない美浦所属の馬に大きく作用していて、ノーザンファーム天栄を使う美浦所属の馬はかなり有利になっています

そしてこの素晴らしい施設を使えるのはノーザンファーム生産馬や、他の生産でもノーザングループ所有馬、及びノーザンファームと関係値の高い馬主の所有馬に限られます。

つまり個人馬主でもノーザンファーム生産馬を買えればこの施設が使える馬を持てるわけで、ノーザンファームが主宰するセレクトセールで何頭も億単位で馬が買われ他のセリ市よりもプレミア価格がつきます。

なおセレクトセールが同じ血統だとしてもより高額になるのはそれだけではなく、有力調教師と知り合える機会になったり有力馬主と関係値を作るきっかけにもなったりと、このセールで高額で買う事は馬主としての名声を買っている部分もあります。新興馬主がここでお金を使いまくるのは先行投資的であり、近年の会社経営スタイルに近いですね。この要素に気づかず、またはすっ飛ばして高すぎだと騒ぐ層は非常に広くいるので注意。
オーナーブリーダーとしての要素が強いゲームであるウイニングポストは名声が高くないと有力調教師と友好度が上がらなかったり、そもそも友好度が無ければ預ける事もできません。現実に即していてよく出来ています。

この好循環によって世界でも通用する馬をバンバン生産していけるようになったのがノーザンファームですから、ノーザンの運動会と揶揄されたりしていますが私としてはやれることをやっているから勝てているのであって、これに追いつこうとすることが競馬界の発展だと思っています。世界は資本主義社会ですしね。

このノーザンの外厩馬の圧倒的な活躍によって外厩場を充実させるグループも増えていますし、
そもそも広く使える外厩場として運営している所は広く馬を集めるため施設を充実させる投資をしていて、
トレセンの近くに新しく作られたりもしています。
昨年秋に開場したチャンピオンヒルズはかなり施設が充実していますね。

■秋華賞出走馬の最近の外厩情報

今回秋華賞では9月までに外厩場にいた馬では下記情報があります。

スルーセブンシーズ:10/1までノーザンファーム天栄
ステラリア:9/1まで社台ファーム
ユーバーレーベン:9/15までビッグレッドファーム明和
アカイトリノムスメ:9/10までノーザンファーム天栄
ファインルージュ:9/30までノーザンファーム天栄
アナザーリリック:9/23までノーザンファーム天栄
ミスフィガロ:9/28までノーザンファームしがらき

オークスからの直行組であるユーバーレーベンやアカイトリノムスメは外厩で長らく調整されています。また美浦所属のノーザンファーム生産馬は短期で天栄に行っていて、紫苑S組はこぞって出ていますね。

ソダシはノーザンファーム生産馬でこちらの施設を利用していますが、早めに須貝調教師の管理化に移動して調整されています。

ノーザンファームは調教や育成で独自のノウハウを持っていて、
それに賛同している調教師もいればしきっていない調教師もいますしそこで少しずつ差があります。

他の外厩場ではこちらでは調教師の方の以降を最大限活かします!!というのを売りにしている所もあるぐらい。

馬券検討の際でも注目する必要が出てきた要素、ぶっつけ本番の馬達にはぜひこれらの要素にも注目してみてください。

■さらに詳しい予想内容は…

今回のnote記事は血統に触れていませんが、普段は血統を軸にして全レース対象に予想していくfanbox記事を掲載していて月額510円から読み放題になっています。開催日それぞれと平日の回顧や分析記事など。

また競馬開催日は朝の1Rから夕方の最終R以降まで、血統予想Vtuberとして競馬同時視聴配信をしています。https://www.youtube.com/channel/UCyZ07A0zkOAlTUODOvR0iTA

凱旋門賞ではブービー人気トルカータータッソを配信内で血統解説をしながら高評価!本命のハリケーンレーンと併せて3連複万馬券をガッチリ的中しました。

ヴァーチャル競馬サロンと称していますが、競馬初心者でこれから勉強したい方から長年の歴がありまた私とは違う予想ファクターを持った方まで視聴者層は幅広くいらっしゃいます。
1聴けば10返ってくる配信にもなっているかと思うので、ご興味があればぜひご遠慮なくご視聴・コメントなどして頂けたら幸いです!

また今後このnoteのような解説をまとめた電子書籍を制作予定ですので、noteやtwitter競馬V垢のフォロー、いいねやサポート、そしてYoutubeのチャンネル登録等を頂けたら幸いです🏇😊😊😊

予想が参考になったり大勝ちしたりなどなどからの投げ銭いつでもお待ちしております!場立ち予想のweb版みたいで面白いですね!ご購入分と共にデータ解析など更に深みを出したり更なる面白い事に向けて使っていきます。