見出し画像

あのシーンで必ず泣いてしまう

アイ・アム・サムという映画があります。
ちりとてちんという朝ドラがあります。
大豆田とわ子と三人の元夫というドラマがあります。

いつ、何時、どの場所で誰と観ても、必ず同じタイミングで涙腺が決壊してしまう、というシーンがあります。

『アイ・アム・サム』(I am Sam)では
仕事が出来て頭が良くて、完璧に見える弁護士のリタが感情を爆発させる場面。

「周りを見ると、誰も彼もが立派に見える。
 でも…」

『ちりとてちん』では
悲しみから立ち直れない喜代美が梅丈岳で、かわらけ投げをしながら願い事をさけぶ場面。

「もう一度、おじいちゃんに会えますように。」
「おじいちゃんが天国に行けますように。」

『大豆田とわ子と三人の元夫』では
とわ子が哀しみを揺らつかせているときに、四番目の夫になる、かもしれない小鳥遊が語りかける場面。

「ないと思いますよ。
 人間には、やり残したことなんて
 ないと思います。」

いや、アイ・アム・サムでは、どうしてもサムのところに行ってしまうルーシーに義母が敗北感を滲ませているときに、ルーシーの絵に使われている色についてサムが話すシーンもいい。
ちりとてちんでは、師匠が高座に上がったときに、この話…!と喜代美と家族がハッとする場面もいいし、地獄八景亡者戯と共に師匠が旅立つ回も捨てがたいし…
とわ子と八作が「あったかもしれない未来」について想像するシーンもいい。とわ子が唄と一緒にお母さんのかつての恋人に会いに行く話ももう…

止まらない。

同じものを見ていても、ぜーんぜん、ひとつも琴線に触れない人もいるし、うっかり見てしまったら最後、目を逸らすことが出来なくなって、感情も何もかも移入してしまう人もいます。

でも、今日はのめり込んで見たいなというときは、どうもハマらない人とは一緒に見ないほうがいい気がします。

人生イチとも思えるシーンで隣でスマホ見られたり、まして欠伸なんてされたら…
見て見ぬ振りをするにも限界があるので。

好きな作品も場面もセリフも登場人物も、みんな違います。
ただ、これこそは、というシーンを心の中にいくつも持っておくことは豊かなことのような。

別に、そんなの無くたって生きていくのに困らないし、問題なく過ごしていけるんですけど。

ともあれ、涙を流すとその晩はよく眠れるそうです。
文章を書いたり、人に自分の気持ちを吐露したりすることが苦手な人こそ、たくさん泣いて、ゆっくり眠ることができればいいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?