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「あの頃はよかった」なんて大体思い込み

「なるはやで!」という言葉を久方ぶりに聞きました。

はて、「なるはや(なるべく早くの略)」って、いわゆる死語だろうか、それとも今を生きる言葉だろうか。

と思い検索を行ったところ、2011年の段階で「なるはやって何ですか?昔流行った言葉ですか?」と知恵袋に投稿している方がいらっしゃいました。

10年前から、既に死に瀕していた…?

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わたしは若い頃から流行に疎く、言動が年寄りじみていました。

チョベリグとか言いながら渋谷を闊歩していたガングロギャルと同世代に当たりますが、自分もまたJKど真ん中だったその頃から、流行り言葉やギャル文字を使うのに羞恥心を持っていました。

言葉選びのセンスが昭和、いや明治だよねとか
若いのに難しい言葉知ってるねとか
年齢詐称?いや、タイムスリップしてるの?とか
おばあちゃんが同じこと言ってた!とか

思ったことを言っているだけなのに変人扱いされることに困惑しつつ中年まで成長したら、なんだかスポッと落ち着きました。
いわゆる、見た目と中身が一致してきた、という状況でしょうか。
古語と思しき言葉を発しても「おばちゃんだから」で納得してもらえるのは、とても楽です。

若い頃から年寄りじみていたことの利点として「“あの頃はよかった”症候群に惑わされにくい」というのがあると思います。

年老いたから流行についていけなくなったのではなく最初から追えていなかったのだし、若さ故のキラキラをさほど味わっていないから、青春が失われた感じもない。

最盛期を味わっていないから特段のアップダウンも無くずっとニュートラル。
左側車線で制限速度を守り、常に安全運転です。

高校生の頃から流行りのものに飛びつきそびれ続けているわたしが「これ流行ってるのかな?」と勘付く頃、世の中としてはもう終わりかけであることが多々あります。
知らない内に死語になるなら、なるべく流行り言葉には手を出さないでおこうと思うのです。

「なるはや」なら
「出来るだけ早くお願いしてもいいですか」
「○日までにお返事をいただきたく存じます」
に変換して使いたい。

「リスケ」とか「アジェンダ」とかもちょっと、やめておきます。

追い付いて追い越して自分から言葉を作り出すくらいの無尽蔵なエネルギーがあればよいけれど、若い子に阿ろうとして老人が若者言葉を使おうとすると、大抵なにか使用方法を誤って残念なことになりがちだと思うからです。

もし、「あの頃はよかった」と昔を懐かしむときは「でもあの頃は最悪だった」という思い出も一緒に引きずりだしてくるようにしたいものです。

完璧な時代など存在しないと思うのです。
美点もある代わりに、吐き気を催すような欠点もあったはず。

ずっとニュートラルだったわたしは、飲み会中に1杯目からソフトドリンクを飲み続けてシラフだった人と同じくらい、時代のいい面も悪い面も見てきました。

追い越し車線でどんどん飛ばしていた人からは、見えていない景色もあると思うのです。

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