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ウマ娘新規からマニアックになりたい人向け、第82回優駿牝馬(オークス)の血統予想と解説~内ラチ(柵)は移動している~

※ご注意
本記事はウマ娘に触れた人が実際の競馬に触れようとした時に、私の得意とする血統予想からの観点を提供するという目的で書いています。
極力簡単になるように書いていますが、理解しづらい可能性もあります。
G1は今後すべて書いて行こうと思うので、段々と理解していったら予想が楽しくなるかも…という事でご容赦ください。
なお普段はfanboxにマニア向け予想記事を掲載しています(全レース対象)。

■おわかり頂けるだろうか…この内ラチ…

皆さんまず先にこちらをご覧ください

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同じ東京競馬場の直線部分ですが、AコースとDコースとあります。
(ちなみに詳しい人だと、これ10年以上前の写真だって気づけます※後に解説)
隣のダートコースから芝コースの最内までの距離が違っていますね。
実は芝のレースの内側の柵は時期によって移動しています。
それは何故か。早い話が芝の保護のためと、有利不利の緩和です。

上記のDコースのものは"仮柵"または"移動柵"と言われ、仮柵を移動することでレースに使われて傷んだ芝を保護することが目的。
ゲーム等では再現される事が知っている限り全く無いので実在を見ていないと知る由もないものかと思います。
なお柵の事をラチ(埒)と言うのですが、仮ラチとは言わないんですよね…。
ちなみに"埒が明かない"の語源は競馬場の柵の事を指します。

馬の走る時の蹴りは500kgf~1トンとも言われ、それがあのサイズの蹄で芝を踏み込み蹴り上げます。
特にコーナリングは遠心力も加わりますし、荒れてなければ極力インを回る馬が多いわけですから、
コーナーの芝の痛み方は直線より強くなりやすい。
(レースが終わる毎に係員が人海戦術でめくれた芝を戻して叩いて修復したり、開催の間では砂を入れて芝の生育を促したりしています。)

内と外でで馬場状態に差が出るとゲートの位置によってスタートダッシュの差も生まれますし、例えば荒れ馬場を得意とする馬は内を通れば距離ロスもしないで済みますが、そうでない馬は状態のいい外を通るしかなかったりしますし、内と外の差がより激しいレースになります。
(しかも走ってみたら意外と内が悪くなかった、みたいなパターンもあります。)
すると走る距離が変わってきてしまいますし、全馬外を回ったとしても設定された距離より多く走らされます。
となると競馬本来の"能力の高い繁殖馬を見つけるための競走"としての質が下がってしまいます。

とはいえ雨が降って急速に馬場が荒れたりした時では対応できません。
また馬場下には水捌けのための暗渠管という排水設備があるんですが、
その性質上馬場の内側の方が排水性能が悪いので雨が降ると内を開けて走られがちです。
ゴールドシップが内側をワープしたと言われる皐月賞や、キタサンブラックの天皇賞(秋)などはわかりやすくその例です。この2頭は道悪のレースに使う前から血統面で道悪がとてもが得意と言える馬たちでした。
こういう一時的なものは仕方がないですが、良馬場でまでそんな状態でいる必要はありません。

競馬場は通常、4週~8週、長くてこの時期に10週連続して同じ競馬場が使われる編成が組まれています。
(競馬場の改修による代替開催の際はさらに長く続くことがあります)
例えば今の東京開催でいうと、
開幕週から3週がAコースで内ラチそのまま。
その次の2週がBコースで内から3メートルに仮柵を。
その次の3週がCコースで内から6メートル、
最後2週がDコースで内から9メートル。
という10週です。

コーナーが外側になっていくためコース1周の距離は伸びていきますが、
設定距離通りになるようにその分スタートゲートの位置も調整されます。
(これらの設定は開催毎にJRA馬場情報(馬場概要)や、レース番組表で事前に公表されています)

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これは今年の4/25、春の東京開幕週のフローラS。Aコースです。4コーナーの内ラチのすぐ横に黒い線が見えますね。

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こちらは昨年の6/27、春の東京最終週の八ヶ岳特別(何故このレースかというと188倍の馬を本命に推奨して1500倍等を当てたので笑)
Dコースなので4コーナーの内ラチの内側は芝が続いて空いてますし、残り距離のハロン棒も移動されてます。

東京競馬場はコースが広いのでDコースまで取れますが、
他の競馬場ではB、Cコースまでだったり、
仮柵移動後はフルゲートの頭数が減らされたりなどの調整も入ります。

なおコーナーの方が内を通る馬が多いので荒れやすく、直線では馬群がバラけるため改修後の東京競馬場の仮柵はコーナーから斜めにだんだん内に近づいていくように置かれます(冒頭の詳しい人ならわかる話はコレ)。↓

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残り400地点とゴール前ではダートの外ラチまでと明らかな距離の差が。

更に以前は開催途中に仮柵が外され保護されている間に育った内側を使ったりしましたが、その部分は『グリーンベルト』と言われ内側有利傾向がさらに強くなるため、近年JRAでは常に内から外へなっていくようになりました(海外では未だにやる)。

■仮柵移動はちょっとした味変換

仮柵が移動されるタイミングは大抵は馬場の傷んだ部分がカバーされていくので全体時計が早くなりがち。
またコーナーが緩くなる分最内を通ってもやや遠心力がかかりづらくスピードを保てるのもありますし、馬場状態によっては内枠の有利度が上がったりもします。
なのでスピードの持続力が仮柵移動前よりやや求められるのが特徴。

私は血統で予想をする人なのでその違いを血統で考えます。
血統予想は馬場状態の影響を受けるので馬場を読む事が大事になる、というのはこれまでのnoteでも語ってきました。
つまりこの仮柵移動は血統予想に大いに影響を与えていて、それが非常にわかりやすく差が出るのが今週来週で開催される、オークスとダービーなんです。

オークスこと優駿牝馬と、日本ダービーこと東京優駿はともに3歳限定の東京競馬場芝2400m。オークスは牝馬限定、ダービーは牡牝限定(セン馬不可)で、1週違いで必ず組まれています。

そして2009年以降オークスの日はBコースなんですが、翌週のダービーはCコースで設定されています(03年~08年はともにCコース、02年以前はともにBコース)。
そのため昔はオークスで好走した血統と似た馬がダービーでも走るという事がありました(例:父サンデーサイレンス×母父クリスのチューニーがオークスで13番人気2着→同じ父と母父のネオユニヴァースがダービーを制覇等)。

しかし09年以降、オークスの日は欧州の中でもパワーとスピードを併せ持ったタイプの血統を持つ馬が比較的強く、ダービーの日は前週より米国系(南北大陸問わず)のスピードの持続力を母方に持った血統が強くなりがち(共に良馬場の場合)。

特に馬場造りが更に変わったここ5年ぐらいのダービーは、母方米国系か南米系で父は母方の特徴を活かすタイプの種牡馬という血統が毎年のように1着か2着、あるいはどちらもという年もあります。

逆にオークスは2020年1・2着はロベルト系で欧州傾向が強く、3着はサンデーサイレンス系の中でも異質で欧州馬場に強いステイゴールドの産駒。
2017年は1~3着全て父母ともに欧州系という極端な傾向が出ていました。

近年最も馬場の軽かった2018年はオークスでも米国血統と欧州血統が半々やや米国寄りという傾向が出ましたが、その年のダービーの勝ち馬は母方の米国色が特に強く、かつ父は母方を活かすタイプの種牡馬という血統で5,4,16番人気という波乱、人気をしていた欧州スピードタイプの血統は軒並み敗れ去りました。

今年は5月に梅雨を思わせる雨が続いていて根っこが湿ったままレースをしている日が多く、例年よりもパワーが求められているので前述の特徴よりさらに欧州型に寄る可能性がありますが、それでもこの仮柵移動分の差自体は出ます(週間天気予報でダービー周辺は既に雨予報ですが…)

確かにオークスとダービーで牝馬限定戦と牡馬達のレースで違いがあるじゃないかと言われればそうでもあるんですが、同じ日の別な芝のレースでもこの傾向が出てくるので例として取り上げました。

■馬の特徴を探る方法は人それぞれ

これはあくまで血統で適性を探って予想している方法ではありますが、他にも調教で予想する人、パドックで馬体を見て予想をする人、過去レースのラップから予想する人などでもこのコース替わりを想定してそれぞれの適性に合う馬を探して予想していく人は多いかと思います。

適性・特徴を自分で探れる方法が見つかると予想は非常に楽しくなるんですね。仮に細かい事に詳しくなくても、過去のレースをじっくり見て馬ごとに把握していってもいいでしょう。
それがどう現れるかは我々も逐一レースでチェックしています。

さて、今年のオークスは無敗の白毛馬ソダシが2冠を目指していますが、以前申し上げた通り根はダート血統。他にもどの馬がどういう特徴と適性を持っているのかを中心に予想をしていきたいと思います。

以下、予想になります。
どうしても一段回内容は濃くなります。
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