星空の下、もう一度君に誓う
短編作品第2弾
○○)記憶喪失……ですか
医師)はい、事故が原因かと思われます
○○)ちなみにどう戻るのこととかは
医師)それはまだ……貴方次第ってこともあるので
○○)そうですか、わかりましたありがとうございました
1人の青年、九十九○○は数日前に子供を守るための犠牲として事故にあった。命に別状は無かったがその代償で記憶喪失となった。自身が九十九○○ということ以外全て喪失してしまったのだ
○○)まずは分かることからやってみなくてはね
○○は、身の回りのことで分かることを調べた。その結果、彼には両親がおらず彼女の”小坂菜緒”という人物と同棲していることが分かった。
記憶喪失と分かってから数日後
○○)今日で丸々2週間か、大抵は理解したしかし……
ガラガラッ
??)○○‼️
○○)……君は?
??)ホンマに……記憶喪失なんやね
○○)もしかして、俺の彼女さん?
??)ウチのこと分かるん⁉️
○○)今のところは名前ぐらいしか分からない。
??)そうなんや……私は九十九○○の彼女の小坂菜緒
○○)そうか……会えて嬉しいよ
菜緒)ううん、ウチも○○が生きてくれて嬉しい。今日退院なんやろ?
○○)まあね、悪いけど家まで俺をエスコートしてくれない?
菜緒)もちろん、その為に来たんやから
退院後タクシーで向かいながら小坂菜緒、俺の彼女について教えてもらった。彼女は俺の高校時代の部活の後輩らしく全国大会優勝後どうやら俺から告白したみたいだ
菜緒)着いたで、ここがウチと○○の家
○○)結構広いんだね
菜緒)この構造にしてとお願いしたん○○の方なんやで?
○○)俺が?
どうやら、俺自身投資をやっているらしく若くして会社を立ち上げて金持ちらしい
○○)俺の会社っね………
菜緒)従業員からも信頼されてて、人望も厚いそんな素晴らしい会社の社長が○○で、ウチがその秘書
○○)………
菜緒)これだけじゃまだ思い出されへんよね?
○○)さすがにね……
菜緒)とりあえず家に入ろ?
○○)そうだね。
○○)中も豪華……
菜緒)ウチも未だに慣れへんねんけどね
○○)とりあえず晩御飯だよね?
菜緒)そうやねんけど……
○○)もしかして俺が作ってた?
菜緒)うん…ウチあんまり出来ひんからどないしよう
○○)じゃあ作ろっか?
菜緒)で、でも○○は……
○○)物は試しってやつだね、何事にも挑戦しなくては
菜緒)それやったらウチも手伝うよ
○○)そうしてくれるとこちらとしても有難い
こうして○○と菜緒は再び暮らし始めるのであった、それから月日流れた。買い物もしたし親戚にも挨拶もした母校にも分かること全てやり尽くしたが、何一つ思い出せなかった
○○)ごめん菜緒
菜緒)謝らんくてええよ記憶喪失ってそんなに治りにくいとは知っとたから
菜緒)なぁ、やっぱり思い出さんくてもよくない?
○○)えっ?
菜緒)ほら、思い出さんくてもこれから新しい思い出作ったらええやん?
○○)急になに言い出すんだ?
菜緒)彼女からのお願い聞いてくれへんの?
○○)……悪いけど、それは出来そうにないお願い事だ
菜緒)………なんでなん?
○○)忘れたままだと、君との思い出も全てリセットになるってことだろ
菜緒)……
○○)たとえそれが、どんなに辛いことであろうともそれもまた一興
菜緒)記憶喪失でも、変わってへんねんな……
○○)えっ?
菜緒)○○はなんも変わってへん‼️
○○)お、おい菜緒?
菜緒)昔からそうやった‼️ウチの願いなんて1つも叶えてくれへんかった‼️『また一興』って何回も何回も‼️
○○)急にどうしたんだよ……
菜緒)記憶喪失の○○の方が願いも頼みごとも全て菜緒のことなら叶えてくれるのに、なんで思い出したいって言うん‼️
そう言い放った菜緒は俺の前から消えた。
○○)……どういうことだよ。
??)お困りですか社長
○○)君は誰だ?
??)この様子だと菜緒の言う通り記憶喪失なんですね
○○)君は菜緒の……友達か何か?
??)渡邉美穂、貴方の会社の社員で菜緒の古くからの友人ですよ社長。
○○)渡邉さんっね、困ってはいるが何か分かるのか?
美穂)社長、実は菜緒と仲悪かったんですよ?
○○)俺と菜緒が?
美穂)はい、社長の不倫が原因だとかで菜緒は貴方と別れたいって言ってましたよ?
○○)じゃ、じゃあ………
美穂)けど、社長が事故に遭って記憶喪失になったから新しく社長との思い出を作ろうとしているんですよ。
○○)………(菜緒と俺が?一体どういうことだよ……)
菜緒)なんでいつもそうやって逃げるん❓
○○)逃げてるわけじゃない、小坂が理解してねぇからだろ⁉️
菜緒)だからそれが逃げてるって言ってるんや‼️
○○)逃げてる……?
美穂)菜緒、本当は社長が事故に遭う日別れようと決意してたんですよ?
○○)………俺が、彼女の願いを聞かなかったからかい?
美穂)それもありますけど、実は社長……菜緒のこと付き合ってからも1度も”菜緒”って呼んでないんですよ?
○○)……俺が?
○○)小坂菜緒さん、俺と付き合ってください。
菜緒)はい、ウチで良ければ‼️
○○)(そうか、俺は………)
美穂)もう、逃げるの辞めた方がいいと思いますよ社長
○○)逃げる………っか。
”逃げる”って言葉が俺にとってのトリガーなのかもしれない。昔から弱い俺は逃げるしかなく、けどそんな自分が嫌いで嫌いで……それで否定していたから、逃げてるって言葉にしか集中してないから、彼女を苦しませてたのかもしれない。
○○)星空………
菜緒)なぁなぁ、将来はどうなると思う?
○○)………そうだ‼️あの星空に誓おう‼️
菜緒)誓うって何を?
○○)君のことを絶対幸せにするって‼️
○○)……渡邉1つ聞きたい
美穂)なんでしょうか社長
○○)小坂……いや、菜緒は俺と居て幸せだったか?
美穂)……幸せでしたよ、菜緒は私には見せない貴方だけの笑顔を見せてね
○○)そうか……すまん、彼女を迎えに行ってくる
美穂)行ってらっしゃい社長
○○)あぁ、次の給料ボーナス高くしておく
美穂)それは、楽しみです。
そう言った社長は、菜緒を迎えに行った
美穂)私の恋もここまでか、なんか悲しいな……
美穂)ありがとう○○社長、さよなら私との恋。
○○)やっぱりここにいたか
菜緒)なんで来たん?
○○)菜緒に謝罪したくてな
菜緒)なんで謝るん?
○○)俺が逃げてるから
菜緒)○○?
○○)過去の恐怖心のせいで俺は逃げてた、菜緒の時だってそうだ。
菜緒)○○もしかして……
○○)確かに、記憶がないままの方が良いのかもしれないけど、それだと昔みたいに逃げてる気がするんだ
菜緒)○○……
○○)菜緒、もう一度誓うよ。
菜緒)何を誓うん?
○○)2度俺は逃げない、過去からも菜緒からも
菜緒)そこまで言われたら菜緒も、否定出来ひんやんか……
○○)菜緒、誓うには言葉だけじゃ足りないと思うんだ
菜緒)ふふっ、なんか用意でもしてるん?
○○)あぁ、とっておきのな
菜緒)とっておきなんや、楽しみやな
○○)菜緒、手を出してくれ
菜緒)えっ、なんなん急に怖いねんけど
そう言う菜緒は、当たり前のように俺に手を出してくれた。
俺がやることは1つしかない、誓うことにうってつけのイベントでもある。俺は菜緒に1つの指輪をプレゼントした
菜緒)○○、これって?
○○)言う言葉は1つだ
○○)菜緒、俺と結婚して下さい。
菜緒)反則やろこんなん……ウチで良ければ末永くお願いします。
人は時に失敗をすることがある、しかし重要なのはその先の未来である。
~完~
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