2016年の自選十五首
ツイッターで「2016年の自選五首を呟く」という企画がありました。
noteで最近フォローしてくださった方もいらっしゃるので、こんな歌をつくっていますという自己紹介も兼ねて、つぶやいた五首以外に十五首を選んでみました。
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逆光のせいで本気の告白じゃなかったことに気付けなかった
もう消えた星に願った 君が見るときはゆっくり流れるように
怒っても仕方ないから体力の温存のため反論しない
戦争で腕を失くした男性の写真はいつも夕暮れである
愛を知ることがどんなにかなしいか生き返らない猫に教わる
歩くのが遅くて三日ではとても三途の川にたどり着けない
お盆には毎年帰ってくるなんてあの世も大したところじゃないな
避難することのできない向日葵が汚染地域で光を浴びる
うつむいて生きているから冠をかぶせられても落としてしまう
ゴミ箱のティッシュの中で三日ほどかけて命が干からびていく
先生に診察される間じゅう舌の裏側にある黒飴
東京で働いていることだけは思い通りの人生である
キッチンの塩の在りかがわからない 一年ぶりの実家は寒い
つかまえてもらえないので仕方なくライ麦畑をあとにしました
かなしみを癒さないのはわざとです 一緒に生きていきたいのです
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